介護職は、高齢者や障がい者を安全・安心に介護するために働く、社会的に大きな役割を担う専門職です。
しかし、介護職の給料が比較的低いことは周知の事実。
今回は、介護職の給料が低い理由について詳しく解説していきます。
この記事を読んで、介護職の給料が低い本当の理由を理解していただければと思います。
介護職の給料が安すぎる理由
実際その認識のとおり、介護職員の平均給料は他の職種全体と比較して月約7万円程度安いことが厚生労働省のデータから分かっています。
一般的に「介護職の給料は安い」という認識が広がっています。
介護職の給料が安い理由としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 行政やNPOの財源が限られている
- 介護保険の適用が不十分
- 内部留保費が多い
それぞれ順に説明していきます。
行政やNPOの財源が限られている
介護士は、予算が潤沢でない非営利団体や政府機関に雇用されることが多いです。つまり、雇用主に介護職の給料を大幅に上げるだけの資金がありません。その結果、介護職はより有利な職業に就く人と同じレベルの訓練と資格を持っていることが多いにもかかわらず、介護職の給与は低いままなのです。
さらに、介護職は生活費を稼ぐために複数の仕事をしなければならないこともあり、ストレスレベルの上昇を招きます。これは、適切に管理されないと、仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、燃え尽き症候群につながる可能性があります。
介護保険の適用が不十分
長期介護保険制度も、介護職の給料が安くなる大きな問題として挙げられます。長期介護制度は政府によって管理されていますが、財源はほとんどありません。。この財源不足により、介護者に支払える資金がさらに制限されているのです。
さらに、介護保険は介護費用を全額カバーしないことが多いため、介護者は自分が望むよりも低い賃金で働かされることが多いのです。その結果、介護職はしばしば過小評価されているという感覚を抱き、職業全体のモラルが低下してしまうこともあります。
国から足りない部分のお金は支払われますが、利用者の人数によって介護事業所の職員数は決められてしまいます。そのため、人を減らして人件費を削減するといった手段をとることができません。つまり、企業努力で収入を増やすのは難しいということです。
内部留保費が多い
介護職の給料が安い要因としては、内部保留費が多いことも考えられます。
内部保留費とは「企業の経営者が社内で貯金をし、何かあった時に経営を安定させるためのお金」です。
内部保留費が高いと、トラブルがあった時でも対応することができます。
しかしその反面、介護職員に対する還元率が低くなり給料が安くなってしまいます。
介護職の給料を上げるためにできること
介護職の給料を上げるためには、現場で高く評価される一定のスキルを身につける必要があります。
例えば、「初任者研修」「実務者研修」「介護福祉士」は特に人気が高い資格で、資格を取得することで給与アップにつながるケースがほとんどですさらに、健康管理の経験や、栄養学、理学療法、応急処置などの専門的なスキルを持っていると、より高い給与を確保することができます。さらに、バイリンガルであれば、外国人の利用者さんに対してより多くのサービスを提供することができ、結果的に給与アップにつながる可能性もあります。
資格を取得しないで給与を上げる方法として、勤務年数を増やす、つまり、長期間勤務することで給料を上げられます。
他には条件の良い職場に転職する方法もあります。
給料以上に介護士はやりがいのある仕事
介護職の給料が低いというデータがあるにもかかわらず、この職業で働き続ける人がいるのは、社会的にやりがいのある仕事だからです。
困っている人をケアすることは、名誉ある職業であり、思いやりのあるケアを提供することで利用者さんからも感謝され、それは介護職として大きなやりがいに繋がるはずです。
また、やりがいに加えて、介護職は仕事そのものから直接的な利益を得ることもできます。
例えば、高齢者と関わることで、自分自身や他人、そして世の中について学ぶことができ、人生の貴重な教訓を得ることができます。
このように、介護職は非常にやりがいがある仕事であり、問題解決、忍耐、共感などの重要なライフスキルを身につける上でも有益な職業といえます。
ただし、人にはやはり「適正」というものがあります。誰もが介護職をこのように前向きに捉えられるわけではありません。自分の適正を考慮した上で「介護士になるかどうか」「どういう働き方がしたいのか」考えてみましょう。
介護職として長続きする人の特徴を挙げると、例えばコミュニケーション能力が高い、メンタルが強いなどが挙げられます。コミュニケーション能力でいうと、人と接することが好きな人、人に喜んでもらえる、感謝されることにやりがいを感じる人、が続けられる人だと言えます。メンタル面で言うと、気持ちの切り替えが早くできる人が続くといえます。
介護士は対人の仕事なのですれ違いは必ず起きますが一つのことで悩まず、切り替えが必要です。
介護職の給料とやりがいについて考えよう!
今回は「介護職の給料が安い理由」について詳しく解説しました。
介護士は、高齢者や障がい者、その他介護を必要とする人々のために働く、社会にとって必要不可欠な役割を担っています。
しかし、政府や非営利団体の限られた財源、不十分な介護保険、その他の様々な問題により、介護士職の給与は低く抑えられがちです。
これは、社会にも悪影響を及ぼし、多くの高齢者や障がい者の生活の質を低下させる原因となります。介護職の給与が低い本当の理由を解決し、関係者全員の幸福を確保することが急務といえます。
また、働く側の意識改革として、「介護職は金銭的な価値を超えたやりがいやスキルアップに繋がる仕事である」と改めて認識することが大切です。介護職は多くの場合、利用者さんにとってかけがえのない存在であり、その絆は金銭に代え難い価値があります。それは、介護職にしか感じられない大きなやりがいであるといえます。
他の職種に比べて給料は低い傾向にありますが、介護職はスキルアップすることで年齢や学歴に関係なく、昇進・昇給していくことが可能な職種でもあります。
スキルアップや資格取得に努めることで、最終的には収入アップにつながりますので、収入を増やしたい方はぜひチャレンジしてみてください。