介護士は、高齢化の影響もあり今後さらに需要が伸びる業界です。
介護分野の有効求人倍率は1.82と年々高くなっており、業種全体の有効求人倍率0.93と比較しても高い水準を保っています。
そんな将来性の高い介護職に就きたいと考えている方の中には「未経験・無資格でも正社員なれる?」「介護士の仕事って何をやるのかな」と疑問に思う方も多いでしょう。
そこで今回は、介護士の仕事内容と、未経験で資格がない人でも介護士の正社員として働くことができるのか解説していきます。
介護士はどのような仕事をしているの?
介護士の主な仕事内容は、利用者さんの介護を行うことです。
介護というと幅広いですが、仕事内容は大きく分けると「身体介護」と「生活援助」に分けられます。
身体介護
身体介護は、利用者さんの身体に直接触れる仕事です。
具体的には下記のような仕事があり、利用者さんの身の回りのお手伝いを行います。
- 食事介助:1人で食事をすることが難しい利用者さんへ食事の環境を整えたり、実際に口元まで食事を運んだりします。
- 入浴介助:利用者さんのペースに合わせて着替えの準備や、実際に頭や身体を洗うお手伝いをします。
- 排泄介助:トイレへ行くときに付き添ったり、トイレへ行くことができない利用者さんにはおむつ交換を行ったりします。
- 更衣介助:利用者さんの着替えを手伝います。
- 体位交換:自力で身体の向きを変えることが難しい利用者さんは、常に同じ姿勢でいると褥瘡ができてしまうリスクが高いため、数時間ごとに身体の向きを変えてあげます。
生活援助
生活援助は身体介護よりも生活に密接した仕事です。
生活援助の仕事内容として、以下のような例があります。
- 調理、洗濯、掃除
- 外出支援
- 服薬支援(※薬の飲み忘れがないかの声掛けなどを行います。)
自分の身の回りのことはできる利用者さんでも、調理や洗濯・買い物などをするのは大変という人は多いです。
特に自宅で生活している人は生活援助のサービスを利用される人が多いです。
介護士はどのような場所で働いているの?
介護士として働く場所は主に3種類あります。
利用者さんの利用形態別にわけると「入所系」「通所系」「訪問系」の3つに分けられます。
入所系
病院や介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど、それぞれの施設に泊まって生活している利用者さんの介護を行う仕事です。
様々な理由で自宅に帰れない利用者さんが多くおり、中には終の棲家として利用されている方もいらっしゃいます。
入所系の施設では「身体介護」の仕事が割合の多くを占める場所がほとんどであり、動ける人から寝たきりの人まで様々な人が生活しています。
介護士の中で入所系の施設で働いている人は半数近くに上り、メジャーな就職先です。
通所系
通所系はデイサービスなど、自宅から施設へ通ってくる利用者さんの介護を行う仕事です。
スケジュールは施設によって異なりますが、一般的には朝の9時に施設へ到着し、16時ごろに帰宅します。
デイサービスでは入浴介助を行ったり、レクリエーションをしたりして過ごすことが多いです。
また、利用者さんの送迎も職員の仕事のため、車の運転をすることもあります。
訪問系
利用者さんの自宅へ訪問し介護をする仕事です。
自宅で身体介護や生活援助など決められた仕事を時間内に行う必要があります。
上記の2つとは異なり1人で自宅へ訪問するため、自分で全て判断しなければいけません。
事業所によっては、2人以上で自宅へ訪問する場合もあります。
介護士が訪問系の仕事を行う場合には「介護職員初任者研修」以上の資格が必要です。
「介護職員初任者研修」については次の項目で説明します。
介護士になるのに資格は必要?
介護士は現在需要が伸びている業界なので、資格なしでも就職することは可能です。
しかし、資格があった方が就職に有利であることに違いはありません。
介護士の資格には、国家試験に合格すると取得できる「介護福祉士」と、介護士の資格として「介護福祉実務者研修」や「介護職員初任者研修(旧:ホームヘルパー2級)」などがあります。
介護職員初任者研修は取得すると訪問介護に行くことができる他、介護士としての基礎的な知識を身に付けることができるため、未経験の人がはじめに取得するおすすめの資格です。
介護職員初任者研修を取得するには規定された研修時間をクリアする必要があります。
入浴の介助方法や車いすへの移乗方法など介護の基本的なことを実技と筆記で学び、最後に試験を行い合格すると資格を取得することができます。
合格率は100%近くといわれており、しっかり勉強すればそれほど難しい試験ではありません。
介護士として資格を持つことのメリット
介護士として働くことに興味があるが、資格を取得することで何がかわるのだろうと疑問に思っている方もいるでしょう。
ここでは、介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を取得するメリットを説明していきます。
給料が上がる
目に見えて変化があるのは給料です。
厚生労働省が出している介護士の平均給料によると、令和2年度の平均給与は無資格の方が【275,920円】、資格がある方は【318,150円】、介護福祉士の方は【329,250円】でした。
無資格の方と介護福祉士の毎月の給料を比較すると約5万円の差があります。
専門的な知識が身につく
医療・介護分野での仕事が初めての人は、資格を取得すると介護への基礎的な知識が学べるため、早く仕事に慣れることができるでしょう。
現場では医療・介護・福祉などの専門用語も多く飛び交うため、基本的な単語を覚える目的でも資格があると有利です。
転職に有利
介護系の資格を持っていると、やはり転職活動では有利になります。
求人募集の中で「有資格者」という記載があった場合、介護職員初任者研修の資格があるだけでも採用されやすくなります。
資格なしで正社員になることも可能!
これまで、資格があることのメリットを説明してきましたが、資格がなくても介護士として働くことは可能です!
資格なしで介護士として正社員を目指すポイントを以下の2つに分けて紹介します。
資格なしで正社員を目指すなら支援が整っているところを選ぶ
資格なしで正社員を目指す場合には、支援体制が整っている施設を選びましょう。
施設によっては、未経験でも募集しているところがあります。
このような施設は未経験でも基礎からやさしく教えてくれる可能性が高いです。
いずれは介護福祉士の資格をとろう!
未経験で介護施設で正社員として働きたければ、就職後に介護士の資格を取得する意志を示すことが重要となります。
施設側も専門知識があり、向上心をもって働いてくれる人材を求めているためです。
厚生労働省の調査では、介護士の処遇改善として82.0%の施設が「働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修等の受講支援」を行っていると回答しています。
介護施設や国としても働きながらの資格取得を推奨しています。
資格なしでも介護施設で正社員を目指せるが、いずれは資格取得を目指そう!
介護業界は高齢化の影響で、今後さらに需要が伸びてくる業界です。
そのため、資格なしでも採用してくれる施設が多いのが現実です。
介護士は未経験で就職しても、その後に資格取得を支援してくれる施設が増えており、就職後の行動が期待されています。
資格があることは転職では有利に働きますが、介護業界であれば資格なしでも正社員を目指せます。
その後は資格を取得し給料UPを目指すこともできます。
需要が増えている今がチャンスです。ぜひ、介護士への道を目指してみてくださいね。