最近デイサービスで生活相談員として働き始めた人の中には、モニタリングを書いたことがないという人もいるでしょう。
特養などの介護施設では介護職員がモニタリングを作成することもありますが、デイサービスの場合だと生活相談員が作成することが多いです。
介護現場で経験がある人ならすぐに作成することもできますが、新卒や他業種から転職した人だと難しいでしょう。
「どのように作成すると良いか」「例文があると良い」という思いを持っている人へ、モニタリングを作成する理由や、コツについて紹介していきます。
「モニタリング」とはサービス内容を評価する作業
モニタリングとは、実際に提供しているケアの内容に対し、計画と照らし合わせて評価していく作業です。
具体的には、下3つの内容を評価します。
- 計画通りにサービスが提供されているか
- 課題が解決しているか
- 利用者や家族は提供されたサービスに満足しているか
なぜモニタリングを行うことが必要かというと「ケアプランや介護計画書とのズレがないか確認する」ためです。
ケアプランとは、介護支援専門員(以下ケアマネ)がサービス利用者の心身状況や生活状況を把握して作成する介護サービス計画のことです。
一方、介護計画書とは、利用希望者に最適な介護サービスを提供する為の計画書であり、介護スタッフがケアを行う上での指針となるものです。
新規利用開始から何日も経過すると、介護計画書通りにケアをしていても利用者の心身状態や環境の変化が影響して十分な成果や満足感が得られなくなるケースが多いです。
大きなズレがある場合は、デイサービスや他介護事業所を含めて担当者会議を開き、大幅なケアプラン変更を行う必要があります。
しかし、プラン変更はケアマネだけでなく、他介護事業所にとっても負担が大きくなります。
だからこそ、最初の頃に比べてズレがないか確認し、都度修正していくモニタリング作業が大切なのです。
加えて「利用者の状況を把握するため」という目的もあります。
生活相談員は相談業務だけでなく、現場のヘルプや送迎など多岐に渡ります。
業務で忙しいと利用者の状況を把握する機会が少ないでしょう。
モニタリングを行うことで、ケアプランや介護計画書の「ズレ」に気付くことができます。
そしてズレの原因を把握する中で、自然と下記の点を確認することにも繋がります。
- なぜズレが生じているのか
- 利用者やその家族のニーズが変化したからか
- 利用者やその家族の心身状態に変化がないか
モニタリングは再アセスメントを行う「きっかけ」にもなり、利用者に新たなニーズが生じていないかを把握する機会にもなります。
モニタリングは「いつ」行うか
モニタリングは、月末に行うことが多いです。
月の下旬頃になると、ケアマネから次月の提供票と共にモニタリング表が送られてきます。
生活相談員は月末になると、現在月の提供票と実際の利用が合っているかを確認し、必要に応じて提供票に加筆修正します。
また、モニタリングに利用者の状況を記入し、ケアプラン変更の有無についても報告します。
提供票とモニタリングを次月の上旬までにケアマネに送るという作業があるので、月末月初はとても忙しいのです。
モニタリングは「どの様に」作成するとよいか
生活相談員になったばかりの人にとって、モニタリングをどのように作成したら良いか分からないという人もいるでしょう。
モニタリングを作成するポイントは3つあります。
- デイサービスでは何を求められているのかを把握する
- 日々のケース記録を確認する
- 要点をまとめて作成する
下記にて詳しく説明していきます。
デイサービスでは何を求められているのかを把握する
1つめは「ケアプランの中で、デイサービスでは何を求められているのかを把握する」ことです。
ケアプランには、下記の内容が記載されております。
- 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
- 目標
- 援助内容
援助内容には、どんな介護サービスをどの介護事業所に依頼するかが記載されています。
日々のケース記録を確認する
2つめは「日々のケース記録を確認する」ことです。
ケース記録とは、介護職員が日々作成する、利用者の記録です。
ケース記録を読むことで、利用者の状態を把握するだけでなく、職員がどのように対応したかについても把握できます。
ですが、ケース記録だけでは状況を把握できないこともあります。
文章として記載されたことと、実際に職員が見聞きしたことでは異なる場合があるからです。
要点をまとめて作成する
3つめは「要点をまとめて作成する」ことです。
利用者の状況を詳しく説明しようと、長々と書こうとする人もいるでしょう。
しかし、長文だと要点が分からず、読み手は意図が分からなくなってしまうことが多いです。
モニタリングの特記事項を作成するときは、要点をまとめた文章を作ることを心がけましょう。
ポイントは2つあります。
1つは「結論を述べた後、理由を説明する」ことです。
理由を先に説明すると、読み手は「この文章の結論はどこなのか」と疑問を持ちながら読むことになり、苦痛と感じることが多いです。
先に結論を述べることで読み手は文章のゴールが把握しやすくなります。
2つめは「5W1H」の手法を用いることです。
5W1Hとは、下記の意味を持ちます。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
デイサービス利用中、利用者が転倒したという場面を例にあげます。
5W1Hに当てはめて文章を作成すると「○月□日(いつ)、デイサービス内の浴室で(どこで)○○さんが(誰が)浴室から上がろうとしたときに滑ってしまい(なぜ)、尻餅をついて(どのように)転倒しました。(何を)」と作ることができます。
状況報告の後、介護職員や看護師はどのように対応したかといった「職員の対応」も入れておきましょう。
状況報告だけだと「職員は何もしなかったのか」と思われてしまうことがあります。
モニタリングの例文は、前月を参考にする
ここまで、モニタリング作成方法のポイントについてお伝えしてきましたが「モニタリングの書き方が分からないから、例文が欲しい」という人もいるでしょう。
例文は、前月のモニタリングを参考にしましょう。
モニタリングは、利用者の状況を把握する機会の1つとして捉える
モニタリングを作成する目的として「利用者の状況把握」「デイサービスで提供している介護サービスがケアプランや介護計画書とズレていないかの確認」があります。
日々のケース記録を確認し、必要に応じて介護職員に聞き取りを行うことで、より具体的な情報を得られます。
また、情報をもとに、要点をまとめて作成することをおすすめします。
長文で作成しても、読み手に伝わらないことがあるからです。
生活相談員は日々の業務をこなすのに精一杯で、利用者とじっくり関われる機会が少ないです。
だからこそ、モニタリングを通じて利用者に変化がないか、ニーズがないかといったことに気づくことができます。
ぜひ「利用者を知る機会」として、モニタリングを活用するという気持ちで取り組んでみてください。