「グループホームでの介護職はどんな感じ?」「グループホームの介護ってきつい?」と疑問に思っていませんか?
確かに、働き方や働き先も施設や病院などさまざまな形があり、利用者さんの要介護レベルも異なるため、自分でも働けそうな施設なのか知っておきたいですよね。
そこで今回は、グループホームがきついのかどうか、仕事内容やきついといわれる理由を通して紹介していきます。
本記事を読んでいただくことで、ご自身にとって働けそうな施設なのか検討しやすくなりますので、ぜひご覧ください。
グループホームで行う介護職の仕事内容
グループホームは、介護保険法の「認知症対応型共同生活介護」に認定されている施設です。
認知症かつ要支援2以上と診断された方が入所する入居型施設で、主にケアマネージャー、介護職員、看護師が働いています。
仕事内容としては、食事や入浴、排泄などの介助、着替えなどの日常生活の補助や支援、機能訓練を24時間体制で行っています。下の表は、ある施設の1日の流れの例です。
【1日の流れの例】
6:00〜7:00 | ・起床介助・朝食準備 |
7:00〜8:00 | ・食事介助 |
8:00〜9:00 | ・口腔ケア・排泄介助など |
9:00〜11:00 | ・部屋の清掃・洗濯・入浴など |
11:00〜12:00 | ・昼食準備 |
12:00〜14:00 | ・食事介助 |
14:00〜15:00 | ・レクリエーション・体操などの軽い運動 |
15:00〜17:00 | ・間食準備・食事介助 |
17:00〜18:00 | ・夕食準備 |
18:00〜19:00 | ・食事介助 |
19:00〜21:00 | ・口腔ケア・就寝介助など |
21:00〜朝まで | ・消灯・夜間の定期巡回・体位変換・排泄介助など |
グループホームでの介護職はきついといわれる理由8つ
「グループホームでの介護職はきつい」といわれている理由は、主に下記の8つにあります。
- 認知症の理解が難しい
- 夜勤がある
- 要介護の利用者さんばかりいる
- 給与が低い
- 看護師がいないことがある
- 人手不足で業務の負担が大きい
- 人手不足で休み希望が通りづらい
- 利用者を看取らなければならないことがある
上記の項目がどのようにきついのか、詳しくみていきましょう。
理由1.認知症の理解が難しい
グループホームは認知症を患っている利用者さんばかりですので、認知症に関する知識を深めておかなくてはなりません。
しかし、認知症の症状は個人差が大きく、利用者さん一人ひとりに合わせて介助を行わなくてはならず、さらには接し方も個人レベルで変えていく必要があります。
ここまで読むと、利用者さん一人ひとりの性質や症状を把握し、マニュアルを作って対応すればいいと思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。
認知症の症状や症状の重さは日によって波があり、軽いときもあれば重たいときもあるため、マニュアル通りにはなかなかいかないのです。
私も現在、認知症の祖母を在宅介護していますが、毎日現れる症状や重さがコロコロと変わり、毎日対応の難しさを感じています。
猫のご飯と土を認識できず器に土を入れたり、怒りっぽくなったりする日もあれば、性格も症状も穏やかで平和なときもあります。
実際にグループホームの利用者さんたちも、筆者の祖母のような症状の現れ方をする方が多く、精神的にきついという介護士も少なくありません。
理由2.夜勤がある
グループホームは24時間体制で利用者さんを見守り、介助しなければならないため夜勤があります。
勤務時間は17時から翌朝9時頃であることが多く、基本的に一人で行います。
緊急時に備え、施設によっては仮眠してはならないとしているところもあるようです。
夜勤で行う業務は、トイレへの誘導、オムツ交換、洗濯清掃、書類作成など多岐に渡ります。
休憩時間はありますが、一人でたくさんの業務を行い、ときには緊急対応に追われるため、きついと感じる介護士もいます。
理由3.要介護の利用者さんばかりいる
グループホームは、65歳以上かつ要支援度2以上または要介護度1以上の利用者さんばかりです。
そのため、介助しなければならない業務の数が多い上に介助レベルも高い傾向にあり、体力的にも精神的にもきついと思うことがあります。
理由4.給与が低い
2009年に介護報酬が改定され給料はアップしていますが、それでもまだ他の業界に比べると給料は低いです。
そのため、介護士の中には給料が仕事内容に見合わないと感じる場面が多く、モチベーションが上がらないためきついと感じることも多々あるとのこと。
超高齢化社会の日本において、介護職は今後も需要が高まるとされていますので、さらに給料はアップしていくと予測されます。
しかし、いつごろ給料がアップされるかといった具体的な話はまだ上がっていないため、つらさや不安を感じる介護士も少なくありません。
理由5.看護師がいないことがある
グループホームは、特別養護施設と同様、24時間の看護師配置の義務がありません。
そのため、容体の急変など医療行為が必要になっても、看護師がいないときがあります。
そのようなときは、できる範囲のことを介護士だけで対応しなければなりません。
よって、利用者さんの容体急変に慣れていない介護士にとって、看護師がいないときの勤務は不安との闘いとなり、精神的にきついと感じます。
理由6.人手不足で業務の負担が大きい
介護業界は基本的にどの施設も人手不足のため、少ない人数で役割をこなさなければならず、一人ひとりの業務負担が大きい傾向にあります。
そのため施設によっては、残業が多いところや業務量が多いところがあり、体力的にきついと感じる介護士もいます。
理由7.人手不足で休み希望が通りづらい
人手不足によりシフトの休み希望が通りづらい傾向にあるため、プライベートの時間を確保できないことにきつさを感じる介護士もいます。
特にグループホームは24時間年中無休のため、人員が足りていないと少ない人数でシフトを回さなければならず、希望通りに休日を取るのは難しいです。
人手は少ないもののある程度の人員確保ができている施設であれば、休み希望は比較的通りやすいですが、こればかりは入職してみないとわかりません。
理由8.利用者を看取らなければならないことがある
2009年に「看取り加算」が新たに介護報酬制度に加わったため、一部の施設では人生の最期まで面倒をみているところがあります。
意思疎通が難しいながらも、毎日コミュニケーションを取りながら介護をしてきた利用者さんを看取るのは、つらく悲しいことです。
何度も経験するうちに慣れてきたという介護士もいますが、利用者さん一人ひとりの良い思い出から苦い思い出まで走馬灯のように巡り、悲しさに慣れないという介護士もいます。
グループホームでの介護職がきついと感じたときの対処法
グループホームでの介護職がきついといわれる理由を理解した上で、それでもグループホームで働きたいという方もいるでしょう。
グループホームで働くことになり「きついけれど頑張りたい」と思ったときのために、するべき対処法を紹介します。
きついと思ったときは、これから紹介する対処法をぜひ思い出して行動してみてください。
なにがきついと感じるのか明確にする
対処法をお伝えする前に、きついと思ったときに最初にするべき行動をお伝えします。
もし、グループホームでの介護職がきついと感じたときは「なにがきついのか」を明確にしてください。
きついと感じることがぼんやりとしていては、正しく対処できません。
身体面や精神面がきついのか、どのような場面や仕事内容がきついのかなど、メモやノートに書き出して整理してみましょう。
利用者とのコミュニケーションがきつい場合の対処法
もし、あなたが無資格で利用者とのコミュニケーションがきついと感じる場合、認知症介助士の資格を取得することをおすすめします。
相手のことをなにも知らない状態でコミュニケーションを取るのは、とても難しいことです。それは利用者さんであってもそうでなくても同じでしょう。
認知症の方は記憶がとどまらず何度も同じことを繰り返し、また急激な変化や新しく覚えることを苦手としています。
ほかにも、苦手とすることや症状はたくさんありますので、認知症の性質や特徴を深く理解し、対策方法やコミュニケーションの工夫をしてみてください。
さらにいうと、今からでも勉強しておけば、入職したときに心構えができるほか、グループホーム以外の施設に入職することになったとしても、認知症の利用者さんに出会う可能性は高いので、勉強しておいて損はありません。
労働環境がきつい場合の対処法
労働環境がきついと感じる場合は2つ方法があります。
一つ目は「直属の上司や施設長に相談する」です。
人手不足は利用者さんへの介護にも支障をきたす恐れがあります。どのようにして人員を増やすのかや作戦会議を行い工夫するなどして、よい方向に向かうための話し合いや相談をするのがよいでしょう。
二つ目は「業務フローを見直す」です。
人が足りていない今の状況で、いかに一人ひとりの負担を減らして業務をこなしていくのか、シフトを回していくのかといった点を見直すことも大切です。話し合いの際、効率化できるところはないかも合わせて相談しておくことをおすすめします。
人間関係がきつい場合の対処法
利用者さんとの関係がきつい場合、職場の人間関係がきつい場合、どちらにしてもコミュニケーション不足が原因になりやすいです。
積極的にコミュニケーションを取り信頼と信用をしてもらうように努力してみましょう。
もし、自分で努力しても変わらない場合、自分自身ではなく相手側に問題があることもあります。
そのような場合は割り切って対応するように切り替えることも必要です。
身体的なきつさを感じる場合の対処法
腰が痛くなるなど業務に対する身体的な悩みは、正しい体の使い方が身に付けられていないことが原因であることがほとんどです。
例えば、車椅子移乗などで利用者さんの体を持ち上げる際、腕の力だけで持ち上げてがんばっている介護士がいますが、これでは腰に大きな負荷がかかり、腰を痛める要因になります。
きちんとボディメカニクス(骨格、筋肉、関節の相互関係を活用した身体力学)を活用させられているか振り返り、実践していきましょう。
給料の低さがきつい場合の対処法
給料の低さがきついと感じる場合、2つの方法があります。
一つ目は「夜勤を増やす」です。
夜勤のシフトに入ることで夜勤手当がつくため、基本給に加算されて給料アップを図れます。
二つ目は「キャリアアップする」です。
介護職は、勤務年数ではなく資格の取得によってキャリアアップしていく職業です。
ケアマネージャーを目指す、管理職を目指すなど計画を立てながら勉強と仕事に励み、キャリアアップを目指す方法も検討してみましょう。
どうしてもきつい場合は転職もあり!
どうしてもグループホームでの介護職がきつい場合、転職するのも一つの手段です。
介護職のなかでも、比較的働きやすいといわれているのがデイサービスでの介護職です。
基本的に夜勤がなく日勤のみで、正社員としても働けます。
また、要介護度も低いため介助レベルも高くなく、心身ともにきついと感じる場面は、養護介護老人ホームやグループホームと比べて少なめです。
グループホームでの介護職がきついときは6つの対処法を実践してみよう!
グループホームでの介護職は、認知症を患う利用者さんとの関わりできつさを感じたり、介護レベルの高さや人手不足による心身のきつさを感じたりなど、さまざまな要因で大変なことがあります。
しかし、認知症への理解を深めたり、ボディメカニクスを活用した正しい介助方法を心がけたりなど、ご自身の努力や対策、対処方法で緩和・解消させることも可能です。
筆者も、認知症の祖母とのコミュニケーションを難しく感じたり、ストレスに感じたりすることもあります。
しかし、相手を理解することを努力した甲斐あって、介護をしはじめたときより心身ともに楽になりました。
認知症の利用者さんと向き合うことに不安はあるかもしれませんが、まずは認知症を知ることからはじめて、グループホームで働くための準備をしてみてはいかがでしょうか。