介護士として働いている方の中には「辞めたい」「つらい」と思っている方がいるのではないでしょうか?
つらい経験を乗り越え、今ではやりがいを持ちながら介護士として働かれている方のリアルな本音が聞けたら参考になりますよね。
介護士8年目となる、現役訪問介護士の「ミサキさん」にインタビューをしました!
【ミサキさんのプロフィール】
・高校卒業後にリハビリ系の大学へ進学、中退
・社会福祉士の通信大学へ入学、卒業
・特別養護老人ホームで介護士として3年勤務、ハードな勤務で退職
・ショートステイで1年勤務、精神的につらくなり退職
・勤務しながら実務者研修と介護福祉士取得
・派遣で特別養護老人ホームに3年勤務
・2023年4月~訪問介護士
介護士になったきっかけ
早速ですが介護の仕事についたきっかけを教えてください!
結構複雑なんです。
高校を卒業してから県外のリハビリ系の大学に進学したんですね。実習で上手くいかなかくて留年して、ここにいてもダメだと思って中退しました。
アルバイトをしてお金貯めながら地元に戻って。
両親から「大学途中まで行ったんだしもう一回進学したら?」と言われました。
隣の県で社会福祉士を目指す福祉の通信大学があり、働きながら学費も多くかからず、編入制度をつかって4年学ぶところを、2年になるため進学しました。
平日は工場で働きながら、土日に大学にレポート提出したり講義を受けたりして2年かけて卒業しました。
社会福祉士とは
病気や障がいなどで福祉サービスを必要とする人の相談を受け、医療機関と連携しながら、相談者の自立に向けてアドバイスや援助を行います。医療機関や行政、介護施設、学校などで活躍しています。
最初は社会福祉士の資格を活かして仕事をしようと思ったんですけど、社会福祉になるためには実習があって。
実習で自分が頭でっかちなことに気づいて、知識はあっても現場が分からないので「現場でその人のことを知ろう」と思ったのが介護士になったきっかけです。
実際介護の仕事をしてみて、大変だったんですけど、仕事をするうちにやりがいを感じて。自分は介護の仕事でご飯を食べていこうと思ってます。社会福祉士の知識も役にたって、介護の仕事を選んでよかったと思っています。
多くの経験をされて介護士になったミサキさん。目標を持って行動する力がすごいと思いました。
介護士になろうと思ってなったわけではなく「現場を知ろう」と思って就かれ8年目。そしてやりがいも感じ今後も続けられるとのことなので、ミサキさんに介護職はピッタリだと感じます。
どのようなきっかけであっても、働いてみないと自分に合う・合わないは分からないですね。
特別養護老人ホームで勤務
特別養護老人ホームで勤務したきっかけを教えてください!
ハローワークで紹介されたからです。
他にもいろいろあったんですけど、一人暮らしをする目標があったので、経済的な面を考えて選びました。特養だったら夜勤をすれば一人暮らし出来るかなという額面だったので。
特別養護老人ホーム(特養)とは
常に介護を必要としている方が入居しており、生活すべての支援をする施設です。仕事内容は食事、着替え、入浴、排泄などの身の回りの世話、健康管理もします。
実際働いてみていかがでしたか?
大変なことも楽しいこともいっぱいありました。今となっては楽しい思い出のほうがいっぱいありますね。入居者のすごいインパクトがありました。
入居者のインパクトとは?
夜間歌いながら歩き回る方がいて…。家族にもインパクトを受けました。
人手不足で遅番を22時までしてから、早番6時からがありました。
16時間の夜勤が月に6回もあって。20代だからできたと思いますけど、大変でした。
それは大変でしたね。人間関係は良かったのですか?
同世代の職員がいて良いことも悪いことも言える環境で楽しかった記憶です。人間関係は良かったです。
でもここにいても自分が体壊すなと思って、辞めるまでに1年かかりました。退職届を2回出しても引き延ばされて、3回目でやっと受理されました。3回目も受理されなかったら退職代行を使おうと思いました。
特養は夜勤が必須であり、施設によってシフトが異なります。ミサキさんが勤務されていた特養では、2交代(16時間夜勤)と早番・遅番がありました。
しかし不規則な勤務に加え人手不足だと、一人の職員にかかる負担が大きくなり、なかなか体が休まらないので大変です。自分の体調をみながら続けられるのか・辞めたほうがよいのか判断が大切です。
ショートステイへ転職
ショートステイへ転職していかがでしたか?
人間関係がつらかったです。
精神的に嫌になって、人格を否定されたこともあって。
一時期ご飯の食べ方が分からない時があって。このままじゃダメだと思って1年で辞めました。
人間関係がつらいと働き続けるのは難しいです。介護士の離職理由のトップは人間関係であり、人間関係に悩んでいる方は多くいます。
人間関係の悩みをどうにかしたいとは思いますが、職場の人を変えることはできません。離職して新たなスタートを切るのが悩みから解放される方法です。
介護士の活躍できる場はたくさんあり、人間関係がつらいなら他の場所で働けるのが大きなメリットです。
ショートステイとは
在宅介護されている方の負担軽減や介護ができない状態のときに、介護者が一時的に入所できる施設です。日常生活全般の支援を行います。
働きながら実務者研修・介護福祉士の資格を取得
どん底にいる時に実務者研修を受けて介護福祉士の資格を取ったのですが、よく取れたなと思います。
確かに!大変な時ですよね。
当時は「別のことに集中してれば気がまぎれるんじゃないか」と思ったから取ったんだと思います。
その時とった資格が今活かされてますよね。
資格持ってると働き先が選び放題だし、条件も出せるし、取って良かったなと思いますね。
実務者研修とは
高度な介護のスキル・技術を学ぶ研修です。専門のスクールで学び、受講費用はおおよそ8万~15万円かかります。資格取得までに約6ヶ月かかります。
介護福祉士とは
介護の資格の中で唯一の国家資格です。介護のスペシャリストであり、利用者さんや職場からの信頼を得られます。介護福祉士は就職・転職で有利になり、給料アップやキャリアアップにも繋がります。
給付金制度を活用
お金の面をどうしようかなと考えたのですが、ハローワークの給付金制度を活用してそんなに負担はかかりませんでした。
資格取得にはお金がかかりますが、給付金制度により受講しやすい環境になっています。また、ミサキさんが住まれてる市町村には給付金の独自制度もあったようです。
資格のスクールはどのように見つけたのですか?
ネットで給付金が適応される養成学校を調べました。
お金がかかる資格取得ですが、給付金制度があるのは嬉しいですよね。資格取得を考えている方は、ハローワークやお住まいの市区町村の制度を確認しましょう。
資格を取得
資格取得は大変ではなかったですか?
社会福祉士の知識があったのと、特養で働いていたこともあって、覚えるのは苦ではなかったです。課題を出すのが大変でした。
どのような課題だったのですか?
マークシートで問題を解く宿題みたいな感じでした。提出期限が決まっています。
働きながら通信大学に通っていたので、働きながら資格を取ることは大変ではなかったです。
実務者研修と介護福祉士は、業務が資格勉強に直結するので、働きながらでも取得しやすいといえます。
介護職未経験の方や就職して間もない方は、基礎的な介護の知識・スキルが学べる初任者研修を取得してから実務者研修を取得していることが多いです。
派遣で特別養護老人ホームで勤務
ショートステイを辞めてから派遣会社に登録して、地域の特養で3年勤務しました。
派遣で働き始めて、心や体調のほうはよくなっていきましたか?
そうですね。少しずつ。治るのに3年もかかりました。派遣だったので、会議や書類作成もしなくてよかったので幾分か楽にはなりましたね。
介護士の派遣とは
派遣会社に雇用され、定められた期間だけ派遣先の施設で勤務します。正社員ではないためイベントや記録に関わることが少なく、残業が多くありません。もし残業が発生した場合は、その分時給が支払われます。ライフスタイルに合わせて働きやすいメリットがあります。
訪問介護で勤務
訪問介護へ転職しようと思ったきっかけは何ですか?
きっかけは2つあって、1つ目は派遣のルールで同じ施設は3年までしかいれないので、それをきっかけに転職しようと思いました。
2つ目は一人ひとりに向き合いたいという思いが強くなったからです。施設だとどうしても時間が優先で職員の都合で動いちゃうんですね。じっくり時間とってできる仕事がしたいなと思いました。
訪問介護とは
介護を必要とする高齢者や障がい者の家へ訪問し、生活支援や身体介助をするサービスです。調理や掃除、買い物、食事や更衣の介助、清潔介助などさまざまなサービスを提供します。訪問介護士として働くためには初任者研修、または実務者研修の資格が必須です。
長距離運転が大変
訪問介護で働かれていかがですか?
まず車の移動が大変ですね。1日60キロくらい、土日だと職員が少ないので100キロ以上走ります。
インタビュワーは100キロの移動と聞いて衝撃をうけました!
ミサキさんが勤務されている事業所は、いくつもの市をまたいで訪問されているので走行距離が長くなります。
また、雪が降る地域のため、雪道の運転には注意しなければなりません。「安全第一で事故を起こさないように」と社長に言われているとのことです。
直行・直帰で働きやすい
車の移動は大変ですが、直行・直帰なので働きやすいです。
記録はスマホやタブレットで入力できます。事業所に行ったのは数回しかないです。
直行・直帰とは
自宅から直接訪問する家に行き、訪問が終了したら自宅に直接帰ること。事業所への往復をしなくてよいの、時間が有効活用できるメリットがあります。
※事業所によって直行・直帰ができるかは異なります。
日中以外も対応
日中以外も対応しているのですか?
はい。自分は18時からも訪問しています。
6時から訪問している人や、夜勤をしている人もいます。
夜勤は障害のある方の家に介護士が寝泊まりで夜勤しています。布団は持っていきます。
訪問介護は事業所によって日中のみ、朝・夜の勤務、土日祝勤務か異なります。
訪問介護で気をつけていること
利用者さんは高齢者だけでなく障がいのある方もいます。
小児や自分と歳が変わらない方もいますので、一人ひとりに合った言葉がけを気をつけています。
どのように言葉がけを気をつけているのですか?
施設だと毎日対応しているので慣れ慣れしい言葉になりがちで。訪問だと、言葉ひとつで利用者さんや家族がよい思いをしないこともあります。
信頼関係を築けないとケアができないので、まずはそこからだと思っています。
施設は介護士が中心の業務になりますが、訪問介護は利用者さん中心のサービスです。利用者さんの居場所である家にあがるので、信頼関係が築けないとケアができないことがあります。信頼関係を築くことでよりよいケアが提供できます。
介護の仕事のやりがい
介護の仕事のやりがいを教えてください!
その人ができなかったことが、できるようになるときですね。
全介助の人がコップでストローを使って飲めたり、朝起きれなかった人が起きれるようになったり。些細なことかもしれないけど、やりがいを感じます。
しっかり見られているのですね。気配りができる優しさを感じます。
特養で急変を経験したことがあるので、先が長いわけではなくいつかお別れすると思ったら、毎日の関わりを大切にしています。
介護職は人の最期に関わる職種です。訪問介護では「あの日の支援が最後に見れた顔だった」となることも。だからこそ日々の利用者さんとのやり取りが貴重になります。
介護職の方・これから介護職を目指す方へ
最後に伝えたいことをお願いします!
介護の仕事が辛くなったら逃げても離れてもよいです。転職先はあるので。自分がいっぱいいっぱいになった状態だと、虐待に繋がるかもしれないので、まずは自分をいたわるのが大事です。
自分をいたわるにはこまめに休むのが大事で、まとめて休まないことですね。
ありがとうございます!
ストレスは蓄積されるものですから、こまめな休息が大切ですね。自分のケアができてこそ利用者さんにも親切になり、より良いケアが提供できると思います。
ミサキさんは訪問介護士として働きながらライターとしても活躍中です。
興味がある方はこちらを覗いてくださいね☆
→ミサキさんのプロフィール