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定期巡回と訪問介護の違い|メリット・デメリット、できること・できないことを解説

「定期巡回と訪問介護の違いはなに?」と疑問に思われていませんか?

在宅介護サービスがいくつかあるなかの一つである「定期巡回」と「訪問介護」。
比べてみても、よく似ているため違いがわかりにくいですよね。

本記事は、在宅介護希望で、どのサービスを選べばよいのかわからない方に向けた内容です。

定期巡回と訪問介護の違いを、メリット・デメリット、できること・できないことを比較していきます。

目次

定期巡回とは

定期巡回とは

正式名称は「定期巡回・随時対応型訪問看護」といい、介護と看護両方のサービスを兼ね備えています。

要介護1〜5までの認定者が利用でき、1日に複数回サービスを受けられます。


そして、24時間夜間であっても、要件があれば介護士や看護スタッフが自宅まで訪問し、対応してくれるのが特徴です。

内容は大きく分けて「定期巡回サービス」と「随時対応・訪問サービス」に分かれています。

定期巡回サービスは、介護員や看護師が定期的に利用者の自宅を巡回し、日常生活のお世話をします。
ケアプランは一般的にケアマネジャーが作成し、プランに沿って身体介護を中心とした短時間の介護を1日複数回受けられます。

随時対応・訪問サービスは、24時間年中無休で緊急対応を受けられるサービスです。
利用者さんに限らず家族からの連絡も受け付けています。利用者さんの状態や環境などに合わせ、相談援助や訪問介護員の訪問、または看護師による対応を受けられます。

メリット

定期巡回のメリットには、次のようなものがあります。

定期巡回のメリット
  • 生活リズムに合わせてサービスを受けられる
  • 訪問介護・介護の両方を受けられる
  • 夜間でも安心
  • 24時間365日緊急時も対応もしてくれる
  • 月額一定の料金で受けられる
  • 日割り計算できる

利用者さんの状況に合わせて柔軟に対応してもらえるのが、定期巡回の大きなメリットです。

また、夜間での緊急対応もしてくれるため、安心でしょう。

デメリット

メリットがたくさんある定期巡回ですが、デメリットもあります。

定期巡回のデメリット
  • 同じようなサービスは併用不可
  • 利用頻度が低いと料金が高くつく

定期巡回を受ける場合、似たようなサービスの訪問介護や夜間対応型訪問介護と並行して利用できません。
よって、本当に必要な内容を見極める必要があります。

また、料金形態が1か月の定額制になっているため、利用頻度が低いと高くつき損する可能性があるといったデメリットもあります。

できること

定期巡回・随時対応型訪問看護で受けられる内容を紹介します。

定期巡回サービス随時対応・訪問サービス
排泄介助食事介助着替え介助安否確認ゴミ出しポータブルトイレの掃除洗濯掃除食事づくり食器の後片付け服薬介助買い物 など容体急変の対応体調変化の確認在宅での看取り など

対応可能なサービス内容として紹介していますが、上記すべてを行ってくれるわけではありません。

特にゴミ出し、食事作り、掃除、買い物、ポータブルトイレの掃除など、本人以外の援助に該当する可能性のある項目は要注意です。

もちろん、利用者さんが一人暮らしをしている、家族と遠く離れているなど、やむをえない場合は対応可能なので安心してください。

できないこと

定期巡回・随時対応型訪問看護でできない内容が5つあります。

  1. 話し相手のための利用はできない
  2. 必要以上の滞在はできない
  3. 利用者さん以外の人へのサービスはできない
  4. 多くの時間が必要なことはできない
  5. ヘルパー・看護師の指名はできない

一つ目の「話し相手」についてですが、介護保険制度により対応してはいけないと決まっています。
例えば、利用者さんが一人暮らしをしていて、寂しいからと話し相手の依頼はできません。

二つ目の「必要以上の滞在」についてですが、プラン内容の介助・援助が終了すれば退出すると決まっています。
他の利用者さんの自宅にも訪問しなければならないため、必要以上の滞在はできません。

三つ目の「利用者さん以外の人へのサービスは不可」については、介護保険制度によって定められています。
洗濯や買い出し、夕飯づくりなど、家族と同居している利用者さんに行う場合は、本人のみ対応可能です。
例えば、洗濯物は利用者さん分のみ回したり干したりできます。
夕飯づくりも、家族分の食事は作れません。

四つ目の「多くの時間が必要なことはできない」についても、介護保険制度で決められています。
時間がかかるものの例として、引越しの手伝い、おせち料理づくり、庭木の手入れなどがあります。

五つ目の「ヘルパー・看護師の指名はできない」については、してはいけないというよりも、対応が難しくできない傾向にあります。
人員が不足している状態で地域を巡回しながらサポートしなければならないため、ヘルパーの固定や指名は難しいです。

訪問介護とは

訪問介護とは

訪問介護は、介護サービスのみが受けられ、要介護1以上の認定者が利用できます。

要支援1または2の認定者は、一部利用制限がありますが「介護予防訪問介護」の形でサービスを受けられます。

内容は大きく分けて「生活援助」「身体介護」「通院時の乗車・降車等介助」の3つがあります。

生活援助は、利用者さんの身の回りのお世話を中心に援助するサービスです。

身体介護は、利用者さんの身体に直接触れて介助するサービス。

通院時の乗車・降車等介助は、いわゆる介護タクシーで、訪問介護員などが車の送迎を行うサービスです。

メリット

訪問介護のメリットには、以下のようなものが挙げられます。

訪問介護のメリット
  • 環境を変える必要がない
  • 施設を利用するより費用を抑えられる
  • 家族の負担を軽減しながら利用者さんの自立も叶う
  • 車が必要な難しい移動の介助を受けられる
  • たん吸引や経管栄養も制限はあるが受けられる

医療行為を要する利用者さんを家族であるご自身が看る場合、不安が大きいでしょう。

介護訪問を利用すれば、介護福祉士または一定の研修を受けたヘルパーに、たん吸引や経管栄養を依頼できます。

デメリット

訪問介護のデメリットには、以下の2つがあります。

訪問介護のデメリット
  • 料金が高額になるケースがある
  • 受けられるサービスに限界がある

訪問介護は、サービス内容と利用時間、頻度によって料金が変わります。
公的支援は受けられますが上限があるため、結果的に支払額が高額になるケースがあります。

また、訪問介護は、設備の整っていない自宅での介護となります。
そのため、高度医療を要する場合は、訪問介護だけでは対応しきれません。
よって、訪問介護だけでカバーできない場合は、医療機関に連絡し対応してもらう必要があります。

できること

訪問介護で受けられる内容を紹介します。

生活援助身体介護通院時の乗車・降車等介助
食事づくり掃除洗濯衣類整理買い物薬の受け取り など食事介助入浴介助排泄介助身体の清拭体位変換着替え援助移乗介助 など乗車介助移送介助降車介助降車後の屋内外における移動等の介助通院先・外出先での受診等の手続き など

上記のような、利用者さん本人の援助や介助に関わるものは、ヘルパーに依頼できます。

通院時の乗車・降車等介助を利用する際に注意しなければならないのが料金の発生です。
移送にかかる費用は介護保険の対象外であるため、別途支払いが生じます。

できないこと

訪問介護ではできない内容は次のとおりです。

  1. 利用者さん以外の人へのサービスはできない
  2. 話し相手のための利用はできない
  3. 多くの時間が必要なことはできない
  4. 必要以上の滞在はできない
  5. ヘルパー・看護師の指名はできない
  6. 基本的に医療行為のサービスはできない
  7. 介護タクシーは乗降時の介助が不要な方には利用できない

一つ目から三つ目までは、定期巡回と同様、介護保険制度の決まりにより対応できません。

四つ目、五つ目に関しても、定期巡回と同様、システムや人員不足により可能にしている事業所はなかなかありません。

六つ目の「医療行為のサービスはできない」についてですが、受けられるサービスに看護はないため、基本的には受けられません。
ただし、例外として経管栄養、たん吸引は、介護福祉士や一定の研修を受けた者だけが対応できます。
よって、経管栄養やたん吸引を要する場合は、事業所との相談が必要です。

七つ目の「介護タクシーの制限」については、公共交通機関ではないため、利用対象者に決まりがあります。
普段車椅子に乗っていて、車に乗る際に介助が必要といった方のみが利用可能です。

受けたいサービスを見極めよう

定期巡回と訪問介護の大きな違いは「看護の介助を受けられるか」と「24時間体制で夜間の緊急時にも対応してもらえるか」にあります。

どちらにもメリットデメリットがあるので、利用者さんやご家族がどのようなサービスを受けたいかを整理したうえで、検討し決めることが大切です。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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