介護士を長く続けていきたい人にとって、介護士資格の取得はとても有効な手段です。
介護資格を取得すると適切な昇進やステップアップの機会が得られるだけでなく、ライフステージの変化に柔軟に対応して働き方を変える選択肢が増えるからです。
しかし、介護士のほとんどがシフト勤務で生活が不規則になりがちであるため、仕事と資格取得の学習を両立するのは至難の業といえるでしょう。
また、具体的でない理由や目標のための学習は長続きしません。
そこで本記事では、介護士が介護資格を取得するべき理由とメリットについて、詳しく解説していきます。
これから介護士資格を取得して、キャリアアップを目指したい人の一助となれば幸いです。
介護士が資格を取得するべき理由
介護士は、高齢化社会において必要不可欠な職種であり、この先もさらに需要が高まる職業として将来性の高さに注目が集まっています。
介護士の仕事は、主に介護の現場で利用者さんと直接関わるイメージがありますが、このほかにも介護に関わる仕事は多岐にわたります。
そのため、さまざまな角度から介護に関わるスキルを得るには、介護士として経験を積むのはもちろん、専門知識と技術の習得が必須です。
さらに、得た知識と技術を可視化する資格は、会社や上司、利用者さんなど周りの人に安心感を与えて、仕事環境が向上する利点も兼ね備えています。
これらの理由により、介護士の仕事を続けていきたい人にとって資格取得による利点は大きいといえるため、自分の力量や経験に沿ったタイミングでの資格取得を推奨します。
介護士資格とは?資格の種類と取得方法について
介護士の資格は複数あります。
中でも代表的な資格は、以下の通りです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
- ケアマネージャー
ここでは、各資格の概要について解説します。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、2013年4月1日の介護保険法施行規則改正後から始まり、介護士としての第一歩に最適な資格です。
介護職員初任者研修の資格を取得することで、施設を問わず介護の現場で求められる基礎的なスキルを身につけられます。
受験にあたり介護士としての経験の有無は問われず、講義と実技演習により介護の基礎知識と技術を習得していきます。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護について基礎的な知識と技術があるのを前提に、介護スキルを高める目的を持つ資格です。
介護の基礎を養う資格が介護職員初任者研修ならば、介護福祉士実務者研修はより多くの利用者さんに対応できるスキルを身につけるための資格といえるでしょう。
介護福祉士実務者研修が生まれた背景に”介護福祉士の資質向上”の意図があるため、研修の水準は介護福祉士養成校と同等です。
また、介護現場で経験を積んで介護福祉士を取得したい人は、必ず介護福祉士実務者研修の修了が必須です。
受験前に慌てることがないようにスケジュールに余裕を持って受講に臨みましょう。
介護福祉士
介護福祉士は、数ある介護士資格の中で唯一の国家資格です。
精神や身体に障害や不自由さを持つ方を対象に、日常生活の支援から身体介助まであらゆるケアを行える介護士として高い専門性を認められます。
資格取得のルートは以下の4つです。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高等学校ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
働きながら介護福祉士を目指す「実務経験ルート」の場合「3年以上の実務経験」と「6ヶ月以上の実務者研修の受講と修了」が受験条件になります。
施設や事業所によっては、資格取得支援制度を導入しているところもたくさんあるので、入職前に確認してみるとストレスなく資格取得に向けて学習が続けられるでしょう。
認定介護福祉士
介護福祉士の上位資格として、2015年から発行が始まった民間資格です。
まだメジャーな資格ではありませんが、複合的な介護を行う際の中核となる人材育成の側面も持ち合わせています。
基本的な条件として受験には、介護福祉士資格の保有かつ実務経験5年以上、認定介護福祉士養成研修の講義600時間の受講が必須です。
ケアマネージャー
ケアマネージャーは、2000年の介護保険法施行で始まった介護士の最終到達点といえる資格です。
要介護者や要支援者、家族の方の相談業務をメインに、その方の状況にあった介護サービスが受けられるよう各自治体と連携し支援します。
介護現場に指示を出す役割を担うため、年齢を重ねてや腰痛などのため身体的に現場仕事がキツくなった場合にも、それまでの経験を十分に活かし働けるようになります。
受験にあたり、介護や福祉・医療職者として5年以上の実務経験が必須です。
介護士の資格の種類について紹介しましたが、資格を取るメリットにはどんなことが挙げられるでしょうか?
次の項で詳しく解説していきます。
介護士が資格を持つメリット
介護士の資格を持つことで、以下のようなメリットが得られます。
- 介護職としての専門性が高まる
- 利用者さんやその家族に安心感を与えられる
- キャリアアップのチャンスが広がる
- 専門職としての自信がつく
上記4つについて一つずつ解説します。
介護職としての専門性が高まる
資格取得によって専門性が高まり、介護技術や知識の向上が期待できます。
基礎的なスキルを身につけて介護士の土台を構築できる点は大きなメリットです。
介護の現場では、簡単に解決できる問題だけでなく、多様なトラブルが起こり得ます。
基礎をしっかりと作ることで、何かトラブルが起きたとしても適切に上司に相談したり会議を開いたりできるようになるでしょう。
利用者さんやその家族に安心感を与えられる
資格取得は、介護士としての基本的な知識やスキルを習得したという証となり、利用者や家族からの信頼を得て良い関係性を築いていく上でも大いに役立ちます。
資格取得という形でスキルが可視化されるため「この介護士にケアを任せても大丈夫」という一定の安心感につながるからです。
安心かつ安全に介護をするには、利用者と介護士の間に信頼関係を築かなければなりません。
資格を取得することによって得られる安心感は利用者さんやその家族の信頼にもつながり、良い関係を築くためのポイントの一つだといえるでしょう。
キャリアアップのチャンスが広がる
介護士が資格を取得することで、将来的にフロアリーダーや主任、管理職として働ける可能性が広がるといったメリットがあります。
そもそも、介護業界で給与アップやキャリアアップするには、資格の取得が必須条件ですので、もしキャリアアップを目指すなら資格の取得は欠かせません。
また、経験に合わせて資格を取得すると、幅広い選択肢を持ってキャリアを積めるメリットもあります。
専門職としての自信がつく
資格の取得は、介護に対する自信がつくとともに介護現場での自分自身の役割がより明確になり、やりがいが増えるでしょう。
さらに、努力によって取得した資格は成功体験として自分の財産となり、発言や行動にも説得力が増すなど良い影響を与えます。
資格取得で専門性の高い介護士として上手にキャリアパスを作ろう
資格を取得するのであれば、まずは介護職員初任者研修で、介護の基礎を学んでみましょう。
介護士資格を取得することは、成長を続ける介護業界で多様な働き方の選択肢を得られるだけでなく、経験の全てが糧となり確かなキャリアを積めることにつながります。
そして、日々の業務の質や自分の意識が変わるのを実感できるはずです。
さらに働きながら上位資格に挑戦すれば、ライフステージの変化に強い働き方ができるようになります。
将来的にも高い需要が見込まれる介護業界で長く活躍するために、介護士資格の取得検討をおすすめします。