施設でケアマネをしている人の中には「フリーランスとして自由に働きたい」と考える人もいるでしょう。
介護施設等では、ケアマネ業務だけでなく、送迎や現場の介護業務のヘルプとして出ることもあります。
また「稼働率を上げるために、うちの施設を優先的に紹介しろ」と上層部から言われることもあり、憂鬱とした気持ちから「フリーランスとして働きたい」と思うようになります。
ですが「フリーランスとして働きたいけれど、上手くやっていけるか不安だ」と思うことが多いでしょう。
そこで、フリーランスになったときのメリットやデメリット、またケアマネがフリーランスとして働くにはどうすれば良いのか、方法などをお伝えしていきます。
フリーランスとして働くメリット
ケアマネがフリーランスとして働くメリットは、次の2つがあります。
- 自分のペースで働ける
- その人にあったケアプランを立案できる
それぞれどのようなメリットなのか、下記にて説明していきます。
自分のペースで働ける
1つは「自分のペースで働ける」ことです。
利用者さんやご家族の都合だけでなく、自分の予定に合わせて働くことができるので、施設等に勤務している頃に比べて精神的なストレスが軽減されます。
一人ひとりにあったケアプランを立案できる
もう1つは「一人ひとりにあったケアプランを立案できる」ことです。
施設ケアマネの場合、稼働率を上げるために法人の施設を優先的に紹介しがちです。
利用者さんにあったケアプランを作成することができます。
フリーランスとして働くデメリット
上記にて、メリットについてお伝えしてきました。
では、デメリットはどのようなものがあるでしょうか。
ケアマネがフリーランスとして働くデメリットとして、下記の3つがあります。
- 収入が不安定
- 介護分野以外の事務手続きが増える
- 利用者さんから相手にされない可能性がある
下記にて具体的に説明していきます。
収入が不安定
1つめは「収入が不安定」なことです。
施設勤務時代は雇用契約に基づき、基本給以上の収入が確保されていました。
しかしフリーランスになると、その収入が途絶えてしまいます。
利用者さんを確保する為の営業を1人で行わなければなりません。
順調に利用者さんが増えれば良いのですが、利用者さんが少ないと収入が確保できず、経済的に厳しい生活を送ることになります。
介護分野以外の事務手続きが増える
2つめは「介護分野以外の事務手続きが増える」ことです。
フリーランスになると、下記の手続きや支払いを自分でしなければなりません。
- 確定申告
- 所得税や住民税
- 年金保険料(国民年金に変更)
- 健康保険料(国民健康保険に変更)
国民年金や国民健康保険の場合、退職日から14日以内に手続きをしなければいけないというルールがあります。
可能であれば、国民年金や国民健康保険の加入手続きに必要な書類などを退職日にもらえるよう、事前に会社に頼んでおきましょう。退職当日にもらえれば、すぐ手続きを行うことができます。
利用者さんから相手にされない可能性がある
3つめは「利用者さんから相手にされない可能性がある」ことです。
これはケアマネがフリーランスになったときに、起こりうる問題です。
特に地方の場合「フリーランス」という働き方自体、認知度が低いです。
営業に行っても「どこの施設にも所属していないケアマネなんて、信用できない」と利用者さんや家族、地域包括支援センター等から言われ、相手にされないことがあるかもしれません。
ケアマネでフリーランスとして働くには、どうすれば良いか
メリットとデメリットを知った上で、ケアマネでフリーランスとして働くには、どうすれば良いでしょう。
方法として、下記の4つがあります。
- 自分の強みを把握する
- 活動するエリアを決める
- 資金を確保する
- 副業から始める
それぞれどのような方法なのか、下記にて説明していきます。
自分の強みを把握する
1つめは「自分の強みを把握する」ことです。
「ケアマネとして、自分はどんな強みがあるか」を明確にしましょう。
訪問介護といった在宅介護でケアマネをしているのであれば「在宅支援に携わってきたので、その経験を活かしたケアマネジメントができる」という強みがあります。
特養などの施設ケアマネであれば「経管栄養や胃ろう、重度の認知症など、介護度が重い方々のケアマネジメントができる」といった長所をアピールすることができます。
まずは「自分の売りは何なのか」をはっきりとさせておきましょう。
活動するエリアを決める
2つめは「活動するエリアを決める」ことです。
「○○市は自分の地元で、地域住民とも顔なじみ。営業しやすい」と、ある程度活動範囲を定めておきましょう。
活動するエリアを決めることは「営業しやすい」こと以外にも「潜在ニーズを把握しやすい」というメリットがあります。
例えばAさん宅を訪問したときに、近所のBさんが最近身体の調子が悪く、生活が厳しい状況であると知ったとします。ケアマネがそのまま地域包括支援センターに連絡することで、その人の支援にいち早く入ることができるのです。
フリーランスのケアマネは、施設勤務にはないフットワークの軽さが大きな特徴です。
活動エリアを限定することで潜在ニーズを把握しやすくなり、利用者さんの獲得に繋がるのです。
資金を確保する
3つめは「資金を確保する」ことです。
ケアマネに限らず、フリーランスというのは収入が不安定です。
加えて、税金は会社員時代の年収をもとに納めなければいけないので、出費が多くなります。
フリーランスになる前に、ある程度の資金(開業資金)は確保しておきましょう。
ひと口に「開業資金」といっても、下記の2種類があります。
- 設備資金:事業を行う上で必要な設備投資
- 運転資金:事業を運営していくにあたり必要な月々の支払い
フリーランス直後はそれほど売上がないと予想されます。
加えて、自分自身の生活費も用意する必要があります。
なので、開業資金に必要な金額は、下記になります。
- 開業資金=設備資金+(運転資金×6ヶ月)+生活費3ヶ月
上記の式だけだと、どの位用意すれば良いのか分からないという人もいるでしょう。
その場合は、今働いている職場の額面込みの年収分を目安にすると良いです。
副業から始める
4つめは「副業から始める」ことです。
「いきなりフリーランスになるのは不安」と感じる人も多いでしょう。
まずは「副業」という形で、ハイブリットフリーランスとして始めることをおすすめします。
フリーランスのケアマネを副業から始めるメリットは以下の3つがあります。
- 本業の収入を確保しているので、安心して始めることができる
- 副業の収入が20万円以上になると確定申告をする必要がある。確定申告のやり方を知っておくことで、フリーランスになったときにスムーズに手続きができる
- 自分で仕事を取る方法を学ぶことができる
副業から始める場合、パソコンがあればクラウドワークスやランサーズ、ココナラなどで「介護」「福祉」に関する仕事依頼を請け負うことができます。
フリーランスになって、より良く、自由な支援をしよう。
この記事では、ケアマネがフリーランスで働くことについてお伝えしてきました。
メリットとしては「自分のペースで働ける」「その人に合ったケアプランを提案できる」というのがあります。
一方デメリットとしては「収入が不安定」「確定申告など介護分野以外の事務手続きがある」「利用者から相手にされない可能性がある」というのを挙げました。
ケアマネがフリーランスとして働くには、まず名刺代わりになる自分の強みを明確にすることです。
その上で、自分が有利に動けるエリアを決めましょう。
また収入が不安定になることを想定し、自分の年収分の資金は確保しておくのが良いです。
いきなりフリーランスになるのが不安という人は、まずは副業から始めることをおすすめします。
「もっと自由に働きたい」という方は、是非フリーランスで働くことも視野に入れてみてください。