近年さらにニーズが高まっている介護職。
介護職の求人票を見かけることが多くありますが、転職を考えている方は「給料はいくら?」「正確なデータが知りたい」と気になるでしょう。
介護職の給料は厚生労働省が毎年調査をしており、調査結果は厚生労働省のホームページで公開されています。
今回は令和3年度の厚生労働省の調査結果をもとに、介護職の給料を分かりやすく紹介します。
厚生労働省の調査による介護職の平均給料
厚生労働省の調査によると、常勤介護職の平均基本給料額は18万7,180円でした。
非常勤の介護職の平均基本給料額は14万380円でした。
基本給に加え、施設や事業所によって手当やボーナスがあります。
以下に常勤と非常勤介護職員(月給の者)の基本給・手当含む平均給料をまとめています。
平均基本給料額(単位:円) | 平均給料額(単位:円) | |
常勤 | 187,180 | 316,610 |
非常勤 | 140,380 | 198,520 |
※常勤と非常勤の違いは、施設・事業所が定める1週間に勤務すべき時間数に達している方は常勤、満たない方は非常勤です。
介護職の給料は基本給だけ見ると決して高いとはいえませんが、常勤職員は手当が10万円以上あることが分かります。
非常勤職員は勤務時間数が少ないため基本給が少ないですが、手当がおおよそ6万円あります。
なお、上記の調査結果は、平均勤続年数が5年以上の介護職員です。
また、調査結果は全ての介護サービスにおける平均給料です。
介護サービスの種類によって給料が大きく異なるので注意しましょう。
次の項目で介護サービス種別の平均給料を紹介するので、就職活動をする際に参考にしてください。
厚生労働省の調査による介護サービス種別の平均給料
介護サービス別の平均給料の調査結果を紹介します。
以下にサービス種別ごとに常勤と非常勤(月給の者)の平均基本給料額・平均給料額をまとめました。
サービス種別 | 働き方 | 平均基本給料額(単位:円) | 平均給料額(単位:円) |
介護老人福祉施設(特養) | 常勤 | 195,380 | 345,590 |
非常勤 | 147,110 | 202,950 | |
介護老人保健施設(老健) | 常勤 | 183,680 | 338,390 |
非常勤 | 178,070 | 289,050 | |
介護医療院 | 常勤 | 168,700 | 307,550 |
非常勤 | 146,630 | 215,610 | |
訪問介護事業所 | 常勤 | 192,340 | 314,590 |
非常勤 | 138,820 | 201,120 | |
通所介護事業所(デイサービス) | 常勤 | 186,790 | 278,180 |
非常勤 | 132,360 | 173,190 | |
通所リハビリテーション事業所(デイケア) | 常勤 | 178,180 | 297,980 |
非常勤 | 148,630 | 218,830 | |
特定入居者施設生活介護事業所 | 常勤 | 183,770 | 319,760 |
非常勤 | 148,630 | 231,250 | |
小規模多機能居宅介護事業所 | 常勤 | 180,700 | 289,520 |
非常勤 | 170,480 | 235,270 | |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 常勤 | 174,850 | 291,460 |
非常勤 | 142,420 | 189,600 |
常勤で基本給が最も高い介護サービスは介護老人福祉施設で19万5,380円、次いで訪問介護事業所で19万2,340円でした。
施設や事業所によって基本給は異なりますが、高度な介護のスキルが求められる介護サービスは基本給が高い傾向にあります。
また、常勤で平均給与額が最も高い介護サービスは介護老人福祉施設で34万5,590円、次いで介護老人保健施設で33万8,390円でした。
施設は24時間介護が必要なため夜勤があり、夜勤手当により平均給与額が高い傾向にあると考えられます。
非常勤の介護職員は、常勤職員よりも給料が低い傾向にあります。
しかし、基本給と同様、高度な介護のスキルが求められる介護サービスでは給料が高いです。
なお、平均給料調査の介護職の勤続年数は5年以上です。
1年〜4年未満の介護職員は調査結果よりも低い給料であることが予想されます。
次の項目では、勤続年数1年〜1年11ヶ月の介護職の給料を紹介します。
厚生労働省の調査による勤続1年~1年11ヶ月の介護職の給料
厚生労働省の調査による勤続1年〜1年11ヶ月の介護職の給料を紹介します。
以下にサービス種別ごとに常勤の平均基本給・平均給料を表でまとめています。
サービス種別 | 平均基本給料額(単位:円) | 平均給料額(単位:円) |
介護老人福祉施設(特養) | 174,610 | 299,220 |
介護老人保健施設(老健) | 167,530 | 300,040 |
介護医療院 | 158,470 | 272,420 |
訪問介護事業所 | 180,400 | 277,080 |
通所介護事業所(デイサービス) | 182,860 | 248,130 |
通所リハビリテーション事業所(デイケア) | 163,560 | 271,250 |
特定入居者施設生活介護事業所 | 169,850 | 278,690 |
小規模多機能居宅介護事業所 | 176,050 | 271,110 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 166,200 | 259,850 |
勤続1年〜1年11ヶ月の常勤介護職員の基本給は決して高いとはいえませんが、手当がつくと25万円を超えます。
最も高い給料は介護老人福祉施設では30万40円、次いで介護老人保健施設は29万9,220円でした。
勤続年数1年からでも手当は10万円以上あり、介護老人保健施設では13万2,510円の手当がついています。
本記事の始めに紹介した「厚生労働省の調査による介護職の平均給料」の対象である介護職の平均勤続年数は8.7年で、手当は13万6,010円でした。
勤続年数による手当の差は大きくないと分かります。
厚生労働省の介護職給料調査の目的
厚生労働省が介護職の調査を行っている目的は“介護従事者の処遇の状況及び介護職員処遇改善加算の影響等の評価を行うとともに、介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的とする。”と記載されています。
分かりやすく説明すると、介護職はニーズが高い仕事ですが働き手不足の背景があり、人材確保のために介護職員処遇改善加算を設定しました。
厚生労働省は介護職全体の給料を調査・把握することによって、介護職員処遇改善加算の影響や評価、今後の処遇改善のために情報を集めています。
介護職員処遇改善加算とは「職場環境の改善やキャリアアップの仕組みをつくった施設と事業所に対し、介護職の給料をアップするために報酬という形でお金を支給する制度」です。
厚生労働省は介護職の人材確保と処遇改善に積極的に取り組んでいることが分かり、今度も給料アップすることが期待できます。
厚生労働省の介護職給料調査の注意点
調査結果に記載されている施設と事業所は、厚生労働省によって無作為に抽出されています。
就職を考えている介護サービスが、今回紹介した給料と必ず一致するというわけではありません。
就職活動をする際は、各施設や事業所の基本給と各手当(通勤・夜勤・ボーナス・残業代など)を忘れず確認しましょう。
そして、給料が高いサービスは、介護度が高い利用者さんの介護をする傾向にあります。
身体的負担がある介護のため、給料だけでなく自分のしたい介護・できる介護であるかを考えましょう。
厚生労働省の介護職給料調査を参考に就職先を考えよう
今回は令和3年の厚生労働省の調査結果をもとに、介護職の給料について分かりやすく紹介しました。
介護職の給料は常勤・非常勤、手当、サービス職種、経験年数によって異なります。
施設や訪問介護といった高い介護スキルが求められる職場は、給料が高い傾向にあります。
就職活動をする際は、本記事で紹介した介護職の給料を参考にしてみてください。
また、給料だけでなく「どのような介護をしているのか」仕事内容も忘れず確認しましょう。