介護職と聞いて「低賃金」というワードを連想する人は少なくないでしょう。
確かに、介護職の給料は比較的低いと言われています。
介護職を目指す上で「生活が苦しく、不自由を強いられるほど介護職の給料は低いのか」「今後介護職のお給料は上がっていくのか」などの給料事情は、詳しく知っておきたいですよね。
そこで今回は「今後介護職のお給料は上がるのか」という疑問に答えながら、介護職の平均給料、平均給料が高い施設・事業所を紹介していきます。
「給料」と「給与」何が違うの?
介護職の平均給料を紹介する前に、まずは「給料」と「給与」の違いを解説します。
「給料」と「給与」には2つの明確な違いがあります。
「給料」は、夜勤手当や通勤手当などの各種手当、賞与、残業代などを除いた基本給のことです。
一方で「給与」は、各種手当や賞与、残業代を含めた金額であり、毎月従業員に支払われる全ての金額を指します。
夜勤手当や残業代が含まれる「給与」の金額は大きくなりますが、夜勤や残業次第で変動します。
また、夜勤手当や残業代等は基本給である「給料」を基準にしているため、今回は「給料」に焦点を当てて話を進めていきます。
介護職の平均給料
介護職の平均給料は187,180円という結果が出ています。
この数字は年齢や性別、様々な介護施設を含めた平均値です。
介護職員の平均年齢は44.7歳、平均勤続年数は8.7年、そして平均実労働時間数は163.6時間です。
この金額に交通費や残業代、夜勤のある施設であれば夜勤手当等が発生します。
施設によって給料水準の違いはありますが、おおよそ18.7万円くらいの金額が介護職の給料です。
介護職の平均給料ランキング
支払われる給料の額は、働く施設や勤続年数等によっても変わります。
長く働けば給料が上がることは想像がつきやすいでしょう。
しかし、どこの施設で働けば他の施設に比べ、高い給料を稼げるかはなかなか想像がつきにくいです。
どこの施設で働けばいいのか悩んでいる人にとって、給料は働く場所を決める一つの要因になります。
わかりやすいように施設別の給料を、ランキング形式で紹介していきます。
施設別平均給料ランキング
まずは施設ごとによる給料ランキングを紹介します。
働く施設によって、働き方は異なるため一緒に解説していきます。
1位:介護老人福祉施設(特養)
介護老人福祉施設の給料平均は195,180円です。
介護老人福祉施設は、日常生活に介助が必要となった要介護3以上の高齢者が入居する施設です。有料老人ホーム等に比べ費用が安い、終身利用可能などの特徴があります。
2位:訪問介護事業所
訪問介護事業所の給料平均は192,340円です。
訪問介護事業所は自宅などで日常生活を営む利用者さんの元に職員が訪問し、排泄や食事の介助、家事代行などを行います。要支援1〜要介護5までの方が利用可能です。日常生活全般の支援を行いますが、注射などの医療行為は提供することができません。
3位:通所介護事業所
通所介護事業所の平均給料は185,260円です。
通所介護事業所は、一般的にデイサービスと呼ばれる事業所です。
利用者さんは自宅からデイサービスへ通い、入浴や食事の介助、レクレーションなどのサービスを提供します。
給料の引き上げを行なっている施設ランキング
給料の良い職場に就職できても、給料が上がらずむしろ下がってしまっては困ります。
就職した後のことも考え、できれば給料を上げてくれる職場を選びたいですよね。
そこで次は、先を見据えた職場選びに役立つランキングを紹介します。
このランキングは給料を引き上げた割合が高かった施設を紹介しています。
そのため、該当施設であれば、必ず昇給するわけではないことや、昇給金額は反映されていないことをご理解ください。
1位:介護老人福祉施設
介護老人福祉施設における、給料引き上げ割合は78.6%です。
介護老人福祉施設の特徴は前項で述べたとおり、有料老人ホーム等に比べ費用が安い、終身利用可能などの特徴があります。
2位:介護医療院
介護医療院における、給料引き上げ割合は74.7%です。
介護医療院は、医学的な処置、看取り、ターミナルの方を支えるための「医療的機能」など、生活を送るための環境を提供する施設です。
3位:介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設における給料引き上げ割合は73.5%です。
介護老人保健施設とは、介護を必要とする高齢者に対して、必要なサービスを提供し自宅復帰や施設復帰などの自立支援を行う施設です。
医師による医学的ケアやリハビリスタッフによるリハビリテーション、入浴や食事介助の提供といった日常生活の支援をしています。
介護職の給料は上がっていくの?
今の介護業界は、働く環境や給料に関する問題が改善され、一昔前のような低賃金で過酷な労働を強いられる環境から、 より働きやすい業界へと変遷を遂げています。 給料面に関しては今後上がっていくだろうと予測されます。
根拠を以下に述べていきます。
介護職の需要は増えている
「2025年問題」という言葉を聞いたことはありますか。
団塊の世代と呼ばれる方々が75歳を迎え、後期高齢者となるのが2025年です。
高齢者の数は、なんと800万人にも上ります。現在、日本では少子高齢化が進み、介護需要が急増しているため、、介護職の需要はこれからも高くなります。
働く人が増えることで介護業界も活性化し、給料面の見直しも行われていくでしょう。
離職率は改善傾向
令和3年の介護職の離職率は14.3%でした。介護職の離職率は平成19年度の21.6%をピークに右肩下がりです。
働く環境や待遇が見直され、働きやすい環境になったため、仕事を辞める人が減っています。
介護職の職場環境を整えるために国や自治体も力を入れており、今後需要が高まる介護業界では一層の見直しが進むと思われます。
特定処遇改善加算
特定処遇改善加算とは、介護職員の待遇を改善することを目的に創設されました。
「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という方針をもとに、他産業と同程度の水準まで給料の引き上げを行い待遇改善を図るものです。
給料をアップさせるための方法
次に、自分でできる給料の上げ方を紹介します。すぐに取り組める方法もあるので参考にしてみてください。
夜勤を増やす
夜勤手当は、夜勤の勤務回数に応じて支払われることがほとんどです。
そのため、夜勤の勤務回数を増やせば、夜勤手当が増えてお給料が上がります。
資格の取得する
介護職の資格を取得して給料を上げる方法があります。介護支援専門員や認知症ケア専門士等の資格を取得することで、給料をアップさせることができます。
資格取得には時間と労力がかかる場合も多いため、途中で挫折してしまう可能性もありますが、資格が取得できれば仕事の幅も広がり、給料を確実に上げることが可能です。
思い切って仕事場を変えてみるのも1つの方法
働く場所を変えるだけで、給料が今より数万円アップする可能性もあります。
転職活動をするときは、本記事で紹介した施設別平均給料ランキングを参考にしてみてください。
一生懸命働く
最後は、一生懸命働くことです。誠意を持って頑張って働くことで、利用者さんや職員からの信用が得られます。
信頼を積み上げ、昇進していくことで給料や職場での地位もアップしていきます。
多くの施設は、勤続年数によって給料の引き上げを行なっているので、一定の時間はかかりますが、この方法が一番確実に給料を増やせる方法です。
自分に合った介護事業所・介護施設で働いて、収入アップを目指そう
今回は、介護職の平均給料をランキング形式で紹介しました。
「介護職のお給料は安い」と言われていますが、さまざまな介護施設・事業所において改善が行われています。
介護職へ就職する場合やお給料アップを目指して転職をする場合は、本記事で紹介した平均給料が高いところや給料の引き上げを行っている施設・事業所を把握した上で、新しい職場を検討してみてください。