一般的に介護福祉士の試験は難易度が低めで、試験は簡単だといわれています。
しかしその一方で「国家資格なので難しい」や「かなり勉強したのに試験に落ちてしまった」などの声も聞かれます。
簡単だという人と難しいという人、その違いはどこにあるのでしょうか。
今回は介護士の国家資格である介護福祉士の難易度について深く掘り下げて考えます。
合格に向けて効率的な勉強法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
介護福祉士の難易度を徹底分析
一口に「難易度」といっても何だか漠然としてると感じる方は多いのではないでしょうか。
介護福祉士の難易度を具体的にとらえるには、色々な角度から分析をする必要があります。
ここでは3つの視点から介護福祉士の難易度を分析します。
①介護福祉士の合格率からみる難易度
ここ数年の介護福祉士の合格率は約70%を超えています。
合格率だけみると介護福祉士の難易度は低いといえるでしょう。
しかし介護福祉士を受験するには要件があります。
働きながら介護福祉士を目指す場合、3年以上の実務経験と実務者研修を修了していることが要件です。
実務者研修も中級者レベルの介護士資格です。
実務者研修を終了するには、450時間の講義と演習を受講する必要があります。
つまり介護福祉士は一定の知識と技術を持ち合わせた人しか受験できません。
受験する人が一定の水準にあることが合格率を押し上げているとも考えられます。
コツコツ時間をかけて勉強することが苦手な人にとっては、介護福祉士の受験資格を得ること自体、難しいと感じるかもしれません。
②介護福祉士の合格基準点からみる難易度
介護福祉士試験の合格点は、総得点125点のうち75点以上を得点することが必要です。
6割正解できれば合格できます。
半分より少し多く得点できれば合格圏内に入るので、簡単だと思う人も多いでしょう。
しかし合格点についてはもう一つの基準点があります。
試験問題は内容別に11科目に分かれており、その11科目のうち1科目でも0点を取ると不合格になってしまいます。
偏った勉強をしていると高得点でも不合格になる可能性があります。
苦手科目が多い人は、まんべんなく勉強することが難しいと思うかもしれません。
③介護福祉士の出題形式からみる難易度
介護福祉士の筆記試験は、すべてマークシートの選択問題です。
記述問題がないので難易度が低いと判断されるかもしれません。
5つの選択肢の中から「正しいもの」「適切なもの」「最も適切なもの」を一つ選びなさいという出題形式がほとんどです。中には、一見正しそうに見せかけて小さな誤りを含んでいるひっかけのような問題もあります。
多くの受験者が苦手とするのは「最も適切なもの」を選ぶ問題です。
正解以外の選択肢も「最も適切なもの」ではないものの「適切なもの」であるため、適切さの優劣を判断しなくてはなりません。
こうした選択肢が紛らわしい問題では、文章を一言一句注意深く読み解くことが大切です。
注意力に自信がなくひっかけ問題を苦手とする人は、介護福祉士の試験を難しいと感じるでしょう。
以上のことから、介護福祉士試験の難易度はその人の感覚値によるところが大きいといえます。
時間をかけて勉強した人にとっては試験が簡単に思えるでしょうし、十分に勉強できず曖昧にしか理解できなかった人にとっては難しいと感じるでしょう。
一般的に簡単だと思われている介護福祉士ですが、決して油断できない試験であることは間違いありません。
心して試験に向き合うことが大切です。
しかし、介護福祉士国家試験は落とすことが目的の試験ではありません。
社会全体が一人でも介護福祉士を増やしたいと望んでいます。
勉強の方向性を間違えずたゆまぬ努力を続ければ、誰でも取得できる国家資格であるといえるでしょう。
「介護福祉士」合格のための効率的な勉強法
介護福祉士試験を受けようと決めたら、できれば1回で合格を勝ち取りたいですよね。
ここでは合格に向けて効率的な勉強法を紹介します。
これまで漫然と勉強してきた人は、今一度自分の勉強スタイルを振り返って勉強法を見直してみましょう。
【効率的な勉強法その1】最初に過去問から勉強しよう
高校受験などで過去問に取り組んだ経験がある人は、過去問はある程度勉強した後に解くものだと思っている方が多いでしょう。
介護福祉士の試験勉強では、いきなり過去問からスタートした方が効率的です。
ほとんどの人が一定の知識と技術を持っているので、まったく問題が解けないことはないはずです。
問題を解いてみて分からないところに当たったら、テキストを読んで理解を深めましょう。
はじめに過去問を解くことで出題傾向が分かります。
何度も出現する問題は重要度が高く今後も出題される可能性があります。
出題頻度が高い問題から勉強した方が試験に受かりやすいです。
また過去問は苦手分野の把握にも役立ちます。
介護福祉士試験では苦手分野を作らないことが重要です。
苦手分野をみつけたら早めに対処しましょう。
【効率的な勉強法その2】本質を理解する勉強をしよう
はじめに過去問から取り組むことが効率的だとお伝えしました。
しかし過去問の答えだけを暗記するような勉強法はおすすめできません。
「かなり勉強したのに試験に落ちてしまった」という人は、暗記に頼りすぎた勉強をしていた可能性があります。
暗記をするだけの勉強では、なんとなく分かったつもりになって、実は理解していない場合があります。
試験問題は毎回姿かたちを変えて出題されるため、過去問の答えだけを覚えても意味はありません。
むしろ解説の方をじっくり読んで本質を理解するような勉強が大切です。
本質が分かればどんな形で出題されたとしてもしっかり対応することができます。
本質を理解した上で暗記をすると、頭が整理され思い出しやすくなります。
また定期的に模擬試験に取り組むこともおすすめです。
自分がどこまで理解できているのかはっきり分かるでしょう。
【効率的な勉強法その3】復習のコツは繰り返しとタイミング
勉強したことを覚えるのが苦手な人も多いでしょう。
そんな人でも自分が好きな曲の歌詞などは覚えられますよね。
なぜ覚えられるかと言えば、何度も繰り返し聞くからです。
記憶にはこの繰り返し(復習)がとても大切です。
また復習するにも効果的なタイミングがあります。
ドイツの心理学者エビングハウスは、記憶と忘却について研究し「エビングハウスの忘却曲線」を発表しました。
「エビングハウスの忘却曲線」によると、人は記憶してから1日で急激に忘れ、その後の忘れるスピードはゆるやかになるといわれています。
なるべく早いうちに1回目の復習をすることが記憶の持続に効果的です。
24時間以内に1回目、1週間後に2回目、1カ月後に3回目の間隔で復習するのがもっとも効果的だとしています。
この理論をもとに考案された復習管理アプリや復習のタイミングを可視化した付箋(ふせん)などが人気です。
何をどこまで復習したか管理するのが苦手な人はこうしたものを利用してみるのもいいでしょう。
効率的な勉強で介護福祉士試験に合格しよう
勉強とはインプットとアウトプットの相互作用です。
頭の中に情報を入れるインプット(覚える)と頭の中の情報を取り出すアウトプット(思い出す)をバランスよく行うことで効率的な勉強ができます。
テキストを隅から隅まで読んでマーカーを引いたり、きれいにノートにまとめるといった勉強は、インプットに偏りすぎています。
作業をすることに満足して理解が不十分でも気がつかない可能性があります。
理解度を測るためには、頭にあるものを思い出すアウトプットの勉強が必要です。
アウトプットの勉強とは過去問や模擬試験を解く勉強です。
介護福祉士の受験者はある程度インプットが済んでいるので、アウトプットの勉強からはじめるのをおすすめします。
分かることと分からないことを区別し、理解が足りないところをテキストや解説を読んで情報をインプットをするようにすれば、効率的な勉強ができるでしょう。
働きながらの勉強は簡単ではありませんが、効率的な勉強法でサクッと介護福祉士に合格しましょう!