「介護をすることになったけど、寝たきりになった方の介護で必要なものって何?」
「寝たきりの介護で使えるサービス、スキル、物品を教えて欲しい」
介護をする方はこのような疑問があると思います。
介護の準備を適切に行うことで、介護者の負担をを軽減することができます。
本記事は、寝たきりになった方を介護する方向けに記事を書かせて頂きました。
本記事の内容は以下の通りです。
- 寝たきりの状態とは?
- 介護で検討すべき福祉用具
- 介護で使う日用品
- 介護物品の3つのアドバイス
- 介護のスキルを学ぶ前の前提として
- 寝たきり介護の介助のポイント
- 介護保険の利用
- 介護サービスの種類
寝たきりの方を介護する人の参考になればと思います。
寝たきりの状態とは?
介護なしに日常生活を送ることが難しく、身の回りの世話のほぼ全てにおいて介助が必要な状態を寝たきりと言います。介護保険でいう寝たきりとは、「要介護4」「要介護5」に該当し、最も介護依存度が高い方と言えます。
福祉用具や介護物品を準備し、適切にスキルを身につければ、在宅での寝たきりの方の介護は可能です。在宅介護を行う場合は、介護に対する知識をつけ、正しい方法で介助を行う必要があります。
介護で検討すべき福祉用具
介護を行う際に、検討すべき福祉用具は以下の通りです。
- 介護ベッド+床ずれ予防用のマットレス
- 車椅子+床ずれ予防用のクッション
- 排泄用具(ポータブルトイレ、差し込み便器、尿器など)
- 体位保持、体位変換用のクッション
- (痰が多い場合は)吸引器
- 手すり、滑り止めのマット、スロープ
- (移乗が多い方は)スライディングシート
- (屋内段差をなくす)スノコや踏み台
介護ベッド、車椅子、手すりやスロープなどは、介護保険を利用してレンタルすることが可能です。福祉用具は身体や自宅の状況に応じて臨機応変に変更できます。
介護支援専門員や福祉用具の方が、必要な物品の相談に応じてくれます。
介護の日用品
福祉用具の他にも、食事介助用のエプロン、食器、防水シーツ、衣類、お尻拭き、オムツ、陰部洗浄ボトルなどの準備が必要です。
介護物品の3つのアドバイス
アドバイス① 自治体のオムツ支給サービスを利用
自治体によっては、介護用のおむつ支給を行っているので確認してみましょう。
アドバイス② ペット用の防水シーツを代用する
オムツからわき漏れした排泄物を防ぐ防水シーツは、利便性が高いです。
介護用品用の防水シーツは高価なため、ペット用シーツを代用することをオススメします。ペット用シーツでも使用には問題ありません。
介護現場でもペットシーツが使われていることが多いです。
アドバイス③ ペットボトルに穴をあけて陰部洗浄ボトルとして使う
オムツ内に溜まった排泄物で皮膚が汚れると、床ずれや感染の温床となるため、定期的な洗浄が必要になります。陰部の洗浄の際に使用するのが、陰部洗浄ボトルです。
陰部洗浄ボトルは1500円前後で購入できますが、自宅でも簡単に準備できます。
介護の現場では、ペットボトルの蓋に穴をあけて、陰部洗浄用のボトルとして使うことが多いです。簡単に準備できるので、ぜひ使ってみてください。
介護のスキルを学ぶ前の前提として
介護士や看護師は、学校で介助の理論やスキルについて数年かけて学び、現場に出てスキルを磨いています。
しかし、介護する家族は介護スキルを学ぶ機会も少なく、十分な準備がないままに、介護の現場に直面することが多いです。
自己流での介護は介助者の負担が大きく、腰や膝を痛めることになりかねません。
可能であれば、介護士や訪問看護師に指導や説明を受け、介助方法を学んでください。
適切な介助方法を学べば、介護者の負担をぐっと少なくすることができます。
寝たきり介護の介助のポイント
体位変換介助
床ずれを防ぐために2〜3時間に一回、体位変換を行います。(マットレスに体位変換機能があれば、定期的な体位変換が不要な場合もあります)
下記は、仰向けから右向きに体位変換を行う流れの解説です。
①「右を向きます」と声を掛け、胸の前で手を組み、左膝を曲げます。
② 介助者はお尻、腰、肩の順番に右向きに身体を回転させていきます。
③ 横を向いたら、背中にクッションを置く。膝や足の浮いている部分にもクッションを入れます。
(*左向きの場合は、上記と逆向きの手順で行ってください)
食事介助
自分でご飯を食べることが難しい方は、食事の介助が必要となります。
①(むせこみを防ぐために)顎を引いて、ベッドを60〜90度以上に上げます。
② 膝下にクッションを入れます。
③ 介護エプロンを装着し、一口サイズのスプーンで提供します。
④ 飲み込んだのを確認してから次の食事を提供します。
オムツ選択
生活動作レベルに合わせて「パンツ」か「テープ」のオムツを選択します。
- 「パンツ」オムツは、歩ける方・座れる方にオススメです。
- 「テープ」オムツは、ベッドで寝て過ごすことが多い方にオススメです。
- 一回の尿量が多い方や、夜間の尿漏れがある方は、尿取りパットも併用します。
排泄介助
自力でトイレに行くのが困難な方は、ベッド上でのオムツ交換が必要です。
便や尿が長時間付着したままになると、床ずれの原因になるので、日中は2〜3時間おきにオムツチェックをして、汚れていたらオムツを交換します。
オムツに便がでた際は、
① 体位変換の手順で横向きになります。
② ボディソープと陰部洗浄ボトルを使って臀部を洗い流します。
③ 水分をふき取り、新しいオムツに交換します。
排泄のケアは本人の自尊心に関わることで、排泄介助されるのを拒否する場合があります。本人の尊厳を守るためにも、まずは本人の自尊心に共感を寄せてください。
拒否が強い場合は、介護士や看護師に相談し、どのように排泄介助していくか、オムツはつけずに対応できないか等を考えていきましょう。
更衣介助
寝たきりの方でも皮膚に汚れが溜まります。更衣は、汚れが少なければ1〜2日おきでも問題はありません。
洗髪と清拭
頭の下にオムツを敷き、ペットボトルにお湯を入れて流せば、ベッド上で髪を洗うことが可能です。ベッド上での洗髪は手順が複雑なので、介護士や看護師に教わってから実践しましょう。蒸しタオルで身体を拭けば、皮膚の清潔を保つことができます。
濡らしたタオルをビニール袋に入れて、電子レンジで1~2分温めれば、蒸しタオルをつくることができます。
入浴介助
寝たきりの方を自宅の浴槽で入浴させるのは危険なので、オススメしません。
訪問入浴のサービスを利用するのが、安全かつ負担も少ないです。訪問入浴のサービスは介護支援専門員に相談しましょう。
介護保険の利用
介護保険を申請し、認定されると様々なサービスを受けられます。
介護保険を利用することで、介護サービスを導入できます。(所得に応じて、介護保険の自己負担額が変わります)
介護サービスの種類
① 訪問系サービス
訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリテーション
② 通所系サービス
通所リハビリテーション、通所介護
③ 短期入所系サービス
短期入所生活介護、短期入所療養介護
④ 福祉用具・自宅改修
福祉用具のレンタル、住宅改修の補助
本人、家族のニーズに合わせて、介護保険を使ってサービスを利用することができます。
介護支援専門員が本人・家族と相談しながら、どのサービスを使うかプランを組み立ててくれます。