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ケアマネの資格は廃止になる?真相とケアマネの現状・将来性について解説します

「ケアマネの資格は廃止になる」という話を聞いたことがある方がいるかもしれません。

なぜそのような話が出ているのか、廃止される可能性はあるのか、ケアマネの現状や将来性が気になっている方は多いのではないでしょうか。

そこで、本記事ではケアマネ廃止の真相や廃止の可能性について、またケアマネの現状や将来性についても解説します。

目次

ケアマネの資格は廃止されない

ケアマネ 資格 廃止されない

結論からいえば、現状ではケアマネの資格は廃止にはなりません。

介護保険制度において重要な役割を担うケアマネジャーは需要が高く、活躍の場は多くあります。

なぜケアマネの資格は廃止になると思われているのか?

超高齢社会の日本において、ケアマネの需要はますます高まっています。

にもかかわらず廃止の可能性がささやかれるようになった背景や理由は以下のようなものがあると考えられます。

廃止の可能性がささやかれるようになった背景や理由
  1. 受験資格の厳格化
  2. 介護保険法の改正
  3. AIの進歩

ひとつずつ解説します。

1.受験資格の厳格化

2015年度に、ケアマネの専門性や質の向上を目的として、保有資格による受験科目の免除制度が廃止されました。

2014年までは、看護師や介護福祉士などの保有している国家資格に応じた科目が免除されていました。

また、2018年度には受験資格が厳格化されました。

この厳格化されたのも、ケアマネの専門性や質の向上が目的です。

2017年度までは介護職員初任者研修(ヘルパー2級)などの資格を保有していれば実務経験5年以上で、または無資格でも実務経験10年以上で受験資格が得られました。

しかし、2018年度からは受験するには「保健医療福祉分野での国家資格(介護福祉士、社会福祉士、看護師など)に基づく実務経験が5年以上」と条件が変わったのです。

受験資格がどんどん厳格化され、合格率も下がったことから「ケアマネが廃止になる?」との心配の声が上がるようになりました。

2.介護保険法の改正

2021年度の介護保険法の改正で、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーに限られることになりました。

現在は経過措置期間で、2021年3月31日時点で管理者が主任ケアマネジャーではない場合、2027年3月31日までに配置することが求められています。

居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限られたことから「主任ケアマネの資格を取らないと仕事がなくなる」との声が上がるようになり、ケアマネの資格は廃止になるのではないかと心配されるようになりました。

なお、主任ケアマネジャーは資格を取得するのに試験を受ける必要はなく、研修を修了することで資格を取得できます。

専任のケアマネとして5年以上の経験があれば研修を受けられますが、要件は都道府県によって異なるため確認が必要です。

3.AIの進歩

AIのめざましい進歩は、今や誰もが知るところです。

AIの進歩により、ケアマネがケアプランを作成しなくてもAIで作成できるようになる、それゆえケアマネは必要なくなり廃止になる、との考えにつながっていると考えられます。

たしかに、ケアプラン自体はAIで作成できるようになるでしょうし、精度の高いケアプランが作成できるようになる可能性も高いです。

しかし、ケアマネの業務はケアプランを作成することだけではありません。

相談援助業務のプロとして、高いコミュニケーション能力や調整スキルが求められ、利用者さん一人ひとりに合わせたきめの細かい対応が必要です。

利用者さんに寄り添うこと、困りごとや心配を取り除いてサポートすることがケアマネの重要な仕事であり、そのすべてをAIで担うのは現状では困難です。

そのため、ケアマネの存在意義がなくなることはなく、資格が廃止になることはないと考えられます。

ケアマネの現状と今後の将来性

ケアマネ 現状 今後の将来性

ケアマネの資格は、現状では廃止の予定がないことはわかりましたが、ケアマネの現状や今後の将来性は、現役ケアマネもこれから資格取得を目指す方も気になるところでしょう。

現状

現状でもケアマネの需要は高く、介護職員と同様にケアマネも人材不足が深刻な問題です。

ケアマネジャーの人材不足は以下のような要因があると考えられています。

ケアマネジャーの人材不足の要因
  • 受験資格取得の大変さ
  • 試験の難易度の高さ
  • 更新制度

ひとつずつみていきます。

受験資格取得の大変さ

ケアマネの資格は、年に1回行われる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、実務研修を修了して介護支援専門員証の交付を受けることで取得できます。

介護支援専門員実務研修受講試験の受験資格を得るには「保健医療福祉分野での国家資格(医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士など)を持ち、実務経験が5年以上(従事日数900日以上)」の要件を満たさなければなりません。

たとえば、未経験で介護の仕事を始めた場合、介護福祉士の国家試験を受けるためには3年以上の実務経験が必要です。

ケアマネ試験を受けるには、介護福祉士を取得してからさらに5年の実務経験が必要なため、未経験からケアマネをめざすには最短でも8年は必要です。

このように、ケアマネ試験を受けるまでの道のりの長さから、諦めてしまう方が多い現状があります。

試験の難易度の高さ

ケアマネ試験の合格率は10%から20%前後で推移しており、難関資格といえます。

過去5年の合格率の推移は以下の通りです。

受験者数合格者数数合格率
第25回(令和4年度)54,406人10,328人19.0%
第24回(令和3年度)54,290人12,662人23.3%
第23回(令和2年度)46,415人8,200人17.7%
第22回(令和1年度)41,049人8,018人19.5%
第21回(平成30年度)49,332人4,990人10.1%

ケアマネの試験を受ける人は、ほとんどの人が医療や介護の現場で働いており、不規則な勤務や夜勤をこなしながら勉強時間を確保しなくてはなりません。

また、試験問題は五肢複択方式で、複数の正解を答えられないと点数にならないことも、難易度が高く合格率が低い要因です。

参考)第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について(厚生労働省)

更新制度

ケアマネの資格は、取得してから5年毎に更新が必要です。

更新するためには多くの課題に取り組み、研修に参加しなくてはならず、課題と研修参加の時間を確保しなくてはなりません。加えて、研修費用もかかります。

職場によっては研修費用を負担してくれたり、研修も業務として参加させてくれたりしますが、費用は自分で負担し、研修には有給休暇を使って参加しなければならない職場も珍しくありません。

ケアマネの資格は、試験合格後の実務研修から5年ごとの更新研修と、研修参加の費用と時間の負担がついてまわります。

そのため、資格取得自体を躊躇する方や、せっかく資格を取得しても更新せずに資格を活用しない方が多い現状があります。

今後の将来性

ケアマネの需要は今後も増え続けていくでしょう。

現状でも人手不足であり、75歳以上の後期高齢者が5人に1人となる2025年問題に向けてさらに不足することが予測されています。

そのため、安定して長く働き続けられるように、ケアマネにも処遇改善加算を望む声が多く、厚生労働省で議論されるのではないかと期待が高まっています。

かつては、介護職員からケアマネへキャリアアップすることで、お給料がアップしたり日勤帯の勤務が多いためワーク・ライフ・バランスを実現できたりと、資格を取得するメリットが多くありました。

しかし、介護職員処遇改善加算により介護職員のお給料がアップしたことで、現状では介護福祉士とケアマネのお給料の差はあまりなくなってしまいました。

このような背景もあり、夜勤をやらないとお給料が下がってしまうケースもあり、苦労して資格を取得してもメリットがないと考える人が増加しつつあるのも事実です。

次の介護保険法の改正(2024年)で処遇改善加算によりケアマネのお給料が上がるわけではありませんが、将来的には処遇が改善し、安心して働き続けられる環境が整う可能性は十分に期待できます。

ケアマネへキャリアアップして高齢社会を支えていこう

ケアマネ キャリアアップ 高齢社会を支えていこう

本記事では、ケアマネ廃止の真相や廃止の可能性について、またケアマネの現状や将来性についても解説しました。

ケアマネは受験資格を得ることが大変であり試験も難易度も高いこと、また資格取得後も5年ごとに更新が必要なことがから担い手が不足している現状です。

しかし、受験資格が厳格化したり更新研修により学び続けたりしなくてはならないのは、それだけケアマネの仕事は専門性や高いスキルが必要であり、介護保険制度の中核を担う存在として期待されているからです。

現状ではケアマネの資格が廃止されることはありません。

ぜひケアマネへキャリアアップして、介護業界で活躍の場を広げ、高齢社会を支えていきましょう。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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