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認知症になりやすい人ってどんな人?遺伝や生活習慣が関係する?特徴や予防方法

日本は超高齢社会に突入しました。

令和3年10月時点で高齢化率は28.9%です。

将来推計人口でみると、2065年には約2.6人に1人が65歳以上になります。

高齢化に伴い、認知症患者の増加が予測されます。

認知症の予防は、個人にとっても社会にとっても大きな影響をもたらすことでしょう。

今回は、認知症になりやすい人の特徴や予防方法を紹介します。

目次

認知症の原因は?

認知症 原因

認知機能の低下を引き起こす原因は以下の2つです。

  • 認知機能を使わないことによる廃用性の機能低下
  • 疾患によるもの

原因はひとつだけではなく、脳の器質的変化を引き起こす原因それぞれが相互に影響しあって現れています。

また、原因によって症状の現れ方や治療方法は異なります。

周囲の人が違和感を持ったら、早期に受診し診断を受けることが重要です。

参考)認知症予防・支援マニュアル(改訂版)(厚生労働省)

認知症は遺伝する?

認知症 遺伝

認知症の原因には、遺伝的な要因も関わっているといわれています。

認知症の種類の中で、最も多いのはアルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症の約60%が遺伝的要因による先天的なもの、約40%が生活習慣や身体疾患などの後天的な環境要因によるものです。

数値をみて分かるように、アルツハイマー型認知症は遺伝的な要因が大きく関係しています。

アルツハイマー型認知症の発症の原因は、特殊なタンパク質が脳内に蓄積することです。
特殊なタンパク質の蓄積は遺伝子が起因となっており、この遺伝子に変異が生じると、原因となるタンパク質が産生・蓄積され「家族性アルツハイマー型認知症」を発症します。

また、アルツハイマー型認知症の発症のしやすさに影響する遺伝子が「感受性遺伝子」です。
発症の確率が高くなるといわれる感受性遺伝子を両親から受け継ぐことで、発症しやすいことが明らかになっています。

認知症になりやすい病気は?

認知症 なりやすい病気

様々な原因が相互に影響しあって症状が現れるものが認知症です。

生活習慣や身体疾患が認知症の発症に影響するともいわれています。
長年の生活習慣が原因になっている生活習慣病を含む以下の5つの疾患は、認知症発症のリスクを高めます。

  • 歯周病
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 腎臓病
  • 難聴

①~⑤の疾患が1つでも当てはまると、認知症の発症リスクが高まります。
また、複数当てはまる方は、さらに発症リスクが高いといっていいでしょう。

なぜ5つの疾患が認知症の発症リスクを高めるのか、それぞれの疾患と認知症とのつながりを紹介します。

参考)
知っていますか?認知症と歯周病の関係(山梨県厚生連)
認知症(国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター)

歯周病

歯周病は50歳以上の約80%がかかっている疾患です。

歯周病菌が体内に侵入して認知症の原因物質が脳に蓄積することで記憶障害が起きると解明されました。

特殊なタンパク質が、少しずつ脳に蓄積することで認知症は発症するとわかっており、脳へ蓄積する速度を速めてしまうのが歯周病菌です。

また、抜けている歯の本数が多いほど認知症を発症しやすいことも分かっています。

糖尿病

糖尿病の方のように、高血糖の状態が長く続くと脳の動脈硬化が進み、脳が必要とする酸素と栄養が届かないことで認知機能は低下しやすくなります。

高齢者など、もともと軽度の認知障害があるとさらに認知症を発症しやすいといわれています。

また糖尿病の治療の副作用として生じる可能性のある重篤な低血糖も、認知症の発症リスクを高める原因です。
一方で認知機能が低下すると、糖尿病の治療としての内服やインスリン注射が確実におこなえない可能性があります。

また食事や運動の管理もできなくなると、認知症の悪化につながります。

高血圧

高血圧は数ある病気の中でも、罹患者の多い生活習慣病です。

認知症は「脳血管障害による認知症」と「神経変性による認知症」の2つの分類に分かれます。

特に高血圧と関係が深いと報告されているのが「脳血管障害による認知症」です。

中年期および老年期の高血圧は、血管性認知症の発症に有意な危険因子であると報告されています。

血圧が正常な方が血管性認知症を発症する確率を1.0とすると、高血圧の方の発症する確率は以下の表のとおりです。

中年期老年期
正常血圧1.01.0
高血圧前症状2.43.2
ステージ15.94.7

腎臓病

腎機能障害を抱えている方は、そうでない方と比較し認知機能障害のリスクが約50%弱増大することが明らかになっています。

腎臓病と認知症の原因、機序は以下の2つが考えられます。

  • 腎不全を二次的に併発する高血圧や糖尿病によるもの
  • 末期腎不全による尿毒症そのもの

高血圧や糖尿病については前述しましたが、2つとも腎不全を併発しやすい疾患です。

末期腎不全により維持透析をされている方でも、状況によっては尿毒症を起こすリスクがあるので注意が必要です。

難聴

高齢者は音を感知する電気信号がうまく伝わらず、高い音を聞き分けることが困難になります。

高い声や早口で話されると、聞き取りづらく理解に時間がかかります。
曖昧な返事をしたり、相手への気兼ねでコミュニケーションを避けてしまうのです。

また、耳垢による耳の閉塞で聞こえが悪くなります。
聞こえが悪くなるとさらにコミュニケーションが減り、社会から孤立してしまいます。

脳への刺激が減ることで、脳の萎縮が生じてしまうので認知症が起こりやすいです。

認知症になりやすい人の特徴は?

認知症 なりやすい人 特徴

病気だけでなくどのような生活習慣を送っているか、どのような性格かも認知症のなりやすさに影響します。

どのような人が認知症になりやすいか、なりやすい人の特徴をご紹介します。

  • 食生活が乱れている
  • 歯磨きをあまりしない
  • 夜更かしをしている
  • スマホを長時間触っている
  • タバコやアルコールをよく摂取する
  • 家族や友達との関りが少ない
  • ストレスが多い
  • 病院嫌い

上記8つに当てはまる方は注意が必要です。

それぞれ、なぜ認知症になりやすいかを説明していきます。

参考)e-ヘルスネット(厚生労働省)

食生活が乱れている

アルツハイマー病患者の多くは、栄養バランスが崩れていることが明らかになっています。

男性患者は健康な人と比較し摂取エネルギー量が約3倍多く、その他に穀類・肉類・植物油の摂取量が多いです。
一方女性患者は1日に必要なエネルギー量と、海草や緑黄色野菜の摂取量が不足しています。

認知症の危険因子のひとつである高血圧は塩分やコレステロールの過剰摂取が原因となっているので、食生活が乱れている方は認知症になりやすいです。

歯磨きをあまりしない

認知症には「脳内の過剰な炎症」が影響していると考えられています。

脳内での炎症に大きく関係しているのが「歯周病」です。
アルツハイマー型認知症患者の脳内調査では、歯周病の原因菌である菌の細胞外膜が発見されました。

歯磨きをあまりしない方の口腔内で歯周病の原因菌が繁殖し、口腔内から血管を通って脳内に達したのではないかと考えられています。

夜更かしをしている

アルツハイマー型認知症は「アミロイドβ」という特殊なたんぱく質が脳内に蓄積し、神経細胞が破壊されることで発症します。

本来であれば、「アミロイドβ」は睡眠中に血中へ排出され、体外から減る仕組みです。
しかし睡眠不足が続くと集中力・代謝の低下に加え、「アミロイドβ」が脳内に蓄積され続けます。

脳内への沈着が促進されると、認知症になりやすくなると考えられています。

スマホを長時間触っている

若い世代の方でも認知症になりうる可能性があり、「スマホ認知症」が問題視されています。
「デジタル認知症」とも呼ばれており、物忘れをしてしまう症状があります。

スマホから多くの情報を収集することで、前頭前野が処理しきれずパンク状態に陥ってしまうのです。
パンク状態になることで、集中力が途切れやすく思考力が低下します。

スマホを長時間使用することで脳が疲弊し、スマホ認知症を引き起こします。

またブルーライトによって睡眠の質が下がることにもつながります。

タバコやアルコールをよく摂取する

喫煙者は、糖尿病や歯周病になりやすいといわれています。

前述したように、糖尿病や歯周病は認知症のリスクを高めるのです。

喫煙と認知症の関係について、喫煙は認知症発症のリスクが有意に関連すると報告されています。
そして、アルコールは摂取量が多いほど脳が委縮します。


またアルコールが、加齢による記憶・学習能力の低下を促進させてしまいます。

家族や友達との関わりが少ない

人との関わりやコミュニケーションでは脳の働きが必要です。

例えば「〇〇さんと会うから何時にどこで待ち合わせをする」「今は〇〇の話題だから、次は〇〇について話をする」など記憶したり、思考を巡らせたりと脳が活発に働いています。

しかし、高齢になると社会や家庭での役割から離れる人も多いです。

役割から離れることで、人との関わりが減少します。

周囲の人との関係が希薄化すると、脳の働く機会が少なくなるため、認知症になるリスクが高まります。 

ストレスが多い

仕事・人間関係・金銭問題などストレスは多種多様です。

また、ストレスは長期化することも多いです。
長期的な精神的ストレスは、血管収縮を引き起こし脳への血流減少の原因となります。

脳への血流減少の結果、脳神経の働きが低下します。

脳神経の働きが低下することで、記憶力をつかさどる領域が委縮し認知症につながるのです。

病院嫌い

病院嫌いな方ですと、認知症の原因疾患の早期発見ができない可能性があります。

原因疾患が未治療となり病状悪化が進んでしまうことで、認知症発症のリスクが高まるのです。
元々の病院嫌いに加え、認知症が発症してしまうとさらに受診することが厳しくなります。


そうなると、認知症も時間とともに進行していきます。

周囲が気付いて受診を進めても「自分はおかしくないから」と受診を拒むのです。

認知症を予防する方法は?

認知症 予防する方法

認知症を予防する方法7つを以下にまとめました。

  • バランスのとれた食事を心がける:若い脳を保つためには「減塩」「抗酸化」「低コレステロール」がポイント
  • 適度な運動を習慣にする:認知症の原因疾患となる生活習慣病を予防
  • 睡眠を十分にとる:脳の休息が必要
  • 過度な飲酒・喫煙を控える:飲酒は適度に、可能であれば禁煙
  • 人との交流をもつ:脳が働く機会を確保
  • 趣味をもつ:知的活動や社会参加で脳を活性化
  • 病気の治療をする:認知症の原因疾患の悪化予防

認知症はできるだけ早く予防に取り組みましょう 

認知症 予防

認知症を100%予防するのは難しいですが、予防のためにできることは多数あります。

まずは、認知症の原因疾患となる疾患にかからないような取り組みが必要です。

また認知症になりやすい人の特性や生活を理解したうえで、意識して生活スタイルを改善させることが重要です。

できるだけ長い間自分らしく伸び伸びと生活できるようにするためにも、できるだけ早く予防に取り組みましょう。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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