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認知症の症状を詳しく知りたい!中核症状と周辺症状について解説します

認知症 中核症状

超高齢社会の日本では認知症に関する情報を見聞きする機会が多々あります。そのため多くの人が認知症について気になり、ネットで調べてみたことがあるでしょう。

しかし、認知症の説明には難しい病名や専門用語が多く、わかりにくいと感じる方が多いのではないでしょうか。

そこで認知症の説明でかならず出てくる「中核症状」と「周辺症状」についてわかりやすく解説します。

目次

認知症のさまざまな症状は2つに分類される

認知症 中核症状

認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分類されます。

中核症状は、認知症になるとかならずあらわれる症状をいいます。

周辺症状は中核症状が原因となり、本人のもともとの性格や環境などが複雑に絡みあってあらわれる症状です。そのため症状は人それぞれ異なります。

なお認知症には複数の種類があり、種類によって症状に違いがあります。

認知症の中で最も多いのは「アルツハイマー型認知症」で、もの忘れの症状から始まることがほとんどです。そのほか、脳出血や脳梗塞により脳の血管が障害されておきる「血管性認知症」、パーキンソン病に似た症状と幻視が特徴の「レビー小体型認知症」、言葉の出づらさや感情の抑制がきかなくなる「前頭側頭型認知症」などがあります。

中核症状とは

認知症 中核症状

中核症状とは、脳の細胞が壊れる、脳の機能が低下することによりおきる症状です。認知症になるとかならずあらわれる症状ですが、症状の重さには個人差があります。

中核症状はその中でも以下の5つに分けられます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 実行機能障害
  • 理解、判断力の障害
  • 失行、失認、失語

それぞれ説明します。

記憶障害

記憶障害はいわゆる「もの忘れ」で、認知症の早い段階からあらわれることが多い症状です。新しいことが覚えられず、数分・数時間前に聞いたことやしたことをすぐに忘れてしまいます。

若い頃のことなど昔のことはよく覚えていることが多いですが、病気が進行すると覚えていたことも忘れてしまいます。

見当識障害

見当識障害はいつ、どこで、自分は何をしているのか、また自分を取り巻く環境や人間関係が理解できなくなる症状です。見当識とは日時や場所、周囲の状況や人間関係を総合的に判断し、理解する能力をいいます。

「いつ」がわからなくなるとあらわれる症状は、日にちや時間がわからないため約束を守れない、予定通りに行動できないなどです。季節もわからなくなるので、季節に合わない服装をすることもあります。

「どこで」がわからなくなるとあらわれる症状は、慣れた道でも迷う、自分の家でもトイレの場所がわからなくなるなどです。

人間関係や周囲の状況がわからなくなると、家族との関係性がわからず息子を夫だと思ったり、亡くなった事実が理解できず会いに行こうとしたりします。

実行機能障害

実行機能障害は「遂行機能障害」ともいい、物事を計画的に、順序立てて実行することが難しくなります。

たとえば「ごはんを炊く」「おかずを作る」ことができても、それを同時進行で行うことは難しいです。また予想外のことが起きるとその対処法を考えられず混乱してしまうこともあります。

理解、判断力の障害

理解、判断力の障害は情報を処理する能力が低下し、理解することに時間がかかります。同時に2つ以上のことを言われたり、早口で言われたりすると理解が困難です。

また目に見えない仕組みが理解できず、駅の自動改札の通り方や銀行のATMの操作などがわからなくなります。

あいまいな表現も理解できず、「今日は寒くなるから気をつけて」と言われても暖房を付ける、厚着をするなどの具体的な行動はできません。

失行、失認、失語

失行は動作や物の操作が、身体機能に障害がないのにできなくなることです。

たとえば「箸を使って食事をする」「洋服を着る」「リモコンを使う」など日常的に行えていたことも難しくなります。

失認は五感で理解することができなくなり、感覚や状況・空間を認識することが難しくなります。触られてもどこを触られているのかわからない、空間を認識できず人や物とぶつかってしまう、目の前の食事を一部しか認識できず認識できている部分だけ食べるなどの症状です。

失語は言葉を話すこと、理解することが難しくなります。音として聞こえていても言葉や話として理解できない場合や、自分の話したいことを表現できない、伝わるように話すことができなくなる場合などさまざまです。

周辺症状とは

認知症 中核症状

周辺症状は「行動・心理症状」ともいわれ、中核症状と本人の心身の状態、環境が相互的に作用して二次的にあらわれる症状で、個人差が大きいです。

周辺症状はおもに以下のようなものがあります。

  • 不安・抑うつ:認知症から日常生活に支障が出ることで自分自身に苛々や焦燥感を感じてうつ状態になることがあります。
  • せん妄:体調不良や環境の変化、薬の影響で意識障害がおこります。
  • 興奮:感情の起伏が激しくなり、言葉でうまく表現できない苛々が募って暴力や暴言が出てしまいます。
  • 徘徊:中核症状の影響やストレスから絶えず歩き回ることがあります。外出して道に迷ったり、目的地を忘れても歩き続けたりします。
  • 睡眠障害:認知症の人は繊細で体内リズムが狂いやすく、不眠や昼夜逆転がみられます。またレム睡眠行動障害で睡眠中に暴れ出すこともあります。
  • 妄想:自分の物を盗まれたと思い込む「もの盗られ妄想」や、悪口を言われていると被害妄想になります。

認知症の人の言動を否定せず、理解しようと寄り添うことが大切です。周りの人が理解し、適切な対応や環境を整えることで症状をやわらげることができます。

しかしながら危険な行動や周囲に迷惑がかかる行動がエスカレートしないように、専門医や介護のプロの力をかりて対応する必要があります。

認知症か加齢によるもの忘れかを見分けるには

年を取れば誰でも新しいことが覚えられなくなったり忘れやすくなったりします。そのため加齢による心配のないもの忘れなのか、認知症によるもの忘れなのかの判断は非常に難しいです。

見分けるポイントは以下のようなものがあります。

加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ
もの忘れの自覚あるない
日常生活に支障あまりないある
体験したこと一部を忘れる(例:朝食のメニュー)体験そのものを忘れる(例:朝食を食べたこと自体)
探し物自分で見つけられるいつも探し物をしているが見つけられない誰かに盗られたと人のせいにする
症状の進行かなりゆっくり進行進行していく

もの忘れによって日常生活や人間関係に支障が出る、もの忘れの自覚がない、取り繕ったり人のせいにする、食べたことなど自分が行った体験そのものを忘れてしまうのは認知症の初期症状かもしれません。

また認知症の前段階を「軽度認知障害」といいます。軽度認知障害は健常と認知症の間の状態です。軽度認知障害の人の約半数が5年以内に認知症へ移行するといわれています。

しかし軽度認知障害の段階で運動などの予防的活動をすることで認知症への移行を防いだり、進行を遅らせたりする効果があるといわれています。

認知症を正しく知っていち早く気づく目をもとう

認知症 中核症状

本記事では、認知症の症状「中核症状」と「周辺症状」について解説しました。

認知症の症状を知っておくことで、身近な人が認知症になった場合にいち早く気づくことができます。

また認知症になった人が、病気になる前の姿からは想像もできないような言葉や行動がみられても、病気によるものだと理解していれば過剰に反応することなく適切な対応ができるでしょう。

認知症は誰でもなる可能性がある身近な病気です。そのため認知症について正しく理解することは、社会全体の課題といえるでしょう。

認知症の症状についてYouTube動画で詳しく解説しています

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。株式会社femto代表取締役。

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