介護の仕事をしている人の中には「資格を取っても給料が変わらないのではないか」「給料が上がったとしても、微々たるものではないか」と思い、資格を取るのに躊躇するという人もいるでしょう。
しかし介護福祉士等の資格を持つことで、給料が上がるだけでなくキャリアアップや転職の幅が広がるなど、多くのメリットがあります。
この記事では、介護士が資格を取得すると給料が上がる理由と、どの位上がるのか、また資格を活かして給料を上げる方法などについてお伝えしていきます。
介護福祉士などの有資格者は、事業者にとってありがたい
介護士の資格には様々な種類がありますが、特に人気の介護資格として「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」があります。
中でも介護資格唯一の国家資格とされる「介護福祉士」の取得を目指す方は多いです。
なぜ介護福祉士の資格を持っている方が給料が上がるのか説明していきます。
結論として「介護福祉士持ちは、事業者にとってありがたい」からです。
介護保険制度に基づいて介護報酬を請求する場合、様々な加算をつけることができます。
その中の1つとして「サービス提供体制強化加算」があります。
サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士などの有資格者の割合や勤続年数によって「質の高いサービスを提供する体制にある」事業所と評価される加算のことです。
加算に該当する介護サービスとして、特養などの老人福祉施設や、訪問入浴介護などがあります。
介護福祉士を持っている人が多ければ多い程、より加算が増えます。
結果的に事業所として利益が増え、職員の給料も増えるのです。
勤務年数や資格所得によって給料が上がる
介護職員の給料は、勤務年数や資格取得の有無によって異なります。
厚生労働省が発表した令和2年度介護従事者処遇状況調査結果によると、勤続年数による給与の平均は、下記のようになっています。
勤続年数 | 平均給料 |
---|---|
1年(勤続1年~1年11ヶ月) | 28万3480円 |
2年(勤続2年~2年11ヶ月) | 28万7940円 |
3年(勤続3年~3年11ヶ月) | 29万1010円 |
4年(勤続4年~4年11ヶ月) | 29万6700円 |
5年~9年 | 30万7980円 |
10年以上 | 35万820円 |
また資格の有無によっても、下記のように異なります。
資格 | 平均給料 |
---|---|
介護福祉士 | 32万9250円 |
実務者研修修了者 | 30万3230円 |
初任者研修修了者 | 30万1210円 |
資格なし | 27万5920円 |
上記のように、資格を取得し、スキルアップをすれば、給料が上がるというデータがあります。
また介護職の特性として、他の業種や職種に比べて採用される年齢の幅が広いことが上げられます。
介護の仕事は何歳からでも資格取得を目指すことができ、キャリアアップするにも年齢に制限がないめずらしい職業なのです。
資格を持っているからといって、必ず給料が上がるとは限らない
介護福祉士などの資格を持っているからといって、必ず給料が上がるとは限りません。
なぜなら、介護職員の給料は事業所の経営状態によって、左右されることが多いからです。
仕事の合間に勉強し、介護福祉士の資格を取ったとします。
しかし下記の状況の場合、事業所として職員の給料を上げるのが厳しいことがあります。
- 介護職員が少なく、職員も定着しないので新しい入居者や利用者を受け入れることができない
- 電気代や物価の高騰で、出費が多い
また事業所によっては「介護職員処遇改善加算」を取得していない場合があります。
介護職員処遇改善加算とは、キャリアアップの仕組みの構築や職場環境の改善を行った事業者に対して、介護職員の給料改善のために介護報酬に上乗せされ、国から支給されるものです。
この介護職員処遇改善加算ですが、事業所が申請しないと支給されません。
なので申請していなかったり、事業所を立ち上げたばかりで仕組みの構築が乏しかったりしている場合は、加算がつかず、給料が低いままであることが多いのです。
資格を取って給料を上げるにはどうすれば良い
資格を取って給料を上げるには、2つの方法があります。
- 職場内でキャリアアップする
- 転職する
どのような方法なのか、説明していきます。
職場内でキャリアアップする
1つめは「職場内でキャリアアップする」ことです。
例えば訪問介護の場合、介護福祉士や実務者研修といった資格を取得していれば「サービス提供責任者(以下サ責)」になることができます。
サ責の仕事内容として、次の8つが挙げられます。
- 利用者の申込みや相談の対応
- 利用者や家族との面談・面接
- サービス担当者会議への参加
- 訪問介護計画書の作成
- サービス提供手順書の作成
- 同行訪問
- モニタリング
- ヘルパーへの支援や研修指導
業務は多岐にわたり責任も伴います。
その分やりがいもあり、給料も一般ヘルパーに比べて高いです。
役職に就く為には、常日頃から真面目に業務を行い、上層部から評価されることが必要です。
資格を持っていても「あの人の下で働きたくない」と他の職員から思われていては、業務が成り立たなくなるばかりでなく、離職に繋がる可能性もあります。
職場内で出世したいと考えているのであれば、日々の業務に真剣に取り組み、他の職員とも円滑にコミュニケーションを図り、良好な関係を築くことを心掛けましょう。
転職する
2つめは「転職する」という方法です。
介護業界は、他の職種に比べて転職しやすいです。
資格と経験があれば、採用される確率が高いです。
退職するときに気をつけておくべきことは、2つあります。
1つは「転職先を決めてから、退職を伝える」ことです。
上司に退職を伝えると、様々な理由をつけて引き留められます。
特に次の職場が決まっていない状態で言ってしまうと「次が決まるまで、とりあえずここで続けて貰えないか」と、説得しようとします。
なので「転職先が決まり、○月から働くことになったので、△月末で辞めさせて頂きます」
と、次の転職先で働く日が決まっていることを伝えた上で、退職の話を切り出しましょう。
2つめは「退職は2ヶ月前に言う」ことです。
一般的に退職を伝えるときは「1ヶ月前」としている事業所が多いでしょう。
しかし介護事業所の場合は、2ヶ月前に伝える方が良いです。
理由として「シフト調整」があるからです。
特養を例にあげましょう。
特養の場合、夜勤を含めたシフト勤務を行っています。
職員が希望休を申請する場合「○日の10日まで申請してください」と言われることが多いでしょう。
シフト作成者は希望休を元にシフトを作成し、月の25日頃に翌月のシフトを出しています。
なので、退職する1ヶ月前に伝えてしまうと、シフトを再度調整しなければならず、事業所としても難色を示す場合があります。
まして有給の消化などは、もっと難しいです。
スムーズに退職し、かつ有給を消化したいのであれば、2ヶ月前に言うことをおすすめします。
転職の場合、どのように探せば良いか
転職活動を行うときまず利用してほしいのは「ハローワーク」です。
介護事業所にとっても、ハローワークは求人情報掲載が無料ということで、7割を超える介護事業所が利用しています。
なので、多くの求人を閲覧することが可能なのです。
また人材紹介会社を利用するという方法もあります。
忙しくて転職活動ができなかったり、ハローワークが遠方にあり行くのが困難であったりしている人には、おすすめです。
また紹介会社は紹介先から成功報酬として、紹介した職員の年収の2割から3割をもらいます。
その為、人材紹介会社を利用している事業所は、ある程度資金に余裕があると考えられるので、現状より給料が高くなる可能性が高いです。
介護の資格を取得することで、給料アップだけでなく自分の生活も豊かに。
介護士の給料は、資格の有無や経験年数によって上がることが多いです。
しかし事業所によっては、せっかく頑張って資格を取っても、経営状態によって給料が上がらないという場合があります。
介護の資格を活かして給料を上げたいのであれば「職場内で役職に就くなど出世する」「待遇の良い職場に転職する」という方法を取りましょう。
転職の方法を取る場合は、有休消化をすることも考慮し、2ヶ月前に伝えるのが良いです。
転職先を探す方法としては、ハローワークで探す以外にも、人材紹介会社を使うという方法があります。
人材紹介会社を利用している事業所は、比較的資金に余裕があるので、転職して給料が上がる可能性があります。
介護業界は、他の職種に比べて転職しやすいです。
転職することで、給料が上がるだけでなく、環境が変わることで働きやすくなることもあります。
是非、資格を取ってよりよく働きましょう。