今回は、「重度訪問介護」の現場で活躍する、「株式会社土屋」の中国ブロックエリアマネージャー、「大元克也」さんにお話を伺いたいと思います!
参考)株式会社土屋
大元さんは柔らかく穏やかな印象なのですが、介護に対して芯のある強い思いを持ってらっしゃいます。
そんな大元さんのインタビューをぜひ最後までご覧ください!
本日はどうぞよろしくお願いいたします!
このようなお時間をいただきありがとうございます!
どうぞよろしくお願いいたします。
大元さんが介護士になったきっかけ
早速ですが介護の仕事についたきっかけを教えてください!
昔から介護の仕事をやりたいって思っていたのですか?
正直なところ学生時代は特に目指しているものはありませんでした。笑
ずっと介護業界で働きたいと思っていたわけではないんです。
そうなんですね!?
なにか介護に興味を持つきっかけみたいなことはあったのですか?
学生時代に先生から「大元くんは福祉系が向いているんじゃない?」って言われたことがありまして。
そのタイミングで、「ここに見学いってみたら?」ってあるパンフレットをもらったんですよ。
ほうほう!
それはなんだかいい話っぽいですね笑
いやいや!そんないい話でもないですよ笑
でも、見学に行った施設でたまたま「医療的ケア児」のクリスマス会みたいなのが開催されていて。
そこで初めて「医療的ケア児」や「福祉」というものに関わりました。
なるほど!
その時にどう感じました?
「自分には無理だ」とかはなかったですか?
その時は純粋に楽しかったです。
学生だったということもあると思うのですが、それでも「医療的ケア」が必要な子どもたちと過ごす時間が、自分には楽しく感じたんです。
この経験や体験が自分の中でとても印象的に残っていて、それで「介護」や「福祉」に関わる仕事もいいなって考えるようになったという感じですね。
めちゃくちゃ素敵な理由があるじゃないですか!
ではこの後は「介護の世界に足を踏み入れるまでのストーリー」をお聞きしていきたいと思います!
医療的ケア児とは?
大元さんのインタビューの前に、よりインタビュー内容をわかりやすくするために、「医療的ケア児」や「医療的ケア」について解説します。
※もう知ってるよ!という方は読み飛ばしてください。
画像引用元)厚生労働省
医療的ケア児とは、特定の医療行為やケアが必要な18歳未満の子どもたちのことを指します。
具体的には、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要になる児童のことをいいます。
厳密な定義は法律によって異なりますが、児童福祉法では、「人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児」とされており、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)では、「日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが不可欠である児童(18歳以上の高校生等を含む。)」とされています。
医療的ケアとは?
医療的ケアには以下のようなものが含まれます。
- 人工呼吸器による呼吸管理
- 気管切開の管理
- 鼻咽頭エアウェイの管理
- 酸素療法
- ネブライザーの管理
- 経管栄養
- 中心静脈カテーテルの管理
- 皮下注射
- 血糖測定
- 継続的な透析
- 導尿
- など
医療的ケア児に対して適切なケアを行うためには、専門的な知識やスキルが必要だということですね。
医療的ケア児が増加している理由は医療技術の進歩
日本の出生率は年々低下しており、生まれてくる赤ちゃんの数は減り続けています。
しかし、その一方で、医療的ケア児の数は年々増加しており、10年で2倍以上になっています。
医療的ケア児が増加している理由としては、日本の新生児医療技術の向上が挙げられています。
医療技術は日々著しく進歩・向上しているため、「救うことができる命」が増えているという事実があります。
出生時に疾患や障害をもつ新生児は多く、生まれてすぐに命を落としてしまう赤ちゃんも少なくありません。
しかし、医療技術の進歩によって、今までだったら救えなかった命を救えるようになっているのです。
しかし、その医療処置の結果として、生きるために医療的デバイス(人工呼吸器など)を必要とする医療的ケア児が増加しています。
これが医療的ケア児と医療的ケア児を取り巻く環境の概要です。
別業界から介護の世界に転職したきっかけとは?
では次に、「介護の世界に足を踏み入れるまでのストーリー」を聞いていきたいと思います。
社会人になっていきなり介護の世界に入ったんですか?
いえ、実は社会人になって全く別の業界に入りました。
でも、自分の中では、漠然と「介護の仕事ができたらな」という感覚はありました。
だからこそ、全く別の仕事をしながらではありますが、「特養」だとか「グループホーム」だとか、いろいろな介護の仕事を探していました。
そんな時にたまたま「重度訪問介護」という仕事を見つけたという感じです。
なるほど!
今では株式会社土屋のエリアマネージャーとして、バリバリの重度訪問介護をやってらっしゃる大元さんですが、最初から「重度訪問介護」の仕事を探していたって感じではなかったのですね!
実はそうなんですよ笑
最初は「特養」とかを探してました。
重度訪問介護に出会ったのは本当に「たまたま」ですね。
特別養護老人ホーム(特養)とは
常に介護を必要としている方が入居しており、生活すべての支援をする施設です。仕事内容は食事、着替え、入浴、排泄などの身の回りの世話、健康管理もします。
高齢介護と障害介護のケアの違いとは?
実際に「重度訪問介護」の働いてみていかがでしたか?
医療的ケア児のことを知っていたとはいえ最初は戸惑いました。
介護といえばいわゆる「高齢介護」のイメージがあったので、「障害介護」の分野というのは、自分自身が持つ「介護職」のイメージとはかけ離れていました。
最初はのクライアント(利用者さん)はALSの方だったのですが、その方は奥さんもいてお子さんもいて、僕と同じような生活環境だったんですよ。
自分が想像していた、多くの方がイメージしているような「認知症」だとか、「グループホーム」みたいな、そんな「介護現場」では全く無かったんですね。
当時は本当にいろいろ感じるものがありました。
そうだったのですね。
具体的に「何を感じたのか」を覚えてますか?。
「これは人として成長できる仕事だな」と感じました。
ほうほう!
というと?
介護のスキルだとか、医療的ケアの技術的な部分だけではなく、「クライアントのニーズに答えていく」とか、「小さな変化を感じ取るとか」、サービスの質の部分で、自分が人として成長できる環境だと感じました。
これはマネージャーになった今でも感じています。
この部分が自分にとってのやりがいになっています。
大元さんのお話を伺っているだけでも、介護のイメージが変わりますね。
それだけ大元さんが経験してきたことに「深み」があるんでしょうね。
お言葉に力があります。
いえいえとんでもない!
恐縮です笑
ALSとは?
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
難病情報センター
ALSの発症によって、徐々に全身に力が入らなくなっていきます。
その結果、呼吸や消化など、生命維持に必要な力も失われてしまうため、人工呼吸器などの医療技術によるサポートが必須となります。
大元さんも行っている重度訪問介護では、人工呼吸器を装着した状態でも住み慣れた自宅で生活できるように、24時間体制でサポートします。
スタッフ個人の要望によって、「夜勤の有無」や「勤務時間の確保」、「副業可能」など、働き方に自由度が大きいことも株式会社土屋の魅力です。
介護の仕事が嫌になる時や辛い時に乗り越えるコツ
大元さんでも介護の仕事が嫌になる時とか、辛い時ってありますか?
もちろんあります。
クライアントに開口怒鳴られる時もありますし…。
とはいえ、クライアントにも「想い」があって言っているわけで、自分の感情が制御できなくなる時ってあると思うんですよ。
そんな時は、「なんでこの感情になったんだろう」って考えるようにしています。
そこにはきっと何か理由があるはずだから、その理由を見つけることも、自分の大切な仕事だと考えています。
後になってから(落ち着いてから)でもいいんですけど、「感情を分析する」ということを意識しています。
いやぁ…。本当にすごいですね。
大元さんの仕事に対する姿勢に圧倒されています。
いいように言っているだけですよ笑
辛いというか、大変だと感じることはもちろんあります!
介護現場のエリアマネージャーが今後やりたいこととは?
今後の展望とか、やりたいこととかってありますか?
まずは、今担当しているエリア(広島・山口)でサービスを受けてくださっているクライアントの皆様が安心してサービスを受けていただけるように、みんなで話し合いながら仕事をしていきたいと思っています。
そのためには、スタッフの働きやすさだとか、働く環境の部分ですね、そういったところの課題解決ができるように、しっかりと考えていきたいと思っています。
そして、個人的には、医療的ケア児に対する貢献ができたらなと。
「お子さんたちの未来のために」みたいなことを考えていきたいと思っています。
感動しました。
私も何か少しでもお力になれるように頑張りたいって思いました。
介護の世界に入る方にメッセージ
株式会社土屋では、重度訪問介護や居宅介護など、幅広い分野の介護サービスを提供しています。
画一的に決められたケアをするような介護ではなく、クライアント一人ひとりの声を聞いて、その声に答えていくようなケアを行う仕事です。
「人として成長できる」。
株式会社土屋の仕事はそんな仕事だと思います。
「施設介護」とは違って、クライアントと「1対1の介護」が必要になる場合も多いため、難しいと感じる面も確かにあります。
しかし、だからこそ、「ありがとう」と言ってもらえる仕事なんだと思います。
1対1の介護とか、利用者さんと向き合った介護がしたいという方には、本当におすすめできる仕事だと思います。
介護の世界に興味があるという方は、ぜひ一緒に働きましょう。
一緒に働ける日を楽しみにしています。
【大元さんの職場を紹介】株式会社土屋
株式会社土屋は「重度訪問介護サービス」をメインに、様々な介護サービスを展開している会社です。
障害をもっていても地域で自分らしく生活したいと望む方々を支援したい。
そんな思いで、幅広く介護・福祉サービスを行っています。
さらに、「介護のイメージを変える」という様々な取り組みも行っており、SNSなどでの情報発信にも大変力を入れています。
株式会社土屋代表の著書 異端の福祉 /高浜 敏之
株式会社土屋の代表、高浜 敏之さんの著書です。
本書を読めば、土屋のイメージや価値観などがわかります。
脳性麻痺や難病で重度の肢体不自由がある人や強度行動障害のある人など、
いわゆる重度障害者は、これまで施設・病院で暮らすことが″当たり前”とされてきました。
本人は家で過ごしたい、家族も家で過ごしてほしいという気持ちがあっても、
介助サポートなしで家で過ごすのは容易ではありません。
そんな重度障害者に対して、訪問介護サービスはあるものの、未だに
全国的に充実していません。
介護スタッフの成り手が圧倒的に不足しているためなかなかサービスが普及していかないのです。
著者はこの命の尊厳に関わるような重要な社会課題をビジネスの力で解決したいと思い、
会社を立ち上げ、重度訪問介護事業所の全国展開に取り組んでいます。
福祉業界ではタブーとされる利益の追求に切り込むことで、人材への投資、
サービス品質の向上、事業規模の拡大を実現しているのです。
本書は、介護サービスを受けたくても受けられない介護難民をゼロにするために、
ソーシャルイノベーションを起こそうとする一人の経営者の軌跡です。
著者が見てきた重度障害者の現状や重度訪問介護の重要性を、現場の生の声とともに
綴った一冊です。