認知症は高齢者に多く発症する病気です。
しかし、初期症状があるにもかかわらず、周りの人でも気付きにくい場合があります。
そこで今回は、認知症の初期症状を見逃さないためのチェックリストを紹介します。
「最近利用者さんの様子がおかしい」「これって認知症の症状?」と心配になった場合は、本記事で紹介するチェックリストを参考にしてください。
認知症の初期症状とは?
認知症の初期症状には記憶障害、言語障害、判断力の低下、注意力の低下などが挙げられます。
初期症状は本人や家族が気づかずに放置してしまうことがあるため、早期発見・治療が重要です。
なお、利用者さんに初期症状がみられたからといって、必ずしも認知症を患っているわけではありません。
ただし、これらの症状が日常生活に支障をきたしている場合や、症状が一過性ではなく持続する場合は認知症の可能性があるため、早期発見・治療に取り組む必要があります。
急に態度が変わった、急に気性が荒くなった(怒りっぽくなった)といった場合は、認知症の初期症状の可能性があるため注意しましょう。
介護職が注意すべき認知症の初期症状は以下の通りです。
- 記憶障害
- 言語障害
- 判断力の低下
- 注意力の低下
それぞれ順に説明します。
記憶障害
初期症状に記憶力が低下がみられます。
同じ話を何度も繰り返す、人の名前や顔を忘れる、予定を忘れるなどの症状があります。
言語障害
言葉を理解することや話すことに困難が生じることがあります。
言葉の意味を理解できない、文章を理解することが難しい、言葉を発することが難しいなどの症状が挙げられます。
判断力の低下
物事の判断力が低下し、適切な行動ができないことがあります。
寒い日に薄着で外出する、危険な行動をとるなどの症状が挙げられます。
注意力の低下
注意力が低下し、集中力が続かないことがあります。
長時間のテレビ観賞や読書ができない、物事に集中できない、細かい作業が苦手になるなどの症状が挙げられます。
「認知症かな?」と思ったときに介護職が取るべき行動
認知症を早期に発見し、早期治療につなげるために大切なのはコミュニケーションです。
また、適切なコミュニケーションの仕方や日常生活の見守り、病院との連携など総合的なサポートが求められます。
認知症の初期症状は、放置してしまうと症状が悪化することがあります。
そのため、介護職は日常生活における変化や異変に目を配り、症状が悪化しないよう適切な支援を行いましょう。
介護職が認知症の初期症状に対応する際には、以下のようなことに注意することが重要です。
適切なコミュニケーション
本人が話をしている際には、落ち着いてじっくりと聞くことが必要です。
また、適切なタイミングで質問を投げかけ、利用者さんが感心のある話題を振ることも大切です。
日常生活の見守り
日常生活において、食事や排泄などの自立支援に加え、生活リズムの維持や安全に過ごせるような環境整備を行う必要があります。
また、外出時や移動時は転倒予防のため、適切な移動支援も行うことが重要です。
病院と連携してケアを行う
認知症の初期症状が見られた場合は、専門医の診察を受けることが重要です。
介護職は適切なタイミングで病院の受診を提案し、病院との連携を図ることが必要です。
認知症の初期症状を見逃さないためには?
認知症の初期症状を見逃さないためには、利用者さんが家族や周りの人とコミュニケーションを取る際に注意深く観察することが大切です。
また、記憶力の変化や注意力の低下にも注目することが必要です。
同じ話を何度も繰り返したり、予定を忘れてしまったり、家の鍵を紛失したりすることがある場合、認知症の初期症状の可能性があります。
認知症の初期症状サインを見逃さないためのチェックリスト
認知症の初期症状を見逃さないために、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
ただし、認知症の初期症状には個人差が大きいため、チェックリストのみで判断するのは避け「認知症かも?」と疑った場合には早めに診断を受けることが大切です。
チェック事項1:記憶力が低下しているか
物事の名前や場所を忘れやすい、繰り返し同じ話をする、物事を書き留めることが多くなったなどの症状が見られる場合は、認知症の初期症状の可能性があります。
記憶力の低下は認知症を疑うサインのひとつです。
毎日ケアしている利用者さんに記憶の低下を疑うような症状が出た場合は、他の職員やチームに情報を共有するなど適切な対応を取りましょう。
チェック事項2: 判断力が低下しているか
判断力が低下し適切な判断ができない、金銭面での問題が生じるなどの症状が見られる場合は、認知症の初期症状の可能性があります。
判断力だけではなく、単純な計算ややるべきことの管理などが苦手になることがあります。
やることややるべきことが分からなくなっている場合は、認知症を疑いましょう。
チェック事項3:話すことに困難が生じているか
認知症の方は言葉を理解することや、話すことに困難が生じることがあります。
言葉能力の低下は認知症の代表的な症状です。
相手の言っていることが理解できない、会話が噛み合わない、言葉を発することが難しい、言葉が出ないなどの症状が見られる場合は認知症の初期症状の可能性があります。
チェック事項4: 空間認知力が低下しているか
空間の認識が低下し迷子になりやすくなる、方向音痴になる、自宅がどこにあるかわからないといった症状が見られる場合は認知症の初期症状の可能性があります。
認知症になると空間認知能力が低下しやすくなります。
距離感がつかめなくなりコップや食器を落としてしまう、ものにぶつかるようになる、手すりに掴まれずにふらつくなど、空間認知の低下が認められた場合は認知症の初期症状の可能性があります。
認知症の初期症状に関する注意点
本記事で紹介した症状が日常生活に支障をきたしている場合や、症状が一過性ではなく持続する場合は認知症の可能性があるため、早めに病院を受診し治療に取り組む必要があります。
また、家族や介護職員・医療関係者など周りの人に相談することも大切です。
ただし、上記のようなチェックリストはあくまでも一般的なものであり、認知症の初期症状は人によって異なる場合があります。
また、自己診断や診断書類なしに、自己判断で認知症の可能性を診断することは避けましょう。
正確な診断を受けるためには、専門医の診察が必要です。
認知症の初期症状を見逃さない介護職になりましょう
認知症の初期症状と一般的な老化現象は非常ににているため、介護職だけで認知症を断定することはできません。
しかし、利用者さんと毎日接している介護職だからこそ分かることもたくさんあります。
認知症の初期症状を見逃さないために、ご家族や周りの人とのコミュニケーションを欠かさずに行いましょう。
定期的にコミュニケーションを取り、日常生活において異変がないかを確認することが必要です。
また、一人暮らしの高齢者の場合は周りの人と協力して、日常生活のサポートや見守りを行うことが重要です。