介護職はニーズの高い職業である一方「介護職はキツイ」という言葉をよく耳にします。
そしてこのようなネガティブなイメージが介護業界の人手不足に繋がっています。
しかし「介護職はキツイ」という世間のイメージは果たして真実なのでしょうか。介護職がキツイといわれる理由は一体何なのでしょうか。
キツイといわれる理由をあらかじめ把握しておけば、介護職のキツさを解決する方法を考えることができます。
今回は「介護職がなぜキツイといわれるのか」という疑問にお答えしながら「介護職のキツさを解決する方法」も紹介します。
介護職はなぜキツイといわれるのか
介護職はなぜキツイといわれるのか紹介します。
厚生労働省による「介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について」の調査結果にある介護職の労働条件の悩み・不安・不満の上位5つを抜粋しました。
- 1.人手が足りない
- 仕事内容のわりに賃金が安い
- 身体的な負担が大きい
- 有給休暇が取りにくい
- 精神的にキツい
介護職がキツイといわれる5つの理由を順に紹介します。
1. 人手が足りない
介護職は人手が足りないためにキツイといわれます。
人手が不足している施設や事業所では、1人の介護職員にかかる負担が特に大きくなります。
1人で多くの利用者さんを介護しないといけないために、常に慌ただしかったり休憩する時間が十分にとれなかったりします。
介護職員が十分確保されていれば、余裕を持って働くことができるでしょう。
2. 仕事内容のわりに賃金が安い
介護職は仕事内容のわりに賃金が安く、それが要因でキツイといわれることがあります。
令和3年の介護職の平均基本給は、常勤職員だと18万7,180円であり決して高いとはいえません。
しかし、基本給に加えて夜勤や残業手当、ボーナスなどの支給があります。さらに、厚生労働省は介護職の賃金を上げる取り組みを行っており、賃金は上昇傾向です。
令和2年の介護職常勤職員の平均基本給は18万4,780円だったため、令和3年の基本給は2,400円上昇していることが分かります。
3. 身体的負担が大きい
身体的負担が大きいことも介護職はキツイといわれる要因の一つです。
移動介助や清拭、おむつ交換など介護度が高い利用者さんの介護は、身体的負担がかかりやすくなります。
介護は姿勢を低くする動作が多いため、特に腰を痛めやすいです。
また、夜勤や早出・遅出があるシフト制の職場では、生活リズムが整わないために身体的負担が大きくなります。
4. 有給休暇が取りにくい
介護職は有給休暇が取りにくく、そういった意味でもキツイといわれます。
特に施設や訪問介護など、24時間利用者さんの対応をしている介護サービスは有給休暇がとりづらい傾向にあります。
加えて、休暇取得の際は、代わりに働く職員を確保しないといけません。代わりの職員が確保できない人手不足の現場では、有給休暇の取得は難しいです。
5. 精神的にキツイ
介護職は精神的にキツイと感じることがあります。
利用者さんは、認知症や疾患によりコミュニケーションが上手くできないことが多くあります。重度の認知症や易怒的な利用者さんの対応をしている時、精神的なキツさを感じることがあるでしょう。
また、一緒に働く介護職員や他職種との人間関係も精神的なキツさに影響します。
介護職のキツさを解決する方法
前述したとおり、さまざまな理由から介護職はキツイといわれますが、キツさを解決する方法はあります。
解決方法は以下の5つです。
- 自分の体調に合った働き方を考える
- 資格を取得し給料アップを目指す
- ボディメカニクスを利用した介護をする
- 働く場所をよく検討する
- 就職前に職場を見学する
介護職のキツさを解決する5つの方法を順に紹介します。
1. 自分の体調に合った働き方を考える
自分の体調に合った働き方を考えることで、介護職のキツさを和らげることができます。
体力に自信がない方は、介護度が低い職場を選ぶとよいでしょう。また、生活リズムの乱れにより不調をきたしやすい方は、夜勤があるシフト制の職場は控えたほうが良いでしょう。
自分自身が健康でないと仕事を続けることができません。
自分の体調に合った働き方をすることで健康に過ごすことができ、長く仕事を続けることができます。
2.資格を取得し給料アップを目指す
介護職がキツイといわれる理由の1つに賃金の安さがあがっていましたが、介護職は資格取得により給料アップが見込める職業です。
以下に介護の保有資格による平均給料の違いをまとめました。なお、平均給料は基本給に手当も含まれた額になります。
資格の有無・種類 | 平均給料額(単位:円) |
保有資格なし | 271,260 |
初任者研修 | 300,510 |
実務者研修 | 307,330 |
介護福祉士 | 328,720 |
介護支援専門員 | 362,290 |
介護の資格がある方は、資格がない方と比較して給料が高い傾向にあります。
初任者研修と実務者研修は、経験年数や学歴に関わらず誰でも取得可能であるため、取得しやすい資格です。
初任者研修では基礎的な介護の知識・スキルを学びます。初任者研修の上位資格である実務者研修では初任者研修の内容に加え、高度な介護の知識・スキルが取得可能です。どちらの資格も専門のスクールにて取得します。
資格取得のメリットは給料アップだけでなく、働く場所の選択肢が広がったり、キャリアアップにも繋がったりする可能性があるという点です。
3. ボディメカニクスを活用した介護をする
ボディメカニクスを活用した介護をすることで、身体的負担が軽減しキツさが和らぎます。
ボディメカニクスは、この原理といった力学的関係を活用することで、介護者が最小限の力で介護をする技術のことです。
介護の際に自分の重心が高かったり、力任せに介護をしたりとボディメカニクスが活用できていないと身体的負担は強くなるでしょう。
自分の重心は低く、利用者さんをコンパクトに、とこの原理を利用した介護をすることで体への負担が軽減できます。そして、利用者さんがベッドで寝ている状態で介護をする時は、ベッドの高さを調節することで負担が軽減できるでしょう。
また、自分に筋力がないと腰や膝に負担がかかりやすくなります。筋力をつけることは自分の体を守ることに繋がります。
4. 働く場所をよく検討する
介護職のキツさを和らげるために、働く場所をよく検討することも重要なポイントです。
求人票で確認しておきたい項目は5つあります。
- 勤務地
- 仕事内容
- 賃金と手当、昇給制度
- 有給取得率
- 資格支援やキャリアアップ制度
勤務地が遠すぎるところだと、通勤に時間がかかり家で休息する時間が確保できません。自分に負担がかからない通勤の長さを考えておきましょう。
そして、介護サービスの内容によって仕事が全く異なります。自分のやりたい介護について考えましょう。夜勤や早出・遅出といった勤務形態も確認が必要です。
賃金は必ず確認すると思いますが、手当の有無もしっかり確認しましょう。手当には通勤や残業代、ボーナスが含まれます。加えて、長く勤務することを考えると昇給制度があるとよいでしょう。
また、有給取得率が高い求人は、就職してから有給が取得しやすく人員が不足していないことが予想できます。
資格取得を考えている方、将来キャリアアップをしたい方は施設や事業所の制度を確認しましょう。
5. 就職前に職場を見学する
事前に職場を見学することで、職場の雰囲気が分かります。
施設や事業所によっては見学が可能です。
就職活動中は求人情報やホームページを確認することである程度職場のイメージはできますが、イメージと実際の雰囲気が異なることもあるでしょう。イメージとのギャップがあるとキツさを感じることに繋がります。
就職前に職場を見学し、雰囲気を知ることで、納得のいく就職活動ができるでしょう。
介護職のキツイところは解決できる
今回は「介護職がなぜキツイといわれるのか」について紹介しました。
介護職は人手不足や給料の低さからキツさを感じる人がいます。また、介護を必要とする方は何かしらの病気を抱えており、介護内容によってキツさを感じることもあります。
しかし、全ての人がキツさを感じるわけではなく、キツさを感じる度合いにももちろん個人差があります。
さらに、介護職のキツさは自分次第で解決することが可能です。
本記事で紹介した「介護職のキツさを解決する方法」をぜひ参考にしてください。解決できることが分かれば「介護職はキツイ」というイメージが和らぐでしょう。