現在介護士として働いている人の中には「このまま介護の仕事を続けるのは厳しい」「将来介護支援専門員(以下ケアマネ)として働きたい」と考えている人もいるでしょう。
この記事では「介護士がケアマネになるには資格が必要か」「何の資格が必要か」について紹介していきます。
またケアマネの資格を取得することで、どんなメリットがあるかもお伝えしていきます。
介護福祉士と実務経験が必要
介護士がケアマネになるには、国家資格である「介護福祉士」と、5年以上の実務経験が必要です。
実務経験の定義としては、下記があります。
- 医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士または生活相談員、支援相談員として五年以上900日以上
重要なのは「介護福祉士の資格を取得してから」であることです。
資格を取得する前に5年以上実務経験があっても、受験資格を得ることはできませんので、注意しましょう。
無資格からケアマネになるには最短でも8年かかる
無資格者がケアマネになるには、下記のように最短でも8年かかります。
- 3年以上の実務経験と実務者研修を修了し、介護福祉士の試験に合格後、資格を取得する。
- 介護福祉士の資格を活かして5年以上の実務経験を積んだ後、ケアマネの試験に合格する。
2017年までは、ホームヘルパー2級の資格所有者や無資格者でも、介護業務の経験年数によっては受験資格がありました。
しかし2018年からは介護福祉士資格が必要になっています。
なので無資格者がケアマネを目指す場合、まずは介護福祉士の資格取得を目指しましょう。
注意して欲しいのは「自分が受験条件に該当しているかどうか」です。
介護福祉士の実務経験は「従業期間3年以上」かつ「従事日数540日以上」とされています。
3年以内に転職している場合、従業期間が3年以上であっても、従事日数が足りない場合がありますので、注意しましょう。
実務者研修とは、より実践的な介護業務を習得するための研修です。
修了することで、介護福祉士の受験資格を得られるだけでなく、訪問介護事業所でサービス提供責任者(以下サ責)の仕事を行うことができます。
実務者研修は通信制の課題提出の他に、演習を行います。研修施設は各都道府県の養成施設で行っているので、通いやすい場所を選ぶと良いです。
ケアマネの試験は、とても難しい
ケアマネの試験は、介護福祉士に比べて難しいです。
介護福祉士の合格率は約70%であることに対し、ケアマネの合格率は10%から20%とされています。
理由としては「介護保険制度は複雑で理解するのが難しい」ことに加え「3年ごとの法改正により、制度が変わる」ことが挙げられます。
普段介護業務を行う介護士の場合、介護保険制度は日々の業務と関連が薄いので、覚えて理解するのに時間がかかります。
加えて日頃の業務が忙しく勉強する時間が取れないと、より合格することが難しくなってしまうのです。
合格後も更新研修がある
ケアマネに合格したからといって、すぐにケアマネとして働くことはできません。
特定の研修を修了することで証書が交付され、ケアマネとして働くことが可能になります。
またケアマネ資格には、有効期間があります。
有効期間は5年間で、有効期間の満了日までに更新研修を修了し、更新しなければ、ケアマネとして業務に従事できなくなるので、注意が必要です。
この法定研修が一番多く義務づけられているのも、ケアマネ資格の特徴です。
ケアマネの勉強をすることで、より良いケアに繋がる
「せっかくケアマネの勉強をしても、ケアマネ業務ができなければ意味がないのではないか」と思う人もいるでしょう。
ですがケアマネの勉強をすることは、介護業務を行うにあたってもメリットがあります。
それは「ケアマネの勉強をすることで、より良いケアに繋がる」ということです。
介護士が利用者に提供している介護サービスは、ケアプランをもとに実施されます。
ケアマネはケアプランを作成するために、利用者の心身の状態や本人、家族の希望を把握しているのです。
これらの情報に基づいて、利用者本人の目標を設定するとともに、適切なサービスを提供できるようにしています。
スムーズにケアマネの資格を取得するには
ここまで、ケアマネの資格を取得するまでの流れと、勉強するメリットについてお伝えしてきました。
ここからは、スムーズにケアマネの資格を取得する方法について紹介していきます。
方法としては、下記の3つがあります。
- 自分がどんなケアマネになりたいか、明確にする
- 「自分はケアマネの資格を取得する」と周囲に宣言する
- あらゆることに関連づける
それぞれどのような方法なのか、具体的にお伝えします。
自分がどんなケアマネになりたいか、明確にする
まず1つめは「自分がどんなケアマネになりたいか、明確にする」ことです。
ケアマネには「施設ケアマネ」と「居宅ケアマネ」の2種類があります。
施設ケアマネは、特養や老健といった介護施設で働き、入居している利用者のケアプランを作成するのが主な仕事です。
定員100名まで1人の配置なので、最大100件のケアプランを作成・管理することになります。
対して居宅ケアマネは「要介護認定業務」と「介護支援サービスに関連する業務」の2つに分けられます。
加えて近隣の介護サービス事業所からの営業訪問や営業電話が頻繁にあるので、非常に多忙です。
自分がどんなケアマネになりたいのか、その為にはどんな実務経験が必要なのかといった方向性を決めておきましょう。
「自分はケアマネの資格を取得する」と周囲に宣言する
2つめは「自分はケアマネの資格を取得する」と周囲に宣言することです。
前述したように、ケアマネの合格率は非常に低いです。
また合格後も研修を受けなければいけないため、場合によっては仕事を休まなければいけません。
ケアマネの試験を受けることを決めたら、周囲に宣言しておきましょう。
上司には早めに伝え、ケアマネの試験日や研修日には休みをもらえるよう、相談しておくと良いです。
あらゆることに関連づける
3つめは「あらゆることに関連づける」ことです。
介護保険制度は、複雑で理解するのに時間がかかります。
そのため、日常のあらゆることに関連づけると、覚えやすくなります。
例を挙げると「自分が提供している介護サービス」です。
特養や老健などの施設の場合、入居者情報としてファイルがあり、その中には入居者の介護度やケアプラン、限度額割合等の情報が入っていることがあります。
情報やケアプランを見るだけでも、ケアマネの勉強になります。
また介護保険制度は3年ごとに変わるので、定期的に新聞や厚生労働省のホームページを確認しておきましょう。
法改正の翌年は、変わった内容が試験に出やすいです。
無理せず、自分のペースで挑戦しよう
介護士がケアマネを取るのに必要なのは「介護福祉士」の資格を用いて「5年以上かつ900日以上」の実務経験です。
無資格者の場合は、まず介護福祉士の資格を取得することから始めましょう。
ケアマネの合格率は、10%から20%ととても低いです。
加えて更新研修もあるのでハードルが高いと思う人もいるでしょう。
ですがケアマネの勉強をすることで「自分がなぜこの介護サービスを提供しているのか」を知ることができ、より良いケアに繋がります。
ケアマネを取ろうと考えたら、自分がどんなケアマネになりたいか、明確にしましょう。
その上で、周囲に宣言して協力してもらうと、試験や研修が受けやすくなります。
介護保険制度は複雑で理解するのが難しいので、日常のあらゆることに関連付けて覚えていくと良いです。
とはいえ「頑張ってケアマネの資格を取るぞ」と気を張ってしまって、本業の介護業務に支障が出てしまっては、本末転倒です。
あくまで無理せず、自分のペースで挑戦することを心掛けましょう。