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介護職の給料が上がるって本当?いつから上がる?国の取り組みと自力で給料を上げる方法

介護職の人手不足の原因は、介護職員の離職率の高さと求人募集に応募がこないことです。

そこで国は、介護職員の給料を上げる取り組みを始めました。

しかし「実際にどのくらい給料が上がるのか」「今後も上がり続けるのか」と気になる方もいらっしゃいますよね。

そこで今回は、過去10年間の給料データで介護職員の給料推移を確認しながら、自力で給料をあげる方法を解説していきます。

目次

介護職員の給料が上がるって本当?

介護職 給料アップ

国が行っている介護職員の給料を上げる取り組みは全部で3つです。

  1. 処遇改善加算
  2. 特定処遇改善加算
  3. 介護職員等ベースアップ等支援加算

処遇改善加算は資格の有無に関係なく、給料が上がる仕組みであり、介護職員の平均給料の底上げを目的としています。

特定処遇改善加算は、処遇改善加算に上乗せするかたちで給料が上がる仕組みです。創設の目的は「経験・技能のある介護職員の離職を防ぐため」です。

介護職員等ベースアップ等支援加算は「介護職員の給料を3%程度(月額9,000円相当)引き上げるための処置」です。

実際に処遇改善加算が開始された2011年から2021年までの介護職の給料を比較すると、平均給料が13,900円上がっています。

また、処遇改善加算は雇用形態や資格の有無に関係なく、パートや派遣社員のような非正規職員も対象です。

この3つの取り組みがいつから始まり、どれくらい給料が上がるのか確認していきます。

介護職の給料はいつから上がる?

介護職 給料アップ いつから

処遇改善加算と特定処遇改善加算の2つの取り組みが行われたあと、どれくらい給料が上がったのか紹介します。

2022年に新設された介護職員等ベースアップ等支援加算(月額9,000円ベースアップ)についても詳しく解説していきます。

2012年から国の政策として設けられた

処遇改善加算とは、2011年に開始された処遇改善交付金を2012年に名称変更後、新たに設けられた加算です。

「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」の2つを満たした事業所や介護施設に、国から処遇改善のためのお金が補填される制度です。

補填される金額は5区分に分かれており、満たしている要件に応じて金額が増えていく仕組みです。

全ての要件を満たすと介護職員1人あたり37,000円が加算されます。

  • 加算Ⅴ:12,000円
  • 加算Ⅳ:13,500円
  • 加算Ⅲ:15,000円
  • 加算Ⅱ:27,000円
  • 加算Ⅰ:37,000円

加算Ⅰの37,000円を取得するには、下記のⅠ~Ⅲのキャリアパス要件を全て満たす必要があります。

  • Ⅰ職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
  • Ⅱ研修の実施や研修の機会を儲けていること
  • Ⅲ経験や資格に応じて昇給する仕組みや、定期に昇給する仕組みがあること

また、職場環境等要件である「賃金改善以外の処遇改善の取り組みを実施すること」を満たしている必要があります。

職場環境等要件の具体例としては、職場環境改善を目的とした介助用シフトの導入や、書類業務の効率化を目的とした計画書ツールの導入などがあげられます。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p2」

2021年からさらに手厚い制度を実施

2019年に創設された特定処遇改善加算は、処遇改善加算に上乗せするかたちで、給料が月額8万円上がるように設けられた制度です。

創設の目的は「経験・技能のある介護職員の離職を防ぐため」であり、主に勤続10年の介護福祉士の資格を保有する職員が対象に加算が行われますが、2021年に改定された配分ルールに基づいて、事業所や介護施設の判断で他の職員への配分ができるようになりました。

なお、特定処遇改善加算を取得するには、以下3つの要件を満たす必要があります。

  • 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得していること
  • 処遇改善加算の職場環境等要件の中から、複数の取組みを行っていること
  • 処遇改善加算に基づく取組みについて、ホームページへの掲載等の見える化を行っていること

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p2」

2022年から介護職員9,000円ベースアップ

2022年には介護職員等ベースアップ等支援加算が設けられました。

この施策は「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき介護職員処遇改善支援金として2022年2月に前倒しで実施され、同年10月に現在の運用に変更しています。

介護職員等ベースアップ等支援加算は「介護職員の給料を3%程度(月額9,000円相当)引き上げるための処置」です。

給料3加算を取得するには、以下2つの要件を満たす必要があります。

  • 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得している事業所であること
  • 賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の2/3は介護職員等のベースアップ等に使用すること

まずは処遇改善加算の区分Ⅰ〜Ⅲを取得することで、特定処遇改善加算と介護職員等ベースアップ等支援加算の取得が可能になります。

介護職がもらえる給料の10年前と現在を比較

介護職 給料 比較

2021年度(令和3年)と2011年度(平成23年)の介護職員の平均給料を比較しました。

介護職員の平均給料は10年間で13,900円上がっています。

年度平均給料
令和3年度(2021年)187,180円
平成23年度(2011年)173,280円

特定処遇改善加算のスタートが2021年、介護職員等ベースアップ等支援加算が2022年から始まっているので今後の平均給料は、まだ上がることが予想されます。

参考:
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p197」
平成23年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p9」

今後も上がっていくのか?問題点を確認

介護職 給料

処遇改善加算は94.1%の事業所が取得(届出)し、加算Ⅰを79.1%が取得していますが、特定処遇改善加算の加算Ⅰを取得している事業所はわずか39.6%と伸び悩んでいます。

特定処遇改善加算の取得をとどまる理由には以下4つの問題点があります。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p7」

介護職員に全額支給されるとは限らない

特定処遇改善加算と介護職員等ベースアップ等支援加算は、該当する介護職員の人数分の金額が補填されますが、誰に分配するかは事業所や介護施設の判断にゆだねられています。

2019年のアンケートで、特定処遇改善加算を算定した事業所・介護施設1,016法人にアンケートを実施したところ、勤続10年の介護福祉士の給料が上がる平均は2万円という結果がでています。

1人8万円という情報が出回り過ぎているので、実際に支給された額が少なく感じる介護福祉士がいるのも事実です。

参考:2019年度介護職員等特定処遇改善加算アンケート結果について(独立行政法人福祉医療機構)

対象になる介護職員が少ない

勤続10年以上の介護福祉士がそもそも少ない上に、賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑だと感じる事業所が全体の42.2%もありました。

また、賃金が改善をすることにより職種間で賃金のバランスがとれなくなることを懸念していると答えた事業所が40.2%でした。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省)「p11」

施設によって給料格差が広がる可能性

大規模な事業所は資金に恵まれていることが多く、勤続年数が長いベテラン介護職員がたくさん在籍しています。

加算される金額も増え、給料に反映することで介護職員の定着が望めます。

しかし、資金力のない小規模な事業所に勤める介護職員は「給料があがるなら」という理由で、高収入がのぞめる大規模な事業所へ流出してしまいます。

大規模事業所には経験豊富な介護福祉士が集まり、小規模事業所は人手が集まらない状況になりえます。

今後も国の政策は続くのか?

長年の人材不足を解消するための政策なので、続けて欲しいと思う方がほとんどです。

特定処遇改善加算は、まだ始まったばかりの政策ですので、改定を行いながら問題点を改善していくと思います。

ですが、今後も高齢化が進むことを考えると、スキルや知識を持った介護職員は必要不可欠な存在です。

国からの支援に頼ることなく、給料が上がるように自助努力することも大切です。

介護職員が自力で給料を上げるには?

介護職 給料 上げる

介護職員が自ら給料を上げる方法を紹介していきます。

これから紹介する、給料が上がる5つの方法を実践することで、給料だけではなくスキルも習得できます。

資格を取得する

国家資格である介護福祉士の平均給料は、無資格の介護職員平均給料に比べ、57,460円上がっています。

他の資格の平均給料は以下の通りです。

  • 介護職員初任者研修:300,510円
  • 実務者研修:307,330円円
  • 介護福祉士:328,720円
  • 社会福祉士:363,480円
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー):362,290円

無資格の介護職平均給料が271,260円なので、介護職初任者研修を修了するだけでも29,250円アップします。

勤続年数を重ねる

勤続年数が長くなれば、給料もあがる場合が多いです。

下記の表は、勤続年数1年目〜10年目までの介護職員の平均給料です。

勤続年数平均給料
1年(勤続1年~1年11ヶ月)174,680円
2年(勤続2年~2年11ヶ月)175,010円
3年(勤続3年~3年11ヶ月)180,770円
4年(勤続4年~4年11ヶ月)179,600円
5年(勤続5年~5年11ヶ月)180,100円
6年(勤続6年~6年11ヶ月)180,300円
7年(勤続7年~7年11か月)180,360円
8年(勤続8年~8年11ヶ月)180,770円
9年(勤続9年~9年11ヶ月)185,670円
10年(勤続10年~10年11ヶ月)187,610円

介護職員初任者研修などの資格取得を支援してくれる施設もあります。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要 (厚生労働省)「p203」

管理職へのキャリアアップ

経験や継続年数を重ねることで、リーダーや主任のような役職を担うことが可能です。

管理職になることで役職手当も支給され、さらなる給料アップが期待できます。

夜勤の回数を増やす

一般的には夜勤手当が支給されます。

金額は事業所や施設によって異なりますが、基本的には1回につき5,000円~6,000円が支給されます。

夜勤の回数を増やすことで給料が上がる可能性があるので、無理のない範囲で夜勤の回数を増やしてみましょう。

別の施設へ転職する

大規模施設や待遇が良い施設に転職する方法もあります。

施設によって待遇や給料が違います。

施設を変えるだけで給料が上がることがありますので、転職サイトなどをチェックしてみましょう。

国の政策に期待しつつ資格を取得して給料を上げていこう!

介護職 給料 資格

国の取り組みは「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3種類があります。

決まった要件を満たすことで事業所や施設に給料として支払うべきお金が補填される仕組みです。

処遇改善加算以外の取り組みは2022年にスタートしたばかりなので、今後の調査が必要ですが、おおむね介護職員の給料は上がる傾向にあります。

まだまだ介護職員は人手不足の状況のため、継続して加算されることが予想されます。

介護職は資格取得などの自助努力で給料が上がるので、積極的に資格を取得しスキルアップしていきましょう。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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