「ばね付き箸」「介護用スプーン」など、さまざまな介護の便利グッズが販売されていますが、こうした製品はお店で買わずに手作りすることも可能です。家にある身近な素材で作れるグッズもあり、さほどハードルは高くありません。
今回は、たくさんある手作り便利グッズの中から、初心者でも作りやすく、かつ実用性の高いグッズを厳選して6つ紹介します。手作りにチャレンジしたい方はぜひご参考ください。
手軽に作れる介護の便利グッズ6つ
ここでは、以下6つの手作り便利グッズについて、特徴や作り方を解説します。
- ばね付き箸(自助箸)
- 介護用スプーン
- 食事用エプロン
- 滑り止めランチマット
- ソックスエイド
- 足元照明
いずれも、制作の難易度は低めであるため、手軽に挑戦することができます。
ばね付き箸(自助箸)
手の力の弱った高齢者の場合、通常の箸では食べ物を上手く掴めないことがあります。「ばね付き箸」は2本の箸の根本をばねで繋げた介護用の箸であり、軽く握るだけで箸の先端がピタリと合う造りとなっています。
ばね付き箸は、割り箸と輪ゴムを使い、以下の手順で手作りすることができます。
手順1:割り箸を2つに割る
手順2:割り箸の根元に輪ゴムを巻きつける(箸の根本から1/3あたりの場所に輪ゴムを5週程度巻く)
手順3:割り箸の入っていた袋を1㎝幅にして丸めていく(袋がない場合、いらない紙でも代用可能)
手順4:丸めた袋をさらに2つに折る
手順5:丸めた袋を割り箸2本の間に差し込み、根元の輪ゴムの位置まで押し込んでいけば完成
介護用スプーン
「介護用スプーン」とは、要介護者でも持ちやすいようにグリップ部分などに改良を加えたスプーンです。
手作りする場合には、使わなくなったホース(ビニールホース)が利用できます。ホースを10センチ程度にカットし、通常のスプーンの持ち手(柄)の部分に差し込めば介護用スプーンの完成です。ホースのゴムがグリップの役割を果たし、軽い力でスプーンを握れるようになります。
なおスプーンとホースのサイズが合わずにズレる場合には、ホースの表面にハサミを入れて切り込み(通し穴)を2つ入れ、スプーンの持ち手側の先端を2つの切り込みに通していくことで、固定しやすくなります。またホースがない場合には、スポンジなどを巻きつけて作る方法もあります。
食事用エプロン
「食事用エプロン」は、食べ物や飲み物が飛び散るのを防ぐ便利グッズです。ベッドの上で食事をする時などに、胸に装着して使います。
スーパーの買い物袋やポリ袋などをハサミでカットすることで、使い捨ての食事用エプロンが手作りできます。また、使わなくなった衣服などを使い、繰り返し使える本格的な食事用エプロンを作る方法もあります。
滑り止めランチマット
「滑り止めランチマット(ランチョンマット)」は、食器やコップを安定して置くためのランチマットです。食べ物をこぼしやすい方や不安定な場所で食事をする際に活躍してくれます。
手作りする場合、100円ショップなどで「滑り止めシート」を購入し、四角形にカットすれば、それだけで簡易な滑り止めランチマットの完成です。
物足りない場合、以下のようなアレンジを加えてみるのもおすすめです。
- お膳やトレイを用意し、その上にカットした滑り止めシートを敷く
- 布などしっかりとした素材で作った表面用のシートを用意し、その下にカットした滑り止めシートを敷く
- カットした滑り止めシートに両面テープなどで縫込みを入れ、模様を作る(詳細は以下の参考動画を参照)
ソックスエイド
「ソックスエイド」は、手足が不自由になった方でもスムーズに靴下を履くことができる自助具です。
ソックスエイドは、クリアファイルと紐を使い、以下の手順で手作りすることができます。
手順1:クリアファイルや牛乳パックなどに型を取る(型紙はインターネット上で探せばさまざまなタイプが見つかります)。
手順2:ハサミで型の通りに切り抜く(尖った部分が残らないように注意する)
手順3:切り抜いた型の両端に穴をあけ、紐を通し完成
足元照明
「足元照明」は、夜間トイレへ行くときなどに足元を照らしてくれる照明です。
100円ショップやネット通販では、人感センサー付きのセンサーライトが数百円程度で購入でき、そのままコンセントにさせば足元照明の完成です。
他にも以下のように、さまざまな作り方がありますので、ご家庭の状況に合わせ工夫してみましょう。
タイプ | 特徴や使い方 |
---|---|
コンセントタイプ | コンセントに差し込むタイプ。コンセントが近くに無い場合は、延長コードを使うことで位置調整が可能。 |
貼り付けタイプ | コンセントなしで貼り付け(設置)できるタイプ。電池式と充電式がある。廊下やトイレ個室内など、場所を選ばず設置可能。 |
常夜灯タイプ | 明暗センサーにより、日が落ち暗くなると常時点灯するタイプ。 |
スマートタイプ | スケジュールを設定し、特定の時間のみ点灯できるタイプ。照明器具本体にスマート機能が埋め込まれている製品もあるが、別途「スマートプラグ」を使って疑似的につくる方法もある。 |
この他にも、テープLEDライトを使って廊下や階段を一直線に明るくする方法や、壁にセンサーライトを埋め込み本格的なDIYを行うなど、多彩なアレンジ方法があります。
介護の便利グッズを手作りする際の注意点やポイント
ここでは介護の便利グッズを手作りする際の注意点を3つほど解説します。作り方を間違えると事故などに繋がることもありますので、気を配りながら作りたいところです。
注意点1:身体状況に合った造りにする
介護用品や自助具は、使う人の身体に合ったサイズや形状のものが求められます。特に前述した「ばね付き箸」や「介護用スプーン」のような介護グッズは、サイズや形状が合っていないと、かえって持ちにくくなることもあります。
もし使いにくい動作が見られる場合には、素材を変えたり、カットして短くするなど、微調整してあげることも大事です。
注意点2:安全な造りにする
手作りの場合、ハサミやカッターで素材をカットすることも多いですが、尖った部分(バリ)が残っていたりすると、使用する際に手を傷つけることがあり危険です。尖った部分は削って平らになるように処理し、安全な造りにしましょう。
また、しっかりと組み合わせや固定ができていないと、使用中に手作りグッズが破損したり、部品が落ちたりして、負傷してしまう恐れもあります。まずは作ったグッズを自分で使い込み、問題がないかをよくチェックしてから実用に進めたいところです。
注意点3:使い方を入念に教える
介護用品をどのように使えばよいかわからない方もおり、誤った使い方をされると事故に繋がる恐れがあります。使い方や機能については入念に説明し、また実際に本人に使ってもらい身体で覚えてもらうことも大切です。
なお、教えても使いにくそうにしている場合や、使用することでストレスを感じてしまってる場合には、使用をやめたり、製品を換えたりすることも大切です。
手作りグッズは想いや気持ちも伝わる!
以上、手作りの介護の便利グッズについて紹介しました。
介護用品を手作りすれば、市販品を購入した場合よりコストを抑えられることがあり、また手作りの想いが伝わり、喜んで使って貰えることもあります。
今回紹介したように、作る上であまり技術を必要としない手作り便利グッズもありますので、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょう。