高齢化が進んでいる現在において、介護職のニーズは年々高まっています。
介護職の需要が高まる中「介護職は給料が安い」と批判の言葉も上がっているため「本当に安いのか」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで、今回は日本の介護職の給料と、他国の介護職の給料と比較をしてみました。
本記事では日本や韓国、フランスなどを含めた8カ国の介護職の給料を比較しているので、日本で働いている介護職員の給料について考えるきっかけにしてみてください。
日本で働いている介護職員の給料
まずは、日本で働いている介護職員の平均給料を紹介します。
日本で正社員として勤務している介護職員の平均月収は31.7万円、平均年収は430万円です。
正社員として働いている方の大半は役職についている人や資格を持っている方、勤務年数が長い方が多いので、特別安い印象は見受けられません。
しかし、介護士の初任給は17万〜21万円と、平均月収よりかなり低めであることがわかっています。
一方で非常勤の平均時給は950円〜1400円ほどで、低くはありません。
海外で働いている介護職員の給料
ここでは、海外で働いている介護職員の給料についてご紹介します。
アメリカで働いている介護職員の給料
アメリカで働いている介護職員の平均年収は 29,250ドル、日本円にすると約377万円です。
勤務年数が長く経験豊富な方の年収は、平均年収よりも100万円以上高い477万円ほど(37,050ドル)に上ります。
一方で平均時給は$14.06、日本円にすると約1814円です。
スイスで働いている介護職員の平均給料
スイスで働いている介護職員の平均年収は48411フラン、日本円にすると687万円です。
世界で一番物価が高いといわれるスイスで働いている介護職員の給料は、日本で働いている介護職員に比べ、かなり高いことがわかります。
平均時給は約23フラン(3260円)です。
フランスで働いている介護職の給料
フランスで働いている介護職員の平均年収は25,138ユーロ、日本円にすると約353万円です。
また、平均時給は12ユーロ(約1600円)です。
カナダで働いている介護職給料
カナダで働いている介護職の平均給料は28,503カナダドル、日本円にすると280万円ほどです。
また、平均時給は14.62カナダドル(約1430円)です。
イギリスで働いている介護職の給料
イギリスで働いている介護職の平均給料は23,052ポンド、日本円にすると370万円ほどです。
また、平均時給は11.82ポンド(約1800円)です。
香港で働いている介護職員の給料
香港で働いている介護職員の平均年収は178,139香港ドル、日本円にすると約299万円です。
日本で働いている介護職に比べて、かなり低いことがわかります。
また、平均時給は86香港ドル、日本円にすると1400円ほどです。
韓国で働いている介護職員の給料
韓国で働いている介護職員の平均給料年収は27,021,117ウォン、日本円にすると約280万円です。
マレーシアで働いている介護職員の平均給料
マレーシアで働いている介護職員の平均年収は42,765リンギッド、日本円にすると120万円です。
平均時給は約21リンギット(637円)です。
世界で一番物価が安いと言われているマレーシアで働いている介護職員の平均給料は、日本で働いている介護職員に比べ、かなり低いことがわかります。
日本の介護職員の平均給料はやや高め
日本を含めた8カ国で働いている介護職員の平均年収を紹介しました。
比較してみると、日本で働いている介護職員の平均給料は高めです。日本では高齢化に伴い、介護職員の待遇が見直されています。
指定された要件を満たした介護施設で働く介護職員に一定の加算をしたり、介護福祉士取得後、10年以上勤務している介護職員に手当を支給したりと、介護職員の処遇改善が行われています。
また、介護職は資格を取得することで資格手当が支給され、さらにキャリアアップもしやすい点においては、比較的給料が上がりやすい職業です。
日本の介護職員の処遇改善や資格手当の支給が、他の国に比べて日本の年収が高い理由の1つだといえます。
日本と海外の介護職員の給料を正確に比較することはできない
今回比較した8カ国においては、日本の介護職員の給料は高めであることがわかりましたが、日本と海外の給料を正確に比較することはできません。
海外によって物価は違いますし、お金の価値も異なるため、正確には判断しにくいです。
たとえば、時給1000円が高いと感じるか、低いと感じるかは住んでいるところやお金への考え方で異なります。
物価の高い国では支払われるお給料も高めであることがほとんどです。
逆に、物価が安い国では支払われるお給料も低めであることがほとんどですが、その中でも問題なく生活できている国民も多くいます。
世界で一番物価が高いといわれている、スイスで働いている介護職員の平均年収は687万円です。
一方で物価が一番安いといわれている、マレーシアで働いている介護職員の平均年収は120万円です。
スイスとマレーシアの平均年収には、約567万円の差があります。
このように、国の物価で介護職員の平均年収は大きく左右されます。
日本で行われている介護職員の処遇改善
海外と比べると、日本は特別物価が高い国ではありません。しかし、日本の介護職員の給料は低い傾向にあります。
身体的・肉体的に負担が大きい仕事内容と給料が見合わないと、退職を決意する介護職員も少なくありません。
現在国は介護報酬を加算し、介護職員の離職を減らす取り組みを行なっております。
国が実際に行ってきた処遇改善の数々を紹介します。
介護職員処遇改善加算
処遇改善加算は、介護職員の給与向上を目的に介護報酬を加算する制度です。
介護報酬と呼ばれる介護施設や事業所の売り上げの1~3割は、利用者さん負担であり、残りの7~9割は国が払っています。
国が負担している介護報酬には限度があるため、介護職員の給料がなかなか上がらないことが問題視されていました。
国は、一定の条件を満たした介護施設・介護事業所の介護報酬に金額を上乗せし、介護職員の給与向上に取り組んでいます。
介護職員特定処遇改善加算
特定処遇改善加算は、スキルや経験のある介護職員の遭遇改善を目的とした制度です。
原則、特定処遇改善加算の対象になる職員は「10年以上勤務している介護福祉士」です。
条件を満たした職員は、最大8万円が受け取れます。
しかし、10年以上勤務している介護福祉士全員が、必ずしも8万円を受け取れることはないようです。
特定処遇改善加算は処遇改善加算に上乗せされるため、処遇改善加算を受け取っている事業所に勤務していない介護福祉士は加算を受け取ることができません。
また、施設や事業所により加算率は異なるため、介護福祉士全員が全額8万円ずつ受け取れるとは限りません。
しかし、条件さえ満たしていれば、給料は確実に上がります。
介護職員処遇改善臨時特例交付金
国は、2022年2月から9月までの間に福祉・介護職員を対象に月額9000円の引き上げを行なっていました。
処遇改善加算を取得している介護施設や事業所の介護職員1人につき月額9000円の報酬が加算されました。
日本で働く介護職員の処遇は今後も見直され続ける
今回は日本で働く介護職員の給料と海外で働く介護職員の給料を比較してみました。
海外で働く介護職員の給料に比べると、日本の介護職員の給料は比較的高い傾向にあります。
日本では処遇改善が行われているため、今後も日本の介護職員の給料は上がり続けるでしょう。
そして、介護職員の離職率も下がっていくことが予想されます。