介護事業所で働いている人の中には
- 認知症ケアに興味がある
- 訪問介護等で家族から認知症による問題行動をどうしたら良いか相談されたけれど、上手く答えられなかったので、知識をつけたい
と考える人もいるでしょう。
そんな人におすすめなのが「認知症ケア専門士」です。
認知症ケア専門士の資格を取得することで、知識とスキルを得られるだけでなく、介護の仕事においても効果を発揮します。
その認知症ケア専門士ですが、受験資格の有無について気になる人もいるでしょう。
この記事では、認知症ケア専門士とはどのような資格なのか、受験の流れや受験資格に加えて、何が必要なのかを紹介します。
この記事を読むことで、受験するのに何が必要なのかが分かるようになります。
認知症ケア専門士とは
認知症ケア専門士とは「認知症ケアに対する高い知識とスキルを持っている」ことを証明する資格です。
「長く介護業界で働いても聞いたことがない」という人もいるでしょう。
2005年から始まった比較的新しい資格なので、2021年6月時点での資格取得者数は約31000人と少ないです。
加えて都道府県によっては数百人程度しか資格保有者がいないので、認知度が低いというのもあります。
認知症ケア専門士の資格を取得することで、どんなメリットがあるのか
認知症ケア専門士の資格を取得することで得られるメリットとして、下記の2つがあります。
- より良い認知症ケアができ、業務の負担が減る
- 就職や転職に有利になる
それぞれどのような特徴なのか、説明していきます。
より良い認知症ケアができ、業務の負担が減る
1つめは「より良い認知症ケアができ、業務の負担が減る」ことです。
認知症に対する知識が乏しいと「なぜこんなことをしてしまうのだろう」と困惑し、ケアを行うのが難しいと感じます。
認知症のケアは「経験を積めばできる」と思われがちですが、十数年も経験がある人でも、認知症の対応は難しいと感じることがあります。
例えば他の業務で忙しいときに何回も同じ話をする人に対して、介護職員は「さっきも言ったでしょ」と言いがちです。
しかし認知症ケア専門士の資格を持っている人であれば「○○さんは短期記憶の能力が低下しているから、何回も言ってしまう」と考え、訴えを傾聴したり、タオル畳み等の軽作業をして意識を別の方向へ向けるといった対応を取ることができます。
その人に合ったケアを提供や提案をすることができ、業務の負担に繋がるのです。
家族も「この職員は認知症に関しての知識があるから、頼れる」と信頼できるようになり、より良い関係性を構築しやすくなります。
就職や転職に有利になる
2つめは「就職や転職に有利になる」です。
高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加するといわれ、2025年には約5人に1人が認知症になると予測されています。
そのため介護福祉業界では、認知症ケアができる人材の需要が高まっているのです。
認知症ケア専門士が働くことができる職場としては、下記があります。
- 特別養護老人ホーム(以下特養)
- 認知症対応型共同生活介護施設(以下グループホーム)
- 訪問介護事業所
- 地域包括支援センター
特養などの介護施設だけでなく、訪問介護事業所や地域包括支援センターといった地域でも働くことができます。
自分のライフスタイルに合わせて職場が選べるというのも、メリットになります。
受験の流れ
認知症ケア専門士受験の流れは、下記のとおりです。
- 「受験の手引き」を購入
- 第1次試験の受験申請
- 第1次試験(WEB試験)
- パソコン等を使用しインターネット上で行います。4分野50問ずつあり、各分野7割以上正答し、合格となります。
- (合格者のみ)第2次試験の受験申請
- 第2次試験(論述試験)
- 第1次試験の合格通知に論述問題と論述用紙が同封されているので、第2次試験受験申請書と共に提出します。
- 合格発表
- 登録申請(倫理研修)
- 専門士資格取得
受験資格はあるのか
ここまで、認知症ケア専門士受験の流れについて説明してきました。
では「認知症ケア専門士の受験資格」はあるのでしょうか。
結論から言うと、受験資格はあります。
受験資格は「認知症ケアに関する施設、団体、期間等において、2013年4月1日から2023年3月31日の間(2023年8月時点)に3年以上の認知症ケアの実務経験を有する者」とされています。
下記にて詳しく説明します。
3年以上の認知症ケアの実務経験とは
上記にある「実務経験」とは、特養やデイサービス、訪問介護といった介護事業所で働いた経験のことを言います。
また介護福祉士や介護支援専門員(以下ケアマネ)等、資格の有無にかかわらず受験が可能なので、無資格者でも受験ができます。
ただし、ボランティアや実習は「実務経験」として見なされないので、気をつけましょう。
介護福祉士の受験条件との違い
介護福祉士の受験条件との違いとして「従事日数は含まれていない」ということです。
介護福祉士国家試験の受験条件に「実務経験3年以上」というのがあります。
この実務経験3年以上とは、下記2つを満たすことで得られます。
- 従業期間3年(1,095日以上)
- 従事日数540日以上
従事日数とは「雇用契約に基づき、実際に介護などの業務を行った日数」のことです。
つまり3年以上介護事業所に在籍していたとしても、従事日数が足りなければ、介護福祉士を受験することはできないのです。
対して認知症ケア専門士の場合は、条件の中に従事日数は含まれておりません。
なので、3年以上介護事業所で介護職員として働いていれば、誰でも認知症ケア専門士を受験することは可能なのです。
受験するのに必要な物と環境
「認知症ケア専門士」を受験するのに必要な「物」と「環境」があります。
それは「パソコンまたはタブレット等の端末」です。
理由として「第1次試験を受験するのに必要だから」です。
前述したように、第1次試験の試験方法はWEB試験になります。
そのため、試験当日はパソコンもしくはタブレットを使用します。
日頃パソコンやタブレットを使う機会が少ない人にとって、WEB試験は難しいと感じがちです。
試験当日に慌てないよう、普段から端末に触って慣れておくことをおすすめします。
「家にパソコンやタブレットがない」という人は、レンタルパソコンを使うという方法があります。
1ヶ月単位で借りることができるので「第1次試験まで、パソコンを触って使い慣れておきたい」という人にもおすすめです。
レンタルパソコン業者によっては、モバイルWi-Fiルーターのレンタルも行っております。
「試験の為だけに、ネットを使えるように工事とかするのは、大変だ」と考えている人もいるでしょう。
モバイルWi-Fiルーターであれば、工事不要ですぐにネットが使えます。
ギガ等の制限があるので、動作確認時にどの位通信量を使うのか、確認しておきましょう。
認知症ケア専門士になるには、まず介護事業所等で3年働くこと
認知症ケア専門士は、認知症ケアに関する知識とスキルを持っていることを証明する資格です。
介護業務において幅広く活用できるだけでなく、転職にも有利になります。
受験資格は「3年以上認知症ケアに携わった経験がある」ことなので、無資格者でも受験することができます。
認知症ケア専門士の資格を取りたいと考えたら、まず介護事業所等で3年以上働きましょう。