- 「サービス担当者会議では何をやるのか知りたい」
- 「地域ケア会議や個別支援会議との違いって何?」
このように思われていませんか?
介護・福祉関連の会議がいくつかあるため、混乱することもあるでしょう。
本記事では、開催の目的、進め方や準備、地域ケア・個別支援会議との違いを解説します。
サービス担当者会議は何をやる?目的は?
サービス担当者会議は、ケアマネージャーがリーダーとなり、作成したケアプランの内容や方向性を決めるために行います。
開催目的は主に4つあります。
- ケアマネプラン内容などの情報共有
- 利用者さんと家族の希望のを確認する
- 課題の確認と解決策の説明
- 支援内容の検討
それぞれ詳しく解説します。
目的1:ケアプラン内容などの情報共有
一つ目は、利用者さんやその家族、ケアにあたる医療従事者など関係者にケアマネプランの内容を共有することです。
医療従事者と介護職員とではケアの目的や作業が異なるため、円滑な連携とケアを実現させるには以下のような内容を共有する必要があるからです。
- ケアの内容
- 必要なケア
- 利用者さんや家族の状況
上記を把握することで、それぞれの職種の利用者さんに対するケア内容が明確になり、利用者さんも快適に過ごせるようになります。
目的2:利用者さんと家族の希望・要望を確認する
二つ目は、利用者さんやその家族の希望や要望を確認することです。
ケアマネが作成したプラン内容だけでは、利用者さんや家族が快適に過ごせない可能性があります。
たとえば「利用者さんの性格上、このようなことは嫌がるから避けてほしい」「このようなからだの状態なので、このような介助もあったら助かる」など、細かい希望や要望があるケースがあります。
安心・安全な環境の確保には、利用者さんと家族の希望・要望を聞くことは、ケアをするうえで非常に重要なことです。
目的3:課題の確認と解決策の説明
三つ目は、利用者さんと家族の希望・要望を聞いて課題が出た場合、それに対しての解決策を説明することです。
ケアする側が考える解決策と、ケアを受ける側が欲する解決策のすれ違いがあるとトラブルの元になります。
トラブルを防ぐためにも、前もって解決策を説明して話し合い、お互いが納得する形におさめることが大切です。
目的4:ケア内容の検討
四つ目は、最初に計画を立てたケアプランと利用者さんと家族の希望・要望を照らし合わせ、改めてケア内容を検討することです。
当初作成したケアプラン内容の変更が生じた場合、変更後のケア内容で支援を進めることを参加者全員で共有する必要があります。
サービス担当者会議の参加者は?
サービス担当者会議の参加者は、以下の通りです。
- ケアマネジャー
- 利用者さん・家族
- サービス提供責任者
- 福祉用具専門相談員
- 栄養指導員
- 医師
- 介護職員、介護福祉士などの介護関連のスタッフ
- 理学療法士、作業療法士などのリハビリスタッフ
上記全員が参加するわけではなく、議題に応じた職種のみが集まります。
サービス担当者会議の開催場所
サービス担当者会議は、利用者さんの家で行われるのが基本です。
ただし、多くの人が集まるため、スペースがない場合はデイサービスなどの施設やその他公共施設の部屋を借りて行われるケースもあります。
サービス担当者会議の開催時期
サービス担当者会議は定期的に行われるわけではないため、開催時期の決まりはありません。
以下5つの出来事が利用者さんに起きたタイミングで行われます。
- 要介護更新認定を受けた
- 要介護区分変更を申請することが決まった
- 身体状況や居住環境が大きく変化した
- 利用者さんのサポートが困難になった
- ケアプラン内容の変更が決定した
適切なタイミングで行わないと減算対象に入る可能性があります。
「利用者さんの状況が変化するときに行う」と覚えておくと、減算対象にされずに済むでしょう。
サービス担当者会議に必要な準備
サービス担当者会議に必要な準備は3つあります。
- チームの編成
- 進行・内容をまとめる事前準備シート
- 欠席者から照会文書を回収
それぞれ詳しく解説します。
チームの編成
利用者さんの支援は、リハビリが必要であれば理学療法士、服薬が必要なら在宅訪問薬剤師や医師、看護師など、さまざまな職種の人の力が必要です。
よって、ケアマネージャーは、会議を開催する前に必要な支援や利用者さんが希望するサービスなどを考え、支援チームを編成しなければなりません。
進行・内容をまとめる事前準備シート
サービス担当者会議の事前準備シートについて、国が示しているものはないため、各自準備する必要があります。
事前準備シートは必須ではありませんが、効率よく円滑に、そして漏れなく話し合うためにためには欠かせないものです。
<事前準備シートの書き方の例>
- ケアマネプラン内容などの情報共有:9時〜9時30分
・共有内容を書く
- 利用者さんと家族の希望を確認する:9時30分〜10時
・メモ欄を作る
- 課題の確認と解決策の説明:10時〜10時15分
・メモ欄を作る
- 支援内容の検討:10時15分〜10時30分
・メモ欄を作る
上記のように、限られた時間の中で話し合いを終わらせられるよう、予定時刻を書いたり、話し合う内容の要点や、メモ欄を作ったりするとよいでしょう。
あくまで例ですので、その都度必要に応じて作成内容は変更してください。
欠席者から照会文書を回収
サービス担当者会議は、参加者全員が揃って行うのが原則です。
ただし、やむを得ず欠席する場合は「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」において、照会を出席代わりにすることが許可されています。
前もって欠席することがわかっている方に照会文書を渡し、当日までに回答を回収して会議内で意見を共有します。
照会文書を渡す際のポイントは、当日の議題やケアプランの原案を渡すことです。
欠席者が答えやすくなり、当日の話し合いもスムーズになります。
サービス担当者会議の進め方
サービス担当者会議は、以下の順で進行させます。
- 開催のあいさつ
- 参加者の自己紹介
- 話し合い
- 利用者さんとその家族への確認
- 締めの挨拶
進行のポイントや進行のさせ方を詳しく解説します。
順番1:開催のあいさつ
開催の挨拶は、ケアマネージャーが行います。
内容は下記の通りです。
- あいさつ
- 自分の役割の名前の紹介
- 会議のテーマ・議題
長々とあいさつする必要はなく、端的に上記3つを伝えるだけで構いません。
順番2:参加者の自己紹介
初対面のメンバーが多い場合は、一人ひとり順番に名前や担当を答えてもらいます。
もし、話し合う前に何度か顔合わせをしているのであれば、ケアマネが一人ひとりの名前と担当を紹介する形でも問題ありません。
順番3:話し合い
冒頭で伝えた議題を参加者全員で話し合いをしていきます。
もし話が脱線しそうになった場合は、話を止めて元に戻してください。
順番4:利用者さんとその家族への確認
各職種の担当者の意見を聞き終えたら、次に利用者さんとその家族に確認します。
その際、専門用語は、利用者さんや家族にわかるよう噛み砕いて伝えるようにしましょう。
順番5:会議内容の整理・課題の確認
話し合いが終わったタイミングで会議内容をまとめ、改めて情報を共有します。
もし、新たに課題ができた場合は、解決策を改めてここで共有しておきましょう。
順番6:締めの挨拶
最後は、集まった参加者に対しお礼を伝えて終わります。
地域ケア・個別支援会議とは何が違う?
地域ケア・個別支援会議とサービス担当者会議の違いは「議題」と「対象」にあります。
サービス担当者会議では利用者さんのケア方法を話し合いますが、地域ケア会議は地域の人の問題を話し合う場です。
個別支援会議は、障害者一人ひとりの支援について「これからできること」「現状のできていないこと」「工夫してできたこと」を確認するために行われます。
サービス担当者会議とは、話し合いをする対象、話し合いの内容が大きく違います。
サービス担当者会議についてのまとめ
サービス担当者会議は、編成したチームと利用者さんとその家族で、ケア内容の方針を決めるために欠かせないものです。
<開催タイミング>
- 要介護更新認定を受けた
- 要介護区分変更を申請することが決まった
- 身体状況や居住環境が大きく変化した
- 利用者さんのサポートが困難になった
- ケアプラン内容の変更が決定した
上記のように利用者さんによってタイミングは異なるため、開催タイミングを見極める必要があります。
ケアの内容や利用者さんとその家族の希望・要望を共有することは、安全に支援するために必要なことです。
それを意識して、会議に臨むようにしましょう。