認知症ケアの専門的な資格として「認知症ケア専門士」の資格があります。
認知症ケア専門士の資格は一般社団法人認知症ケア学会が主催している民間の資格のことで、認知症の知識や介護技術を習得している人を指す資格です。
日本では少子高齢化が進んでいて、認知症を発症する人の増加と介護士の減少が問題視されています。
認知症を患った利用者さんを安全に介護するためには、専門的な知識と認知症への理解が必要です。
この記事では認知症ケアに関する勉強方法や試験内容に関して詳しく解説していきます。
気になる方は、ぜひ参考にしてください。
認知症ケア専門士認定試験の内容と勉強法
認知症ケア専門士認定試験は第一次試験(筆記試験)と第二次試験(論述)があります。
以下では勉強法について解説していきます。
認知症ケア専門士一次試験の筆記対策
認知症ケア専門士一次試験は「認知症ケア標準テキスト」に沿って勉強するのが基本です。
過去問題集は試験ごとに回収されて手元に残すことは難しいですが、過去の受験者たちの経験をもとに作られた過去問題集も存在します。
過去問題集は紙の媒体の問題集やウェブ上のサイト、スマートフォンのアプリなどで学べます。
公式テキストを覚えたら応用編として問題を解くことに慣れましょう。
認知症ケア専門士は、日本認知症ケア学会が主催している受験対策講座もあります。
オンラインでの勉強や模擬テストなども受けられるので、試験の対策も可能です。
認知症ケア専門士の二次試験の対策
一次試験に合格すると自宅に論述試験の問題が送られてきます。400〜600文字で解答し、要件を満たせば合格となります。
合格の要件は以下のとおりです。
- 適切なアセスメントの視点を有している
- 認知症を正しく理解している
- 適切な介護計画を立てられる
- 制度および社会資源を理解している
- 認知症の人の倫理課題を理解している
論述の書き方は事例について「どのように対応するか」が問われ「理由」についても併せて記述しなければなりません。
対応の仕方も一つだけでなく、三つくらいあるといいでしょう。
例えば「どのように対応するかを一つ決めて本筋を決めて記述して、別対応策も併せて書いておくと想定外の異変にも対応できる」と書きます。
具体的な書き方はをまとめると以下のとおりです。
- 対応方法(結論)を分かりやすく書く
- それぞれの対応策について解説する
- 最後に結論を持ってきて文章を締める
記述のネタの探し方は標準テキスト内に書かれているので、論述問題とテキストをしっかり読み込めば、そこまでハードルは高くありません。
しかし、字数がオーバーしたり不足したりしてしまった時は不合格となるので注意しましょう。
問題対策をしっかり行う
一次試験、二次試験の対策をしたら、次は問題に慣れるようにしましょう。
大きく三つの観点に絞ります。
- 教科書に固執しない
- 問題を解くことになれる
- よく間違う問題を解けるようにする
以下について解説します。
①教科書に固執しない
認知症ケア標準テキストを読み込むことは大切ですが、読むことが目的になって覚えることを疎かにしてはいけません。
教科書は疑問が生じた時の確認用に使いましょう。
暗記の仕方は人それぞれですが、頭の中で現場を想定しながら読み込みイメージと紐づけるようにすると覚えやすいので試してみてください。
②問題を解くことに慣れる
覚える作業が一通り終わったら、問題を解くことに慣れましょう。
市販の予想問題集や模擬解答を解き、ペース配分を掴むことが重要です。
60分で50問の問題を解くので、1問に2分以上かかると解けない問題が出てくるためです。
また、解きながら、自信があった問題や迷った問題、全く解けなかった問題に3つを区別して印をつけましょう。
迷った問題や解けない問題に関しては、復習して次は同じ問題でつまずかないようにしておき、解ける問題を増やすことが大切です。
問題文集には解説も載っているので、教科書と併せて頭に入れておきましょう。
③よく間違う問題を解けるようにする
間違った問題をそのままにしておくと、本番でも必ず間違えてしまいます。
正答率が5割だったとしても、間違えた問題を半分でも解けるようになれば正答率は7割になります。
間違えた問題を解けるようになることは自信にもつながるため、試験にも万全の気持ちで臨めるようになります。
上記の②のように、自分の弱点になる部分を見える化させる方法と上手く組み合わせながら効率よく勉強しましょう。
二次試験もテキストが頭に入っていれば、対応力と応用力が広がります。
認知症ケア専門士認定試験を受けるには?
認知症ケア専門士認定試験を受けるためには条件があり、受験年の3月31日から過去10年間の認知症ケアに関する施設や機関で3年以上の認知症ケアの実務経験が必要です。
老人ホームや、デイサービス、訪問介護などで認知症ケアにかかわった方が対象とになりますが、ボランティアや研修期間などの期間は実務経験に含まれないので気をつけましょう。
資格を取得するメリット
認知症は一般的に知られている名前ですが、その状態の特徴や知識を持つ方は限られています。
高齢者の人口が増え続けていますが、介護士の数は反比例して足りていないのが現状です。
その背景から、認知症に関して正しい知識を持つ認知症ケア専門士の需要は高まり、就職や転職にも有利に働くでしょう。
就職後も資格手当や役職に就くことが考えられるため、待遇面でも優遇される可能性もあります。
認知症ケア専門士の勉強方法は人それぞれのやり方がある
認知症ケア専門士の合格率は50%と合格率は高いとは言い切れません。
勉強方法は暗記、テキストの内容の理解から始まり、効率の良い勉強方法は人それぞれ違います。
ある程度内容を理解したら、試験問題に触れるようにして自身の弱点を把握して、解答スピードを早めるようにしていくことが大切です。
問題は過去に受講した人が作成した問題集などもあるので上手く利用するようにしましょう。
試験に合格すると認知症ケア学会に入会でき、学会誌等から多くの研究内容に触れることができるため一層認知症に関して詳しくなることができます。
試験は年に1回しか開催されず、受講要項も誰でも受けることができないので、一発で合格できるように上手く努力を重ねましょう。