認知症高齢者の数は2025年には約700万人を超えると見られ、5人に1人が認知症になると言われています。
世間では2025年問題とも呼ばれていて、介助する必要がある人に対して介護士が足りていないことが大きな問題になっています。
認知症は誰もが関わる可能性がある身近なことであり、他人事とは思えないほど大きな社会問題になりました。
今後も認知症になる方は多くなると見込まれていますが、多くの介護士は認知症について詳しく知りません。
認知症の利用者さんをより、サポートするために「認知症介助士」という資格があります。
資格を取得することで利用者さんのご家族や施設からの信頼は高まり、技術の向上や自信にも繋げることができます。
この記事では認知症介助士について詳しく解説をしていきます。
認知症介助士の特徴
認知症介助士は民間資格であり、運営元は公益財団法人日本ケアフィット共育機構です。
介護職だけでなく、家族介護や医療従事者、認知症の方とも触れ合うことが多いサービス業の方にもおすすめの資格です。
認知症介助士の資格を取得するには、日本ケアフィット共育機構が開催している認知症介助士試験に合格する必要があります。
認知症介助士の資格は比較的短時間で取得できるため、挑戦しやすいのも特徴です。
認知症介助士の受験資格は何が必要か?
認知症介助士には特別な受験資格は特に必要がなく、誰でも取得できます。
認知症介助士の試験対策勉強には2つのパターンがあります。
- 公益財団法人日本ケアフィット共育機構が開講する「介助士セミナー」を受講して受講する方法
- 独学あるいは通信講座で自宅学習し受験する方法
以下、詳しく解説していきます。
①公益財団法人日本ケアフィット共育機構が開講する「介助士セミナー」を受講して受講する方法
認知症セミナーを受講後に認知症介助士試験を受けることができます。
しかし、認知症セミナーは全国各地で開講している訳ではありませんので、自身で開催日程を調べる必要があります。
認知症セミナーの開催日や受講できる人数は決まっていますが、短時間で集中して資格を取得されたい方にはおすすめの資格です。
セミナーを受講するには公認テキストが必須となり、受講料金と検定試験料金とテキスト代を含めると約20,000円が必要になります。
②独学あるいは通信講座で自宅学習し受験する方法
公認テキストや検定問題の対策問題集を用いて自宅学習でも受験勉強を行うことができます。
また、通信講座や大学の講座を申し込み、専用のテキストや副教材を用いて学習する方法もあります。
資格の学習で得られる知識
認知症の方が安心して日常生活を送るために、認知症について正しい知識や認知症高齢者に対する正しい接し方を学ぶことができます。
認知症の初期症状は人それぞれ違います。
認知症の知識のない状態では、驚きや困惑、混乱することもありますが、資格を取得することにより落ち着いた対応が可能になり利用者さんやご家族にも安心に繋がります。
認知症介助士のやりがい
認知症の症状はさまざまです。
自身が適切な対応として思っていたことが逆に利用者さんの混乱を招くこともあり得ます。
認知症をより理解をするために介護士は日々知識を蓄えていくことが大切です。
その時々に応じた対応が求められる中、たくさんの方への対応をスムーズに行えるようになると、認知症で困っている方への安心感にも繋がります。
認知症介助士としての働く場所
認知症介助士を取得して、就職や転職に役立てたいと思っている方も多くいます。
認知症の方が利用する施設は多数ありますが、認知症介助士としての募集をみることが少ないです。
しかし、資格を取得することにより意欲が伝わり就職に有利に動くことは充分にあります。
特に、認知症の診断を受けた方々が利用するグループホームは、資格を充分に活かすことができる場所ではないでしょうか。
グループホームは、少人数のアットホームな雰囲気が魅力で、認知症の方や軽度な障害をもたれている方が集団で生活を送ることができます。
普段の生活の中で、難しい部分を手伝い、促しながら見守りや支援をします。
しかし、認知症介助士の資格は「介護福祉士」や「介護福祉士実務者研修」の様にキャリアアップや給与のアップに繋げることが現在はできていません。
2025年問題にもあるように認知症と診断されていく方は増えていくことを見ると介護士の中でも認知症に強いプロフェッショナルは重宝されると見込まれます。
認知症介護に少しでも興味がある方は、各自治体で講習がある認知症サポーターという資格も受講することをおすすめします。
認知症サポーターについて
認知症サポーターとは認知症に対する正しい知識と理解をもち、地域で認知症の人や家族に対してできる範囲で手助けをする「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症高齢者等にやさしい地域づくりを目的に取り込んでいます。
- 認知症に対して正しく理解し、偏見を持たないこと
- 認知症の人や家族に対して温かい目で見守ること
- 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践すること
- 地域でできることを探し、相互補助・協力・連携・ネットワークをつくること
- まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍すること
この5つが認知症サポーターに求められるものです。
認知症サポーター養成講座の受講資格は、特別な受講資格は必要がないことが特徴です。
自身が受講した際は地域住民や高齢者と関わることが深い銀行員や薬局の方などさまざまな職種の方が受講されていました。
開催場所は各自治体により様々な場所で行われますが、介護施設や市民センターで行われることが多いです。
私も受講したことがあり、市民センターで講習会を約2時間の講義を聞き資格を取得しました。
認知症ヘルパーの1番の利点は、他の介護士さんや地域の方との交流を深めることだと感じています。
費用自体も無料で受講できるため、気軽にチャレンジできます。
認知症介助士のまとめ
認知症高齢者の数は今後、増加していくことが予測されています。
私も介護士として働いていますが、介護に求められているものは決して技術やタスクを完了させる能力だけではありません。
根幹にあるものは人を理解する能力が必須と言っても過言ではないと感じています。
介護士としてより多くの人を理解したいと思う気持ちがあれば、まずは病気や症状を理解することが何よりも大切です。
しかし、いきなり認知症介助士から取得するのは気がひけるという方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方はまず、地域の自治体がやっている認知症サポーターの資格を受講してみることもいいかもしれません。
認知症サポーターは認知症介助士よりも取得しやすいです。
まずは興味を持って一歩ずつ挑戦してみることが、自身のキャリアを広げる手段になります。