介護士として働いている人の中には、介護福祉士の資格を取りたいと考えている人もいるでしょう。
しかし「合格率ってどのくらいなのか」「資格の勉強ってどのようにすればよいのか」と疑問に思いますよね。
この記事では、介護の資格のひとつである介護福祉士の合格率の現状と、おすすめの勉強方法についてお伝えしていきます。
介護福祉士の資格の合格率は高め
介護福祉士の資格の合格率は高めです。
社会福祉士の合格率が約20%台に対し、介護福祉士の合格率は70%台となっています。
2023年の国家試験の合格率は、84.3%と過去最高水準の合格率でした。
勉強しないと、不合格になることもある
上記のように、介護福祉士国家試験の合格率は比較的高いです。
しかし、勉強しないと不合格になる可能性があります。
不合格になる理由として、下記の2つがあります。
- 1分野でも落とすと、不合格になる
- 勉強時間を確保できない
それぞれ解説していきます。
1分野でも落とすと、不合格になる
一つめは「1分野でも点数が取れないと、合格できない」というのが挙げられます。
介護福祉士国家試験の科目は「社会の理解」「医療的ケア」など11科目あります。その内1科目でも0点だと、不合格になります。
「普段介護の仕事をしていれば、勉強しなくても合格できるのではないか」と思う人もいるでしょう。
試験の範囲には、介護福祉に関する制度や歴史、医療的ケアなど、幅広い知識が求められます。
特に制度や歴史に関しては、普段の介護業務の中では触れる機会が少ないので、勉強する必要があります。
また医療的ケアに関しても、デイサービスや訪問介護をしている人の中には、胃瘻や経管栄養などを使っている利用者さんと関わる機会がほとんどないでしょう。
実務者研修で演習は行いますが、試験に向けて知識を再定着しなければなりません。
このように、介護福祉士の国家試験は経験だけでは合格するのは難しいのです。
勉強時間を確保できない
二つめは「勉強時間を確保できない」ことが挙げられます。
介護福祉士国家試験を受験する人の多くは、介護施設などで働いている人が多いです。
介護の仕事は人手不足なので、残業や休日出勤が多いという人もいるでしょう。
加えて委員会や行事のイベントが重なると、さらに勉強時間を確保できないということもあります。
「介護に関する科目は取れたけど、制度や医療的な問題で点数が取れなかった」ということもありうるのです。
合格率を上げるおすすめの勉強方法
介護士の資格の合格率を上げる勉強方法として、5つ挙げられます。
- 「満点」ではなく「合格点」を目指す
- 試験日から逆算して、勉強計画を立てる
- 過去問を何回も解く
- 模擬試験を受験する
- すきま時間を活用する
それぞれ1つずつ解説していきます。
1.「満点」ではなく「合格点」を目指す
介護福祉士の試験においては、合格する為に満点を目指す必要はありません。
満点を取ることを目標としたら、途方もない範囲を勉強しなければならず、とても大変でしょう。
介護福祉士に限らず、多くの資格試験では「合格基準点」が設けられています。
その点数さえクリアできれば、合格することができます。
介護福祉士国家試験では、合格基準点は6割程度とされています。問題が125問なので、75点から78点が合格基準点ということになります。
つまり「試験で80点以上とる」ことを目標にすれば、必要な分の量のみ勉強すれば良いので、、介護士の仕事と両立することができるのです。
2.試験日から逆算して、勉強計画を立てる
試験日から逆算し勉強計画を立てることで、効率的に勉強ができます。
介護福祉士国家試験受験までの流れは以下の通りです。
- 7月頃:介護福祉士国家試験の受験申し込み手続きが、ホームページにて公開される。
- 8月上旬から9月末:受験の手引きを請求し、受験申込を行う。手引きが届くまでの間に「実務者研修修了(見込)証明書」や「実務経験証明書」などを用意しておく。
- 11月から12月:受験票が届く。実務者研修を修了している場合は、修了証明書を送る。
- 翌年1月末:介護福祉士国家試験
- 3月末:合格発表
試験日から逆算した勉強計画の例を紹介します。
※5月から11月にかけて実務者研修を受講しているとしています。
- 1月から12月:苦手分野の克服
- 10月から12月:模擬試験(以下模試)を受け、苦手分野の把握。過去問を何回も解き、全体の問題量や、解答にかかる時間を把握する。
- 5月から10月:実務者研修で出される課題を提出しつつ、問題集などで基礎的な部分を勉強する
勉強計画のゴールを明確にすることで「自分は何をどのように勉強すべきか」ということが把握できれば、効率良く勉強することが可能でしょう。
3.過去問を何回も解く
国家試験に合格するのに最適な方法の1つが「過去問を繰り返し解く」ことです。
過去問を解くメリットは「出題量を把握できる」ことですが、もう一つメリットがあります。
それは「過去問は繰り返し出題されるので、本試験で似たような問題に当たりやすい」ことです。
過去問が繰り返される理由として、下記のことが挙げられます。
- 出題範囲が決まっている試験なので、試験問題で問うべき重要な箇所がそれほど多くない。なので、一度出題すると、同じような問題が繰り返し出題されることがあるから。
- 毎回、受験者の実力を同一のレベルで正確にはかるためには、過去の出題を参考に問題を作り上げるのが最適だから。
- 過去問で一度出題された知識を再び問うことによって、受験生がその過去問の勉強をしてきたかどうか、すなわち合格に値するだけの「努力」をしてきたかどうかを試したいから。
特に最後の理由は出題者にとって大きな狙いです。
介護福祉士は年々質の向上が求められています。過去に出題された問題を再び出すことで、受験生が本当に合格したいと思っているかどうかという精神面も評価しているのです。
4.模試を受験する
可能な限り、模試を受験しましょう。模試のメリットは以下の通りです。
- 本試験と同じタイムスケジュールで行うので、問題を解くのに必要な時間配分ができる。
- 本試験の雰囲気を体感できる。
- 「どの分野で点数が取れなかったのか」を客観的に把握できるので、勉強計画の指針になる。
そして、模試の解答解説は、とても詳しいため身に付く勉強ができます。
解説を基に模試を何回も解き直しすることで「自分はなぜ間違えたのか」を理解すると同時に、知識も定着します。
模試は、養成校などで開催しています。
スクールのひとつある土屋ケアカレッジの場合「介護福祉士国家試験対策講座」として、模試の受験案内だけでなく、出題傾向や勉強方法に関する講座を開催しています。
また受講生の理解状況に応じ、相談しやすい環境を提供しています。「1人で勉強するのが大変」という人は、講座を受講することも検討してみましょう。
5.すきま時間を活用する
「休日に勉強時間を確保することが難しい。」という人は、すきま時間を活用するという方法があります。
施設介護勤務の場合、夜勤前の午前中に勉強するという方法があります。
日勤帯と同じ時間に起床すれば、午前中の2時間から3時間程度勉強時間にあてることができます。
また早番や遅番など日勤帯でも、下記のように勉強することができます。
- 出勤前の10分間で教科書を読む
- 通勤時間中、スマホのアプリで勉強する(車通勤の場合は試験対策用のCDを聴き流す)
- 勤務後、30分から1時間問題を解く
さらに夜勤中時間ができたときに、勉強するということも可能です。
ですが問題を解くのに夢中で、業務に支障がでてはいけません。「ナースコールがなったら、いつでも対応できる」姿勢を保ちながら勉強することを心掛けましょう。
介護士の資格の合格率は高いが、勉強は必要
介護福祉士の資格の合格率は他の資格に比べて比較的高いです。
しかし制度や医療的ケアなど幅広い知識を求められるのに加えて、11科目の内1つでも0点だと不合格になります。
そのため、計画的に勉強することをおすすめします。
過去問や模試を何回も解いて問題の傾向を把握したり、すきま時間を積み重ねて勉強したりと、自分に合った勉強計画を立てましょう。
「満点」を目指さなくてよいです。「合格基準点」に数点加えた80点以上を取れるよう、効率良く勉強しましょう。