介護の仕事をしている人の中には「資格はいらない」と、無資格のまま何年も働き続ける人がいます。
実際、介護施設では無資格でも勤務を続けることができるので、業務を行う上では支障はないです。
しかし、職場から「介護福祉士を取らないか」という話をされても、断る人がいます。
この記事では、介護の仕事をする上で資格はいらないと考える人の理由と、資格を持つとどのようなことでメリットがあるのかを紹介していきます。
介護士に資格はいらないと考える理由
「介護士として働くのに、資格はいらない」と考える理由は「資格を取っても給料が変わらず、時間とお金が無駄だ」と思っているからです。
確かに介護福祉士になるためには、時間とお金がかかります。
介護福祉士の国家試験を受験する為には、下記の要件が必要になります。
- 介護施設などで3年以上勤務する
- 約半年かけて、実務者研修を受講する
上記のように時間がかかることに加え、実務者研修の受講代や国家試験の受験料といったお金もかかります。
時間とお金がかかるので、資格はいらないと考えがちになるのです。
資格を取ることで、メリットがある
上記で介護士として働くのに資格はいらないと考える理由についてお伝えしてきました。
しかし、介護福祉士などの資格を取得することで、次のようなメリットがあります。
- 給料が上がる
- 業務が楽になる
それぞれどのようなメリットなのか、紹介していきます。
給料が上がる
まず1つめは「給料が上がる」ことです。
資格の有無によって、基本給やボーナスに差がでます。
同じ仕事をしても、より多くの給料を貰えれば、モチベーションが上がるでしょう。
資格を取得するのにお金はかかりますが、長く働けばかかった費用分以上のお金を貰うことができます。
「今の職場で資格を取得しても、給料は変わらない」という場合は、転職することも1つの方法としてあります。
介護の業界は他の職種と比べて転職しやすいのが特徴ですが、介護福祉士を持っているほうが、より転職の幅が広がります。
訪問介護の場合、介護福祉士や実務者研修などの資格を採用条件にしていることが多いです。
また病院で看護助手として働く場合、資格の有無によって給料が異なります。
資格を持っていれば、同じ仕事をしていても月給やボーナスでより良い待遇が得られるのです。
さらに、介護福祉士を持っていることで上位職に採用されることがあります。
例を挙げると、訪問介護のサービス提供責任者(以下サ責)や、介護施設での生活相談員などがあります。
業務内容は多岐にわたり大変ですが、その分給料も高いです。
「別の職場で働きたい」と考えているのならば、資格は取得しておくことをおすすめします。
業務が楽になる
2つめは「業務が楽になる」ことです。
例えば、介護施設で身体が大きい利用者さんを起こすとき、力任せで起こそうとする人がいます。
その結果介護士自身の身体を痛めてしまうだけでなく、介助される側も痛い思いをすることがあるのです。
しかしボディメカニクス(人間が動作するときに骨や筋肉、関節がどのように作用するか)に関する知識があれば、力が無い人でも簡単に起こせるだけでなく、介助される側も安心して任せられます。
知識を取得し、実際の現場で活用することで知識を体得するだけでなく、業務もスムーズに行えるのです。
また認知症に関する知識があれば、落ち着いて対応できます。
認知症に関する知識が乏しい人の中には、何回も同じことを聞く人に対し「さっきも言ったでしょ」と怒ったり、「ここはどこなの?」「家に帰りたい」と職員に尋ねる人へ「家はありません、帰れません」と突っぱねる人がいます。
このような対応を取ると、認知症の人はどんどん不穏になります。
また認知症を持っていても「嫌なことをされた」という記憶は残るので、どんどん活気がなくなってくるのです。
認知症に関する知識があれば、何回も同じことを聞く人に対し「一緒に洗濯物をたたみませんか」と、別のことに興味をそらしたり、「家に帰りたい」と訴える人に対し「今日は夜遅くて天気も悪いです。
私も今日泊まりなので、明日明るくなったら一緒に帰りませんか?」といった対応を取れます。
入居者が落ち着くことで、職員も心にゆとりを持って業務を行えるのです。
お金をかけずに資格を取得する方法はある
「資格を取得したいけれど、お金がない」という人もいるでしょう。
お金をかけずに資格を取得する方法はあります。
具体的には、下記の3つがあります。
- 職場からお金を出してもらう
- ハローワークの教育訓練給付金制度を活用する
- 福祉人材センターの貸与制度を利用する
それぞれどのような制度なのか、お伝えしていきます。
職場からお金を出してもらう
1つめは「職場からお金をだしてもらう」ことです。
介護施設によっては資格取得支援制度の一環として、実務者研修にかかる費用を負担してくれます。
ただし、職場によっては費用は負担しないという場合があるので、事前に確認しておきましょう。
ハローワークの教育訓練給付金制度を活用する
2つめは「ハローワークの教育訓練給付金制度を活用する」という方法です。
教育訓練給付金制度とは、介護福祉士などの国家資格を取得するのにかかった費用の一部を、給付してくれるという制度です。
介護福祉士の取得を考えた場合「専門実践教育訓練給付金制度」が使えます。
この制度を活用すれば、実務者研修でかかった費用の7割が給付されるのです。
雇用保険に一定期間加入するといった条件があるので、事前にハローワークで確認しましょう。
福祉人材センターの貸与制度を利用する
3つめは「福祉人材センターの貸与制度を利用する」ことです。
福祉人材センターとは、介護、保育など福祉に関する求人を紹介している場所です。
47都道府県に必ず設置されています。
福祉人材センターでは、福祉分野で働きたい人向けに様々な支援を行っています。
その中の1つとして「貸与制度」です。
この貸与制度ですが、介護施設などで2年間勤務すれば、返済義務が免除されるという特徴があります。
また介護の仕事に復帰したいという人のために「就職準備金」という制度もあります。
これは介護施設で勤務するのにかかる費用(制服代など)を、上限付きで貸与するものです。
この制度も介護施設などで2年間勤務すると、返済免除になります。
- 資格を取得したいけれど、まとまったお金がない
- 資格取得後も、介護の業界で働き続ける予定だ
という人には、おすすめです。
介護士として働く上で、資格はいらないと考えている人へ
介護士として働いてきた人の中には「資格を取っても給料は変わらない。時間とお金の無駄だ」と考える人がいます。
しかし、資格を取得することで給料が上がるだけでなく、業務もやりやすくなります。
ボディメカニクスや認知症に関する知識があれば、スムーズに対応できます。
実務者研修では、座学や演習を通して介護に関する知識を身につけられます。
今まで独学でやってきた人も、実務者研修を通してスキルアップができるのです。
お金の面に関しては、ハローワークの教育訓練給付金制度や福祉人材センターの貸与制度を活用することで、負担をかけずに資格を取得できます。
是非「知識をつけて、自分がより良く介護の仕事ができるようになる」ことを目的に、資格取得を目指してください。