介護職は、高齢者の方や体が不自由な方の生活をサポートする専門職です。
自分より体格の良い利用者さんの体を支えたり、持ち上げたりすることがあり、体力的にきついと感じることもあります。
また、体力的にきついことに加え、責任の重さ・仕事内容・業務量に給料が見合わないと不満に感じている方も多くいらっしゃるでしょう。
そこで今回は「本当に介護職は、仕事内容相当のお給料がもらえていないのか」という疑問にお答えしながら、介護職がお給料をアップする方法を紹介します。
介護職の仕事内容と給料
介護職の主な仕事内容は、利用者さんに対して食事介助・入浴介助・移乗介助などを行う「身体介助」と調理や洗濯、掃除など利用者さんの身の回りの作業を代行する「生活援助」です。
その他、利用者さんの体調や病気の症状を把握し記録する事務作業も行います。
介護職は未経験・無資格でも働けるため、専門性がないと思われがちですが、正しい移動介助の仕方、正しい食事介助の仕方、病気などの理解を必要とする立派な専門職です。
正しい移動介助の仕方がわからないまま移動介助を行うと、骨折・打撲・転落・転倒などの事故が起こる可能性があります。
また、食事介助も簡単そうに思えますが、嚥下機能が低下している利用者さんは誤嚥の危険性があり、命が危険にさらされることもあるため注意が必要です。
介護職は利用者さんの命を預かっており、責任が重く「大変だ」と感じる人が多くいらっしゃいます。
そんな介護職全体の平均給料は約315,850円、初任給は17万〜22万円ほどです。
日本人の平均給料と比べて介護職の給料は低い?
日本人の平均年収は496万円、平均月収は32万円です。
先ほど紹介したとおり、介護職の平均給料は315,850円なので、日本人の平均給料と同じくらいです。
「介護職は給料が低すぎる!」と言われ続けるほど低いわけではありません。
ただ、介護職の初任給が17万〜22万円なので、お給料が上がる前に転職をしてしまう人も少なくありません。
しかし、努力次第で17万〜22万から10万円近くの給料アップを目指すことは可能です。
介護職のお給料の上げ方について、次の項目で紹介します。
介護職がお給料アップを目指す方法
給料を上げるために自身でできることは、以下の5つです。
- 長く働く
- 手当の就く働き方をする
- 給料の高い職場に転職する
- キャリアアップを目指す
- 資格を取得する
順に説明していきます。
長く働く
介護職に限ったことではありませんが、長く働くことで給料は上がります。
昇給制度で給料が上がったり、長く働くことで職員から信頼を得てキャリアアップできたりと、さまざまな方法でお給料アップを目指すことができるのです。
また、介護福祉士の資格を取得した上で10年以上勤務すると、特定処遇改善加算により月額平均8万円の手当がつきます。
特定処遇改善加算とは、経験豊富な介護職員の処遇改善を目的とした制度です。
原則として「10年以上勤務している福祉士」が対象で、1人8万円程の手当がつきます。
介護施設や介護事業所により加算率が異なるため、10年以上勤務している介護福祉士全員が全額の8万円を受け取れるとは限りませんが、資格を取得し、長く働くことで給料が上がることは確実です。
手当のつく働き方をする
介護施設や介護事業所では、早番・日勤・遅番・夜勤といったシフトで働くことが多いです。
施設や事業所によっては、遅番が遅番1・遅番2などと分かれている場合もあります。
どの施設や事業所でも、夜勤をすると夜勤手当がつきます。
夜勤手当の相場は5,000〜8,000円です。
給料を上げたい場合は、夜勤の回数を増やしてもらうよう上司に相談してみましょう。
ただし、施設や事業所によっては1ヶ月に働ける夜勤の回数が決まっている場合があります。
私が働いていたところでは、女性は1ヶ月に9回まで、男性は1ヶ月に10回までと決まっていました。
また、施設によっては夜勤手当の他に、遅番手当や早朝手当が支給される施設もあります。
夜勤を増やせない場合は、早番や遅番を増やしてみましょう。
給料の高い職場に転職する
現在勤務している職場で「夜勤を増やしたいのに増やしてもらえない」「遅番手当がつかない」「キャリアップしにくい」などの理由で、どうしても給料の増加が見込めない場合は転職するのも1つの方法です。
介護施設や事業所によって給料も大きく異なるので、現在の職場より給料の高い職場への転職を検討してみましょう。
デイサービスは夜勤がないので比較的給料が低めです。
一方で老人ホームは夜勤もあり、利用者さんの人数も多いので、他の施設や事業所に比べ、給料が高い傾向にあります。
転職活動をする際は「自分に合った働き方や施設・事業所はなにか」をしっかりと把握した上で、転職活動を行いましょう。
キャリアアップを目指す
介護職には、フロアリーダー・チーフ・介護主任・管理職など、さまざまな役職が存在しています。
役職に就くことができれば、役職手当が支給されるため給料が上がります。
事業所・施設によって支給される役職手当の額は異なりますが、約1,000〜15,000円ほど支給されます。
介護主任や管理職など責任が重い役職に就いた場合に支給される役職手当は、他の役職より比較的高いです。
しかし、このような高い役職に就くには、介護の知識だけではなく、マネジメント知識も身につける必要があります。
また、事業所によっては資格が必要だったり、研修を修了している必要があったりと、管理職になるにあたり、さまざまな条件があります。
そのため、キャリアアップを目指す前に、資格取得を目指してみましょう。
資格を取得する
介護職の資格を取ると資格手当が支給されるため、確実に給料アップが狙えます。
介護や福祉に関する資格を持っている職員の月収と、無資格の介護職員の平均月収を比較してみます。
資格の種類 | 平均月収 | 無資格介護職員の平均月収との金額の差 |
無資格 | 27,1260円 | |
介護初任者研修修了者 | 30,0510円 | 29,250円 |
介護実務者研修修了者 | 30,7330円 | 36,070円 |
介護福祉士 | 32,8720円 | 57,460円 |
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 36,2290円 | 91,030円 |
社会福祉士 | 36,3280円 | 92,020円 |
平均月収が一番高い社会福祉士の月収と無資格の介護職員の平均月収の差は、92,020円です。
介護職の入門試験といわれる介護初任者研修を修了している介護職員と、無資格の介護職員の平均月収の差は、29,250円です。
資格を取得するだけでお給料が一気に上がります。
しかし、資格手当の金額は施設や事業所によって異なります。
資格手当の相場は1,000円〜30,000円程であり、初任者研修を修了したからといって、一気に29,250円月収が増えるわけではありません。
無資格と資格保有者の月収に大きな差があるのは、昇給や役職が関係しています。
資格を保有している人はキャリアアップがしやすいため、資格手当に加え、役職手当をもらっている可能性が高いです。
介護職で一番効果的に給料を上げる方法!給料アップを目指そう!
今回は、介護職が給料を上げる方法を紹介しました。
前述したとおり、資格保有者はキャリアアップもしやすく、昇進したら資格手当に加え役職手当が支給されるため、更なる給料アップが狙えます。
また、資格取得を目指しながら1つの事業所で長く働くことにより、昇給で給料が増えたり、特定処遇改善加算の条件を少しずつ満たすことができたりします。
このように、介護職が給料アップを狙う方法はさまざまあるのです。
本記事で紹介した給料を上げる方法を複数掛け合わせ、給料アップを目指していきましょう。