【LINE】介護の仕事に関するご質問を受付中▶▶

定期巡回随時対応型訪問介護看護とは?訪問介護とは何が違う?

2012年より開始された「定期巡回随時対応型訪問介護看護」は、必要な時に繰り返し在宅介護や在宅看護を受けられる介護サービスです。

重度者をはじめとした、24時間定期的な介護が必要な方の支えとなっています。

では、定期巡回随時対応型訪問介護看護は、具体的にどのような介護サービスなのでしょう。
訪問介護とは何が異なるのでしょうか。


本記事では「訪問介護」との違いも含め解説します。

目次

定期巡回随時対応型訪問介護看護とは?

定期巡回随時対応型訪問介護看護とは?

ここでは、定期巡回随時対応型訪問介護看護について、以下3つの観点から解説します。

  • 1日に複数回訪問介護が受けられる
  • 24時間介護が受けられる
  • 介護と看護の両方を受けられる

1日に複数回訪問介護が受けられる

従来からある通常の訪問介護では、1日に1度(もしくは数日に1度)、利用者さんの自宅を訪問します。
そして1度の訪問では、少なくとも30分以上のまとまった時間を取り、介護サービスを提供することがほとんどです。

一方、定期巡回随時対応型訪問介護看護の場合、短時間(1回の訪問で10~20分程度が目安)の訪問介護を1日に複数回受けられます。


要介護の高い人の中には、1日に3回以上の訪問介護を受けている人もいます。

たとえば「手足が不自由で一日に何度も排泄介助が必要」「認知症を患い一日に何度も身の回りの手助けが必要」など、一日の中で繰り返し介護が必要となる方にとって、大きな支えとなってくれる介護サービスです。

24時間介護が受けられる

定期巡回随時対応型訪問介護看護では、日中だけでなく24時間体制で訪問介護を受けることができます。

たとえば「19時頃に夕食の食事介助を受ける」「22時頃には就寝前のナイトケアを受ける」のように、さまざまな時間帯で訪問介護を受けることができます。

さらに定期巡回随時対応型訪問介護看護では、決まった時間に訪問する「定期巡回」とは別に、必要に迫られたときに緊急で訪問する「随時介護」も行っています。

オペレーターがコールを24時間365日体制で受け付けており、利用者さんが電話やICT機器を使い介護を求める連絡を入れれば、深夜などであっても、訪問介護を随時受けることができます。

ただし、随時介護を行うかは状況に応じて判断されますので、毎回必ず介護が受けられるとは限りません。

たとえば「深夜に尿意がして目覚めたが、トイレに間に合わず失敗してしまった」など、真夜中のトラブルにも、自宅に介護士が向かい対応してくれます。

介護と看護の両方を受けられる

定期巡回随時対応型訪問介護看護では「介護」だけでなく、看護師による「看護」を受けることも可能です。

看護師が自宅を訪問し、介護士では法的に行うことのできない点滴や注射などの医療処置まで対応してくれますので、疾患を持っている方などにとっても心強いです。

なお、随時対応型訪問介護看護を提供している事業所のうち「一体型事業所」と呼ばれるタイプでは、介護士と看護師が同じ事業所に在籍しています。

一方「連携型事業所」の場合は、介護士と看護師が別の事業所に在籍しており、他の事業所と連携を取りながら、サービスを必要としてる利用者に適した介護士や看護師が派遣される形となります。

定期巡回随時対応型訪問介護看護が作られた背景

定期巡回随時対応型訪問介護看護 作られた背景


すでに訪問介護があるにも関わらず、なぜ定期巡回随時対応型訪問介護看護が別に作られたのでしょう。

ここでは、定期巡回随時対応型訪問介護看護が作られた背景や経緯について解説します。

利用者さんの事情を考え、柔軟に対応できるサービスとして誕生

訪問介護を利用する方の中には、身体が不自由で日常的な動作のほとんどが行えない重度者も少なくありません。

一日に何度も排泄介助や歩行介助が必要となる人、寝たきり状態で寝返りの介助などが繰り返し必要になる人もいらっしゃいます。

しかし従来の訪問介護では、訪問回数は1日に1回が基本であり、要介護度が低い人の場合には数日に1回となってしまうケースも生じます。
また訪問する時間帯も朝から夕方までの日中が主体であり、夜間や深夜に訪問介護を受けることは難しい現実がありました。

こうしたことから、症状が重く頻繁に介護が必要な利用者さんにとってはサービスとして不十分な部分もあり、重度者であっても24時間安心して過ごせる仕組みを提供することが求められました。特に排泄のような1日に数回発生する生理現象に対しては、本来であれば随時対応できる体制が望ましいものです。

また、介護サービスと看護サービス両方の連携が十分に取れていなかったことも、重度者の方の介護をする上で課題となっていました。

そうした頻繁に介護が必要となる重度者の事情も考え、柔軟に対応できるサービスとして誕生したのが「定期巡回随時対応型訪問介護看護」です。

2012年に開始され、現在では全国の各自治体で利用できるようになっています。

「自分らしく生きること」の支えにもなる

要介護状態となっても「住み慣れた我が家で自分らしく生きたい」などの理由から、介護施設などには入らず、訪問介護を選ぶ人もいます。

しかし、本来その時々で必要となる排泄や移動などの介護を回数的な問題で我慢したり、「深夜に介護が必要になったらどうしよう」などの不安を常々抱えながら生活したりするのは「自分らしく」とは離れている状態ともいえます。

定期巡回随時対応型訪問介護看護は、そうした利用者さんの悩みや不安に応えてくれる介護サービスであり、要介護状態でも自分らしく生きたい方にこそ利用してもらいたいサービスです。

定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用する上で覚えておくこと

定期巡回随時対応型訪問介護看護 利用する上で覚えておくこと

定期巡回随時対応型訪問介護看護は便利な介護サービスではありますが、利用する上でいくつか覚えておくべき点があります。

ここでは、以下3つの観点に分けて解説します。

定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用する上で覚えておくこと
  • 利用できるのは要介護度1~5の人
  • 住んでいる地域の事業所しか利用できない
  • 料金は高くても月額3万円程度

利用できるのは要介護度1~5の人

定期巡回随時対応型訪問介護看護は、訪問介護と同様に「要介護」の方のみを対象とした介護サービスです。
要介護状態であれば要介護度が1~5いずれの場合であっても問題なく利用できます。

一方「要支援」の方は対象外となり、残念ながら定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用することはできません。

住んでいる地域の事業所しか利用できない

定期巡回随時対応型訪問介護看護は「地域密着型サービス」に分類され、地域を支えるためのサービスとして扱われます。

したがって、いま住んでいる地域の事業所(住民票に記載された地域の事業所)でないと、定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用することができません。

料金は高くても月額3万円程度


定期巡回随時対応型訪問介護看護を利用した場合の費用は、月額で5000円~3万円程度が目安となります(要介護度や訪問看護を利用するしないなどによって変動)。

利用者負担額は1割(所得に応じて2~3割負担となるケースもあり)となります。

なお、利用回数が増えた場合でも料金は定額です。
頻繁に介護を受けても高額請求されるようなことはありませんのでご安心ください。

利用者さんの支えとなる重要なサービス

利用者さんの支えとなる重要なサービス

以上、定期巡回随時対応型訪問介護看護について解説しました。

定期巡回随時対応型訪問介護看護は、従来の訪問介護に比べ、回数や時間帯の制限を受けず、利用者さんの容態に合わせ柔軟に対応できる介護サービスです。

夜間、急に利用者さん宅への訪問が必要になったりなど、働く側にとっては大変な部分もありますが、利用者さんが自分らしく生きるための支えともなる重要なサービスであるため、感謝される事も多く、やりがいも見出しやすい環境といえます。


より頻繁に、より深く利用者さんの助けをしたいとお考えの方は、定期巡回随時対応型訪問介護看護を将来の仕事の場に選んでみてはいかがでしょう。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
よかったらシェアしてね!

この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

目次