「ハローワークって仕事を探している人が行くところでしょ?今の自分には関係ないよ」
そんな風に思っている人は多いのではないでしょうか。
ハローワークは雇用の安定と就職の促進を図るため、さまざまなサービスを提供しています。
その一環としてキャリアアップ支援にも力を入れています。
本記事ではハローワークのキャリア支援について分かりやすく解説します。
介護士資格の取得を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
介護士がキャリアアップで目指すべき資格とは?
介護士のキャリアアップに必要な資格は以下の3つです。
※「受講料の相場」は一般的なスクールや養成校で受講した場合の相場です。
①介護職員初任者研修(初心者向け)
受講時間 | 130時間の講義と実習 |
受講料の相場 | 約5万円~8万円 |
②実務者研修(中級者向け)
受講時間 | 450時間の講義と実習 |
受講料の相場 | 約14万円~22万円(無資格者の場合) |
③介護福祉士(国家資格)
受講期間 | 約2年 |
受講料の相場 | 約200万円(未経験から取得の場合) |
自分がどの制度を利用できるか確認しよう
ハローワークのキャリア支援はさまざまな種類があり、条件によって利用できるものと利用できないものがあります。
働いているか求職中か、雇用保険の加入期間、失業手当の有無などなど、他にも細かい条件や例外があり複雑で分かりにくいという声もあります。
そのためまずは、自分がどの制度を利用できるのか確認するところからはじめましょう。
ここでは、なるべくわかりやすく解説するために、細かい条件や例外についての説明は割愛しています。
「自分は対象内かもしれない」と思ったら、厚生労働省のホームページで詳細を確認してみてください。
今の仕事を辞めずに資格を取りたい人
●教育訓練給付制度
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育給付金
- 専門実践教育訓練給付金
「教育訓練給付制度」は、在職している人と離職後1年以内の人を対象としたキャリア支援制度です。
雇用保険に1年以上加入していれば利用できる可能性があります。
雇用保険に入っているかどうかは、給与明細で確認できます。
対象のスクールで厚生労働省が指定する講座を受講した場合、その受講料の一部がキャッシュバックされます。
キャッシュバック率は20%~最大で70%です。
講座の専門性や受講期間、事務手続きの違いで3つの給付金に分かれており、キャッシュバック率はそれぞれ異なります。
下の表でご確認ください。
一般教育訓練給付金 | 特定一般教育訓練給付金 | 専門実践教育訓練給付金 | |
キャッシュバック率 | 受講費用の20%(上限10万円) | 受講費用の40%(上限20万円) | 受講費用の50%(上限あり)※資格を取得し就職した人にはさらに20%を追加。70%のキャッシュバック。 |
受講期間 | 1カ月以上1年以内 | 1年以上3年以内 | |
対象者 | 在職中または離職後1年以内で雇用保険の加入期間が3年以上(初回の場合は1年以上でよい) | 在職中または離職後1年以内で雇用保険の加入期間が3年以上(初回の場合は2年以上でよい) | |
講座の専門性 | 普通 | 高い | もっとも高い |
対象となる介護士資格 | なし | 介護職員初任者研修実務者研修 | 介護福祉士 |
受講前の事務手続き | スクールに制度を利用する旨を伝える。 | ハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受ける。受講開始の1か月前までに管轄のハローワークで受給資格確認他手続きをする。 | |
受講中の事務手続き | なし | 半年に1度更新手続き | |
受講後の事務手続き | 修了日の翌日から1か月以内に管轄のハローワークで支給申請手続き |
ちなみに、介護士資格取得に利用できる給付金は、専門性が高い「特定一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」です。
離職中で資格を取って就職したい人
●職業訓練(ハロートレーニング)
- 公共職業訓練
- 求職者支援訓練
現在、離職中で資格取得して就職を希望する人に対しては、受講料無料の職業訓練があります。
職業訓練は失業手当の有無で「公共職業訓練」「求職者支援訓練」に分かれています。
職業訓練の対象者や対象となる資格については下の表でご確認ください。
公共職業訓練 | 求職者職業訓練 | |
対象となる人 | 失業手当を受給しているハローワーク求職者 | 失業手当を受給できないハローワーク求職者 |
受講期間 | 3か月~2年 | 2~6か月 |
対象となる介護資格 | ・介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士 | ・介護職員初任者研修・実務者研修 |
受講料 | 無料(テキスト代は自己負担) | |
訓練実施施設 | 民間教育訓練機関等 | |
支給手当※黄色は条件あり | 失業手当+受講手当(500円/訓練日)+交通費+寄宿手当(失業手当は受講期間に合せて延長されます) | 受講手当(月10万円または500円/訓練日)+交通費+寄宿手当 |
訓練を受講するまでの流れ | 求職申込・職業相談受講申し込み面接・筆記試験受験選考結果通知受講あっせん受講開始 |
職業訓練ハロートレーニング【関門は筆記試験と面接】
さまざまなメリットがある職業訓練ですが、受講するには筆記試験と面接を受けて合格する必要があります。
面接と筆記試験では、訓練を受けるための必要な能力があるか、訓練を受けて就職できる人物かをみます。
介護士講座は人気があり倍率が3倍~5倍になることもあります。
筆記試験と面接に合格するためには、筆記試験の過去問題を解いたり、面接でよくきかれる質問の意図を考え対策したりすることが大切です。
職業訓練ハロートレーニング【筆記試験の対策】
職業訓練の筆記試験は、中学生までで習う国語と数学の内容で実施されます。
試験内容や難易度は各都道府県によって異なります。
しばらく学業から離れている人は、苦戦するかもしれません。
過去の試験問題はネットで公開されていますので、受講したい都道府県の過去問題を確認しましょう。
過去問題に慣れることで問題の解き方が思い出せるかもしれません。
職業訓練ハロートレーニング【面接の対策】
面接は筆記試験よりも重要だといわれています。ここでは、面接でよくきかれる質問から、面接官が何を確認したいのかを読み取り、どう答えたらよいかを紹介します。
【職業訓練 面接質問】
よくきかれる質問 | 面接官が確認したいこと | どのように答えるか |
今の健康状態はどうですか? | 訓練を休まず真面目に通えるか | 健康状態が良好であることを伝えましょう。 |
なぜ職業訓練校に通おうと思いましたか? | 雇用保険の延長や給付金目的ではないか | キャリアアップして就職したいことを具体的に伝えましょう。 |
なぜこのコースを受講したいと思いましたか? | 資格や訓練の内容についてよく理解しているか | 訓練の中で自分が特に学びたいことを具体的に伝えましょう。最後は就職への意欲につなげるようにしましょう。 |
前職の退職理由は何ですか? | 簡単に辞めたりしないか。人柄に問題ないか | 前職の不満は言わないようにしましょう。自分が描くキャリアプランを実現できない環境だったことを伝えましょう。 |
いろいろな年代の人と授業を受けますが、うまく関わることができますか? | 協調性があるか | これまでの経験談などを交え協調性があることを伝えましょう。 |
もし職業訓練中に就職が決まったらどうしますか? | 就職への意欲があるか | ハローワークの最終目的は、就職させることです。訓練はあくまでも手段にすぎません。「就職が決まったら就職します」と答えましょう。 |
質問の意図を考えることで、どう答えたらよいかが見えてきます。
重要なのは具体的に答えることです。
過去の経験談や自分が描くキャリアプランを伝えることで、人柄や熱意をアピールできます。
ハローワークを利用してキャリアアップを目指そう!
ハローワークにはお得にキャリアアップできる制度が揃っています。
ここで紹介した以外にもさまざまな支援制度があります。気になる方は、厚生労働省のホームページで確認してみてください。
同じように雇用保険料を納めているのにもかかわらず、情報を知っている一部の人しか制度を活用していないのはもったいないです。
ぜひ自分が利用できる制度を見つけて、上手にキャリアアップを目指しましょう。