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【介福国試対策】第34回介護福祉士国試過去問を解説します

第34回介護福祉士国試の過去問と解答を記載しています。

詳しい解説はYouTubeで行っています。

目次

第34回介護福祉士国家試験過去問解説

各問題や用語に関する詳しい解説動画を作っていますので、ぜひぜひYouTubeをご覧ください。


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国試対策1問1答を無料でお配りしています。


問題 1

著書『ケアの本質-生きることの意味』の中で,「一人の人格をケアすることは,最も深い意味で,その人が成長すること,自己実現することをたすけることである」と述べた人物として,正しいもの1つ選びなさい。

1 神谷美恵子
2 糸賀一雄
3 フローレンス・ナイチンゲール(Nightingale,F.)
4 ミルトン・メイヤロフ(Mayeroff,M.)
5 ベンクト・ニィリエ(Nirje,B.)

解答

4

解説

ミルトン・メイヤロフについての記述となり、選択肢4が正解です。問題文にある著書『ケアの本質-生きることの意味』では、ケアとはなにか?人が人を支えるとはどういうことか?といった内容が書かれています。介護福祉や医療に関わる人のみならず、幅広く多くの人に読まれている本です。

問題 2

Aさん(80歳,女性,要介護1)は、筋力や理解力の低下がみられ、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。訪問介護(ホームヘルパー)がいない時間帯は,同居している長男(53歳,無職)に頼って生活をしている。長男はAさんの年金で生計を立てていて,ほとんど外出しないで家にいる。

 ある時,Aさんは訪問介護員(ホームヘルパー)に,「長男は暴力がひどくてね。この間も殴られて,とても怖かった。長男には言わないでね。あとで何をされるかわからないから」と話した。訪問介護員(ホームヘルパー)は,Aさんのからだに複数のあざがあることを確認した。
 訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 長男の虐待を疑い,上司に報告し,市町村に通報する。
2 長男の仕事が見つかるようにハローワークを紹介する。
3 Aさんの気持ちを大切にして何もしない。
4 すぐに長男を別室に呼び,事実を確認する。
5 長男の暴力に気づいたかを近所の人に確認する。

解答

1

解説

介護福祉職として大切な視点である、利用者の権利擁護についての問題です。高齢者虐待防止法に基づいた対応となる、1の選択肢が最も適切です。

問題 3

介護福祉職はBさんから,「認知症(dementia)の母の介護がなぜかうまくいかない。深夜に徘徊するので,心身ともに疲れてきた」と相談された。介護福祉職は,「落ち込んでいてはダメですよ。元気を出して頑張ってください」とBさんに言った。後日,介護福祉職はBさんに対する自身の発言を振り返り,不適切だったと反省した。

 介護福祉職はBさんに対してどのような返答をすればよかったのか,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 「お母さんに施設へ入所してもらうことを検討してはどうですか」
2 「私も疲れているので,よくわかります」
3 「認知症(dementia)の方を介護しているご家族は,皆さん疲れていますよ」
4 「近所の人にたすけてもらえるように,私から言っておきます」
5 「お母さんのために頑張ってきたんですね」

解答

5

解説

家族の思いをあるがまま受け止める「受容」の対応となる、選択肢5が正解です。介護福祉職の発言は、家族にとって重い意味を持ちます。プロが家族にかける言葉の重みを意識できると、「受容」や「ねぎらい」の必要性がみえてきます。

問題 4

利用者とのコミュニケーション場面で,介護福祉職が行う自己開示の目的として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 ジョハリの窓(Johari Window)の「解放された部分(open area)を狭くするために行う。
2 利用者との信頼関係を形成するために行う。
3 利用者が自分自身の情報を開示するために行う。
4 利用者との信頼関係を評価するために行う。
5 自己を深く分析し,客観的に理解するために行う。

解答

2

解説

自己開示とは、自分のことをオープンにすることをいいます。自己開示をすることで、相手に自分のことを知ってもらい、それにより信頼関係の形成につながるため、選択肢2が最も適切です。

問題 5

2016年(平成28年)に閣議決定された,「ニッポン一億総活躍プラン」にある「地域共生社会の実現」に関する記述として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 日本型福祉社会の創造
2 我が事・丸ごとの地域づくり
3 健康で文化的な最低限度の生活の保障
4 社会保障と税の一体改革
5 皆保険・皆年金体制の実現

解答

2

解説

ニッポン一億総活躍プランでは、「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる『地域共生社会』を実現する」とされています。支える側、支えられる側が循環し、幅広い関係者による、我が事・丸ごとの地域づくりが目指されていますので、選択肢2が正解です。

問題 6

2019年(平成31年,令和元年)の日本の世帯に関する記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 平均世帯人員は,3人を超えている。
2 世帯数で最も多いのは,2人世帯である。
3 単独世帯で最も多いのは,高齢者の単独世帯である。
4 母子世帯数と父子世帯数を合算すると,高齢者世帯数を超える。
5 全国の世帯総数は, 7千万を超えている。

解答

2

解説

2019年国民生活基礎調査によると、2人世帯(夫婦のみの世帯・ひとり親と未婚の子のみの世帯)が最も多いため、選択肢2を正解としています。選択肢3については、単独世帯の半数近くを「65歳以上の単独世帯」が占めていますが、過半数は占めていないため、解答を2としています。

問題 7

2015年(平成27年)以降の日本の社会福祉を取り巻く環境に関する次の記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 人口は,増加傾向にある。
2 共働き世帯数は,減少傾向にある。
3 非正規雇用労働者数は,減少傾向にある。
4 高齢世代を支える現役世代(生産年齢人口)は,減少傾向にある。
5 日本の国民負担率は,OECD加盟国の中では上位にある。

(注)OECDとは,経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)のことで,2020年(令和2年)現在38か国が加盟している。

解答

4

解説

わが国では、少子高齢化社会が進んでおり、高齢世代を支える現役世代が減少傾向にありますので、選択肢4が正解です。

問題 8

次のうち,2020年(令和2年)の社会福祉法等の改正に関する記述として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 市町村による地域福祉計画の策定
2 入所施設の重点的な拡充
3 医療・介護のデータ基盤の整備の推進
4 市町村直営の介護サービス事業の整備拡充
5 ロボット等の機械の活用から人によるケアへの転換

(注)2020年(令和2年)の社会福祉法等の改正とは,「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律52号)」をいう。

解答

3

解説

2020年の社会福祉等の改正では、地域に応じた質の高いサービス提供体制の構築をねらいとし、医療・介護のデータ基盤の整備の推進が記載されていますので、選択肢3が正解です。

問題 9

Cさん(78歳,男性,要支援1)は,公的年金(月額19万円)で公営住宅の3階で一人暮らしをしている。妻と死別後も通所型サービスを利用し,自炊を楽しみながら生活している。最近,膝の具合がよくないこともあり,階段の上り下りが負担になってきた。そこで,転居について,通所型サービスのD介護福祉士に相談をした。

 次のうち,D介護福祉士がCさんに紹介する住まいの場として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
2 介護付有料老人ホーム
3 軽費老人ホームA型
4 サービス付き高齢者向け住宅
5 養護老人ホーム

解答

4

解説

Cさんは、要支援1であり、自炊を楽しみながら生活していることから、転居先としては、自炊を続けられる選択肢のある、選択肢4が最も適切です。

問題 10

介護保険制度の保険給付の財源構成として,適切なもの1つ選びなさい。

1 保険証
2 公費
3 公費,保険料,現役世代からの支援金
4 公費,第一号保険料
5 公費,第一号保険料,第二号保険料

解答

5

解説

介護保険制度の保険給付の財源は、公費,第一号保険料,第二号保険料となるため、選択肢5が正解です。

問題 11

「2016年(平成28年)生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)における身体障害,知的障害,精神障害の近年の状況に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 最も人数の多い障害は,知的障害である。
2 施設入所者の割合が最も高い障害は,身体障害である。
3 在宅の身体障害者のうち,65歳以上の割合は7割を超えている。
4 在宅の知的障害者の数は,減少傾向にある。
5 精神障害の8割は,精神障害者保険福祉手帳を所持している。

解答

3

解説

2016年(平成28年)生活のしづらさなどに関する調査によると、在宅の身体障害者のうち,65歳以上の割合は72.6%となっており、選択肢3が正解です。

問題 12

Eさん(30歳,女性,知的障害,障害支援区分2)は,現在,日中は特例子会社で働き,共同生活援助(グループホーム)で生活している。今後,一人暮らしをしたいと思っているが,初めてなので不安もある。

 次のうち,Eさんが安心して一人暮らしをするために利用するサービスとして,適切なもの1つ選びなさい。

1 行動援護
2 同行援護
3 自立訓練(機能訓練)
4 自立生活援助
5 就労継続支援

解答

4

解説

Eさんの一人暮らしを支えるために、定期的な訪問や、随時の訪問、相談対応などで必要な援助を行う、選択肢4が正解です。

問題 13

重度訪問介護に関する次の記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 外出時における移動中の介護も含まれる。
2 知的障害者は対象にならない。
3 利用者が医療機関に入院した場合,医療機関で支援することができない。
4 訪問看護の利用者は対象にならない。
5 障害が視覚障害のみの場合でも利用できる。

解答

1

解説

重度訪問介護では、外出時における移動中の介護も含まれるため、選択肢1が正解です。

問題 14

「成年後見関係事件の概況(令和2年1月~12月)」(最高裁判所事務総局家庭局)における,成年後見人等として活動している人が最も多い職種として,正しいもの1つ選びなさい。

1 行政書士
2 司法書士
3 社会保険労務士
4 精神保健福祉士
5 税理士

解答

2

解説

成年後見関係事件の概況(令和2年1月~12月)によると、司法書士が最も多くなっているため、選択肢2が正解となります。

問題 15

保健所に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 保健所の設置は,医療法によって定められている。
2 保健所は,全ての市町村に設置が義務付けられている。
3 保健所は,医療法人によって運営されている。
4 保健所の所長は,保健師でなければならない。
5 保健所は,結核(tuberculosis)などの感染症の予防や対策を行う。

解答

5

解説

保健所の役割として、選択肢5が記述の通りとなり正解です。

問題 16

生活保護制度に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 生活保護の給付方法には,金銭給付と現物給付がある。
2 生活保護の申請は,民生委員が行う。
3 生活保護法は,日本国憲法第13条にある幸福追求権の実現を目的としている。
4 生活保護を担当する職員は,社会福祉士の資格が必要である。
5 生活保護の費用は,国が金額を負担する。

解答

1

解説

生活保護の給付は、金銭給付である「葬祭扶助」「生活扶助」「住宅扶助」「生業扶助」「教育扶助」「出産扶助」と、現物給付である「医療扶助」「介護扶助」があり、選択肢1が正解です。

問題 17

Fさん(66歳,戸籍上の性別は男性,要介護3)は,性同一性障害であることを理由に施設利用を避けてきた。最近,数年前の脳卒中(stroke)の後遺症がひどくなり,一人暮らしが難しくなってきた。Fさんは,担当の訪問介護員(ホームヘルパー)に施設入所について,「性同一性障害でも施設に受け入れてもらえるでしょうか」と相談した。
 訪問介護員(ホームヘルパー)の応答として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 「居室の表札は,通称名ではなく戸籍上の名前になります。」
2 「多床室になる場合がありますよ」
3 「施設での生活で心配なことは何ですか」
4 「トイレや入浴については問題がありますね」
5 「同性による介助が原則です」

解答

3

解説

相談に対して、まずは本人の思いを傾聴する姿勢が求められます。Fさんの気持ちを確認する選択肢3が正解です。

問題 18

利用者主体の考えに基づいた介護福祉職の対応に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 1人で衣服を選ぶことが難しい利用者には,毎日の衣服を自分で選べるような声かけをする。
2 食べこぼしが多い利用者には,こぼさないように全介助する。
3 認知症(dementia)の利用者には,排泄の感覚があっても,定時に排泄の介護を行う。
4 転倒しやすい利用者には,事故防止のため立ち上がらないように声をかける。
5 入浴が自立している利用者も,危険を避けるため個別欲ではなく集団での入浴とする。

解答

1

解説

選択肢1の、利用者の自己決定を促す声かけは、利用者主体の考えにもとづいた対応として最も適切です。

問題 19

利用者の自立支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 利用者の最期の迎え方を決めるのは,家族である。
2 利用者が話しやすいように,愛称で呼ぶ。
3 利用者が自分でできないことは,できるまで見守る。
4 利用者の生活のスケジュールを決めるのは,介護福祉職である。
5 利用者の意見や希望を取り入れて介護を提供する。

解答

5

解説

自立とは、いくつかの側面からとらえることができますが、そのひとつに「本人が、自分の人生の主人公は自分だと感じている状態」ということができます。そのための対応として、選択肢5が最も適切です。

問題 20

Gさん(70歳,男性,要介護2)は,パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されていて,外出するときは車いすを使用している。歩行が不安定なため,週2回通所リハビリテーションを利用している。Gさんは,1年前に妻が亡くなり,息子と二人暮らしである。Gさんは社交的な性格で地域住民との交流を望んでいるが,自宅周辺は坂道や段差が多くて移動が難しく,交流ができていない。
 Gさんの状況をICF(International Classification of Functioning,Disability and Health:国際生活機能分類)で考えた場合,参加制約の原因になっている環境因子として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 パーキンソン病(Parkindon disease)
2 不安定な歩行
3 息子と二人暮らし
4 自宅周辺の坂道や段差
5 車いす

解答

4

解説

問題文の「自宅周辺は坂道や段差が多くて移動が難しく,交流ができていない」という記載から、地域住民との交流の制約の原因になっている選択肢4が最も適切です。

問題 21

Hさん(75歳,女性,要介護2)は,孫(17歳,男性,高校生)と自宅で二人暮らしをしている。Hさんは関節疾患(joint disease)があり,通所リハビリテーションの利用を開始した。介護福祉職が送迎時に孫から,「祖母は,日常生活が難しくなり,自分が食事を作るなどの機会が増え,家事や勉強への不安がある」と相談された。
 介護福祉職の孫への対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 「今までお世話になったのですから,今度はHさんを支えてください」
2 「家事が大変なら,Hさんに介護老人福祉施設の入所を勧めましょう」
3 「高校の先生や介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談していきましょう」
4 「家でもリハビリテーションを一緒にしてください」
5 「近所の人に家事を手伝ってもらってください」

解答

3

解説

日常的に家事や家族の世話をしている、ヤングケアラーに関する設問です。高校生の孫からの不安に対して、適切な相談者へつなぐ選択肢3が最も適切です。


問題 22

介護保険制度のサービス担当者会議に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 会議の招集は介護支援専門(ケアマネジャー)の職務である。
2 利用者の自宅で開催することが義務付けられている。
3 月1回以上の頻度で開催することが義務付けられている
4 サービス提供者の実践力の向上を目的とする
5 利用者の氏名は匿名化される

解答

1

解説

サービス担当者会議は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が呼びかけて開催をするため、選択肢1が正解です。

問題 23

社会資源に関する次の記述のうち,フォーマルサービスに該当する者として,適切なもの1つ選びなさい。

1 一人暮らしの高齢者への見守りを行う地域住民
2 買い物を手伝ってくれる家族
3 ゴミ拾いのボランティア活動を行う学生サークル
4 友人や知人と行う相互扶助の活動
5 介護の相談を受ける地域包括支援センター

解答

5

解説

フォーマルサービスとは、公的機関や専門職による制度に基づくサービスのことで、選択肢5が正解です。

問題 24

介護福祉士の職業倫理に関する次の記述,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 介護が必要な人を対象にしているため,地域住民との連携は不要である。
2 全ての人々が質の高い介護を受けることができるように,後継者を育成する。
3 利用者のためによいと考えた介護を画一的に実践する。                   
4 利用者に関する情報は,業務以外では公表してよい
5 利用者の価値観よりも,介護福祉士の価値観を優先する。

解答

2

解説

介護福祉士の職能団体として日本介護福祉士会がありますが、日本介護福祉士会が宣言している「日本介護福祉士会倫理綱領」に、後継者の育成が明記されています。選択肢2が正解です。

問題 25

 施設における利用者の個人情報の安全管理対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 介護福祉職が個人所有するスマートフォンの居室への持ち込みは制限しない。
2 不要な個人情報を破棄する場合は,万が一に備えて復元できるようにしておく。
3 利用者からの照会に速やかに応じるために,整理用のインデックス(index)は使用しない。
4 個人情報に関する苦情対応体制について,施設の掲示板等で利用者に周知徹底する。
5 個人情報の盗難を防ぐために,職員の休憩室に監視カメラを設置する。

解答

4

解説

利用者等が相談しやすいよう、苦情や相談を受け付ける窓口を案内するなど、個人情報に関する苦情対応体制を周知徹底することが必要なため、選択肢4が最も適切です。

問題 26

訪問介護員(ホームヘルパー)が,利用者や家族からハラスメント(harassment)を受けた時の対応に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者に後ろから急に抱きつかれたが,黙って耐えた。
2 利用者から暴力を受けたので,「やめてください」と伝え,上司に相談した。
3 利用者が繰り返す性的な話を,苦痛だが笑顔で聞いた。
4 家族から暴言を受けたが,担当なのでそのまま利用者宅に通った。
5 家族からサービス外のことを頼まれて,断ったら怒鳴られたので実施した。

解答

2

解説

利用者や家族からのハラスメントに対しては、毅然とした態度で対応し、上司へ報告、相談をする必要があります。選択肢2が正解です。

問題 27

介護福祉職が利用者とコミュニケーションをとるときの基本的な態度として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 上半身を少し利用者のほうへ傾けた姿勢で聞く。
2 利用者の正面に立って話し続ける。
3 腕を組んで話を聞く。
4 利用者の目を見つめ続ける。
5 緊張感が伝わるように,背筋を伸ばす。

解答

1

解説

上半身を少し利用者のほうへ傾けることで、話している相手が、自分の話を聞いてもらえていると感じやすくなるため、選択肢1が最も適切です。

問題 28

介護福祉職によるアサーティブ・コミュニケーション(assertive communication)として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者の要求は,何も言わずにそのまま受け入れる。
2 利用者から苦情を言われたときは,沈黙して我慢する。
3 利用者を説得して介護福祉職の都合に合わせてもらう。
4 介護福祉職の提案に従うことが利用者の利益になると伝える。
5 利用者の思いを尊重しながら,介護福祉職の意見を率直に伝える。

解答

5

解説

アサーティブ・コミュニケーションとは、相手を尊重しながら自分の気持ちを伝えるコミュニケーションです。自分の意見を飲み込んで我慢をしたり、一方的に自分の意見を押し通したりしないコミュニケーション方法であるため、選択肢5が最も適切となります。

次の事例を読んで,問題29,問題30について答えなさい。

〔事 例〕

Jさん(75歳,男性)は先天性の全盲である。これまで自宅で自立した生活をしてきたが,最近.心身機能の衰えを感じて,有料老人ホームに入居した。
 施設での生活にまだ慣れていないので,移動は介護福祉職に誘導してもらっている。

ある日,介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに,「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。

問題 29

Jさんの発言への介護福祉職の共感的理解を示す対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 Jさんの発言にうなづく。
2 Jさんの発言のあと沈黙する。
3 Jさんの話の内容を短くまとめて伝える。
4 Jさんの立場に立って感情を推し測り,言葉で表現して伝える。
5 Jさんの気持ちが前向きになるように.励ましの言葉を伝える。

解答

4

解説

共感的理解を示すためには、相手の立場に立つことが必要ですので、選択肢4が最も適切です。

問題 30

Jさんの不安な気持ちを軽くするための介護福祉職の対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 いきなり声をかけると驚くので,肩へ触れてから挨拶をする。
2 誘導時の声かけは歩行の妨げになるので,最小限にする。
3 角を曲がるときには,「こちらに」と方向を伝える。
4 トイレや食堂などを,一緒に歩きながら確認する。
5 食堂の座席は,Jさんの好きなところに座るように伝える。

解答

4

解説

先天性の全盲があるJさんの不安を軽くするためには、場所を一緒に確認する選択肢4が最も適切です。

次の事例を読んで,問題31,問題32について答えなさい。

〔事 例〕

Kさん(83歳,女性,要介護3)は,10年前の脳出血(cereblal hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。感情のコントロールが難しく,興奮すると大声をあげて怒りだす。現在は,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら,自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。

長男は,会社を3年前に早期退職し,Kさんの介護に専念してきた。顔色が悪く,介護による疲労を訴えているが,「介護を続けて,母を自宅で看取りたい」と強く希望している。別居している長女は,長男の様子を心配して,「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。

問題 31

訪問介護員(ホームヘルパー)が,興奮しているときのKさんとコミュニケーションをとるための方法として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 興奮している理由を詳しく聞く。
2 興奮することはよくないと説明する。
3 冷静になるように説得する。
4 事前に作成しておいた日課表に沿って活動してもらう。
5 場所を移動して話題を変える。

解答

5

解説

高次脳機能障害があり、感情のコントロールが難しい方が興奮されているときには、場所を移動して話題を変えるなどの方法があります。選択肢5が最も適切です。

問題 32

長男に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 長男自身の意向を変える必要はないと励ます。
2 Kさん本人の意向が不明なため,自宅で看取りを希望する理由を尋ねる。
3 これまでの介護をねぎらい,自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。
4 自宅での生活を継続するのは限界だと説明する。
5 長女の言うように,施設入所の手続きを進めることが正しいと伝える。

解答

3

解説

長男の気持ちに寄り添う対応が求められます。ねぎらいを通して、看取りを希望する理由を尋ねる選択肢3が最も適切です。

問題 33

利用者の家族から苦情があったときの上司への報告に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 苦情の内容について,時間をかけて詳しく口頭で報告した。
2 すぐに口頭で概要を報告してから,文書を作成して報告した。
3 結論を伝えることを重視して, 「いつもの苦情です」とすぐに報告した。
4 上司が忙しそうだったので,同僚に伝えた。
5 自分の気持ちが落ち着いてから翌日に報告した。

解答

2

解説

報告はスムーズに行うことが大切ですが、特に、苦情などの悪いニュースは、すぐに報告をすることが求められます。選択肢2が最も適切です。

問題 34

利用者の自宅で行うケアカンファレンス(care conference)に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 検討する内容は,インフォーマルなサポートに限定する。
2 介護福祉職の行った介護に対する批判を中心に進める。
3 利用者本人の参加を促し,利用者の意向をケア方針に反映させる。
4 意見が分かれたときは,多数決で決定する。
5 対立を避けるために,他の専門職の意見には反論しない。

解答

3

解説

本人へカンファレンスへの参加を促し、意向をケア方針に反映させることは、利用者主体の考え方として適切です。選択肢3が正解です。

問題 35

老化に伴う機能低下のある高齢者の住まいに関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 寝室はトイレに近い場所が望ましい。
2 寝室は玄関と別の階にする。
3 夜間の騒音レベルは80dB以下になるようにする。
4 ベッドは照明の真下に配置する。
5 壁紙と手すりは同色にするのが望ましい。

解答

1

解説

老化に伴う機能低下のある高齢者の住まいとして、寝室からトイレの移動距離が短いことは、安全性や快適性、安心感につながります。選択肢1が最も適切です。

問題 36

Lさん(25歳,男性)は,第7胸関節(Th7)を損傷したが,現在,状態は安定していて,車いすを利用すれば1人で日常生活ができるようになった。図はLさんの自宅の浴室であり,必要な手すりは既に設置されている。
 Lさんが1人で浴槽に入るための福祉用具として,最も適切なもの1つ選びなさい。

図ー第34回介護福祉士国家試験より抜粋

1 段差解消機
2 ストレッチャー
3 滑り止めマット
4 四点歩行器
5 移乗台

解答

5

解説

車いすを利用すれば1人で日常生活ができるLさんには、上肢の力を活用して浴槽への出入りができるよう、選択肢5の移乗台が最も適切です。

問題 37

耳の清潔に関する介護福祉職の対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

耳垢じこうの状態を観察した
2 綿棒を外耳道の入口から3cm程度挿入した。
3 耳介を上前方に軽く引きながら,耳垢じこうを除去した。
4 蒸しタオルで耳垢じこう塞栓そくせんを柔らかくして除去した。
5 耳かきを使用して,耳垢じこうを毎日除去した。

解答

1

解説

介護福祉職として、耳垢の状態を確認し、必要に応じて医療職と連携をとります。耳垢塞栓の状態では、耳鼻科への受診が望まれますので、選択肢1が最も適切です。

問題 38

歯ブラシを使用した口腔こうくうケアに関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 歯ブラシの毛は硬いものを勧める。
2 強い力で磨く。
3 歯と歯肉の境目のブラッシングは避ける。
4 歯ブラシを小刻みに動かしながら磨く。
5 使用後の歯ブラシは,柄の部分を上にしてコップに入れて保管する。

解答

4

解説

ブラッシングでは、小刻みに動かしながら磨くことで、歯と歯の間や、歯と歯肉の間の汚れをしっかり落とすことができます。選択肢4が最も適切です。

問題 39

Mさん(84歳,男性)は,10年前に脳梗塞(cerebral infarction)で右片みぎかた麻痺まひになり,右上肢の屈曲拘縮がある。今までは自分で洋服を着ていたが,1週間ほど前から左肩関節の周囲に軽い痛みを感じるようになり,上着の着脱の介護が必要になった。
 Mさんへの上着の着脱の介護に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 服を脱ぐときは,右上肢から脱ぐ。
2 右手首に袖を通すときは,介護福祉職の指先に力を入れて手首をつかむ。
3 右肘関節を伸展するときは,素早く動かす。
4 右肘に袖を通すときは,前腕を下から支える。
5 衣類を準備するときには,かぶり式のものを選択する。

解答

4

解説

麻痺側である右肘に袖を通すときは、前腕を下から支えて保護します。選択肢4が最も適切です。

問題 40

経管栄養を行っている利用者への口腔こうくうケアに関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 スポンジブラシは水を大量に含ませて使用する。
2 上顎部は,口腔こうくうの奥から手前に向かって清拭する。
3 栄養剤注入後すぐに実施する。
口腔内こうくうないを乾燥させて終了する。
5 空腹時の口腔こうくうケアは避ける。

解答

2

解説

上顎部の汚れが喉へ向かわないよう、奥から手前に向かって口腔ケアをします。選択肢2が最も適切です。

問題 41

スライディングボードを用いた,ベッドから車いすへの移乗の介護に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 アームサポートが固定された車いすを準備する。
2 ベッドから車いすへの移乗時には,ベッドを車いすの座面より少し高くする。
3 ベッドと車いすの間を大きくあけ,スライディングボードを設置する。
4 スライディングボード上では,臀部でんぶを素早く移動させる。
5 車いすに座位を安定させ,からだを傾けずにスライディングボードを抜く。

解答

2

解説

スライディングボードを用いた移乗介助では、利用者を持ち上げず、重力を使ってボードの上をすべるように移動します。移乗する先よりも座面を高くする、選択肢2が最も適切です。

問題 42

利用者を仰臥ぎょうが背臥位はいがい)から側臥そくがへ体位変換するとき,トルクの原理を応用した介護方法として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者とベッドの接地面を広くする。
2 利用者の下肢を交差させる。
3 利用者の膝を立てる。
4 滑りやすいシートを利用者の下に敷く。
5 利用者に近づく。

解答

3

解説

身体を小さくまとめると、トルクの原理を活用して小さな力で回転ができます。選択肢3が最も適切です。

問題 43

視覚障害のある利用者の外出に同行するときの支援に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 トイレを使用するときは,トイレ内の情報を提供する。
2 階段を上るときは,利用者の手首を握って誘導する。
3 狭い場所を歩くときは,利用者の後ろに立って誘導する。
4 タクシーに乗るときは,支援者が先に乗って誘導する。
5 駅ではエレベーターよりエスカレーターの使用を勧める。

解答

1

解説

視覚障害のある利用者に、場所の情報を提供することは安全性、安心感につながります。選択肢1が最も適切です。

問題 44

Aさん(78歳,男性,要介護2)は,脳梗塞(cerebralinfarction)の後遺症で嚥下えんげ障害しょうがいがある。自宅で妻と二人暮らしで,訪問介護(ホームヘルプサービス)を週1回利用している。訪問時,妻から,「飲み込みの難しいときがある。上手に食べさせるにはどうしたらよいか」と相談があった。
 訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 食事のときは,いすに浅く座るよう勧める。
2 会話をしながら食事をするように勧める。
3 食事の後に嚥下えんげ体操たいそうをするように勧める。
4 肉,野菜,魚などは軟らかく調理するように勧める。
5 おかずを細かく刻むように勧める。

解答

4

解説

嚥下障害がある利用者が安全に食事をするために、軟らかく調理をした食事は有効です。選択肢4が最も適切となります。

問題 45

慢性腎不全(chronic renal failure)の利用者の食材や調理方法として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 エネルギーの高い植物油を控える。
2 レモンや香辛料を利用し,塩分を控えた味付けにする。
3 肉や魚を多めにする。
4 砂糖を控えた味付けにする。
5 野菜は生でサラダにする。

解答

2

解説

慢性腎不全の利用者は、塩分の排出機能の低下から高血圧につながり、心不全等のリスクが高まります。塩分を控えるために、レモンや香辛料を利用する選択肢2が最も適切です。

問題 46

利用者の食事支援に関して,介護福祉職が連携する職種として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 スプーンや箸がうまく使えないときは,食事動作の訓練を言語聴覚士に依頼する。
咀嚼そしゃく障害しょうがいがあるときは,義歯の調整を作業療法士に依頼する。
3 座位の保持が困難なときは,体幹訓練を理学療法士に依頼する。
4 摂食・嚥下えんげ障害しょうがいがあるときは,嚥下えんげ訓練くんれんを義肢装具士に依頼する。
5 食べ残しが目立ったときは,献立や調理方法の変更を社会福祉士に依頼する。

解答

3

解説

座位姿勢の訓練として、基本動作能力などの回復や維持を専門とする、理学療法士に依頼することは適切です。選択肢3が正解となります。

問題 47

入浴の介護に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 着替えの衣服は,介護福祉職が選択する。
2 空腹時の入浴は控える。
3 入浴前の水分摂取は控える。
4 食後1時間以内に入浴する。
5 入浴直前の浴槽の湯は,45℃

解答

2

解説

空腹時は、血糖値が下がっており、めまいや立ちくらみが起こるリスクがあります。選択肢2が最も適切です。

問題 48

シャワー浴の介護に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 シャワーの湯温は,介護福祉職よりも先に利用者が確認する。
2 からだ全体にシャワーをかけるときは,上肢から先に行う。
3 利用者が寒さを訴えたときは,熱いシャワーをかける。
4 利用者が陰部を洗うときは,介護福祉職は背部に立って見守る。
5 脱衣室に移動してから.体の水分を拭きとる。

解答

4

解説

利用者の羞恥心への配慮として、選択肢4が最も適切です。

問題 49

 左片ひだりかた麻痺まひのある利用者が,浴槽内から一部介助で立ち上がる方法として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者の左膝を立てて,左のかかと臀部でんぶに引き寄せてもらう。
2 浴槽の底面に両手を置いてもらう。
3 右手で手すりをつかんで前傾姿勢をとり,臀部でんぶを浮かしてもらう。
4 利用者の両腋窩に手を入れて支える。
5 素早く立ち上がるように促す。

解答

3

解説

健側の右手で手すりをつかんでいただき、立ち上がりやすいよう前傾姿勢をとる選択肢3が最も適切です。

問題 50

入浴関連用具の使用方法に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 シャワー用車いすは,段差に注意して移動する。
2 入浴の移乗台は,浴槽よりも高く設定する。
3 浴槽設置式リフトは,の状態で使用する。
4 入浴用介助ベルトは,利用者の胸部に装着する。
5 ストレッチャーで機械浴槽に入るときは,ストレッチャーのベルトを外す。

解答

1

解説

シャワー用車いすでの移動時は、段差に引っかかる衝撃で座位バランスを崩したり、不安感を与えたりする可能性が高いため、選択肢1が最も適切です。

問題 51

便秘の傾向がある高齢者に自然排便を促すための介護として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 朝食を抜くように勧める。
2 油を控えるように勧める。
3 散歩をするように勧める。
4 腰部を冷やすように勧める。
5 就寝前にトイレに座るように勧める。

解答

3

解説

便秘には、適度な運動が有効なため、選択肢3が最も適切です。

問題 52

認知機能の低下による機能性尿失禁で,夜間,トイレではない場所で排尿してしまう利用者への対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 日中,足上げ運動をする。
2 ズボンのゴムひもを緩いものに変える。
膀胱ぼうこう訓練くんれんを行う。
排泄はいせつしてしまう場所に入れないようにする。
5 トイレの照明をつけて,ドアを開けておく。

解答

5

解説

機能性尿失禁とは、トイレの場所がわからない、トイレまでたどり着くことができないことが原因の尿失禁です。トイレの場所をわかりやすくする選択肢5が最も適切です。

問題 53

次の記述のうち,排泄物はいせつぶつで汚れた衣類をタンスに隠してしまう認知症(dementia)の利用者への対応として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 タンスの中に汚れた衣類を入れられる場所を確保する。
2 「汚れた衣類は入れないように」とタンスに貼紙をする。
3 トイレに行くときには,同行して近くで監視する。
4 つなぎ服を勧める。
5 隠すところを見たら,毎回注意する。

解答

1

解説

衛生面への配慮とともに、本人の羞恥心への配慮をした選択肢1が最も適切です。

問題 54

次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする衣類用漂白剤に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 全ての白物の漂白に使用できる。
2 色柄物の漂白に適している。
3 熱湯で薄めて用いる。
4 手指の消毒に適している。
5 衣類の除菌効果がある。

解答

5

解説

次亜塩素酸ナトリウムは、除菌効果があるため、選択肢5が正解です。

問題 55

次の記述のうち,ズボンの裾上げの縫い目が表から目立たない手縫いの方法として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 なみ縫い
2 半返し縫い
3 本返し縫い
4 コの字縫い(コの字を同じ)
5 まつり縫い

解答

5

解説

縫い目が表から目立たない手縫いの方法として、まつり縫いがあります。選択肢5が正解です。

問題 56

心地よい睡眠環境を整備するためのベッドメイキングに関する次の記述のうち.最も適切なもの1つ選びなさい。

1 シーツを外すときは,汚れた面を外側に丸めながら外す。
2 しわを作らないために,シーツの角を対角線の方向に伸ばして整える。
3 袋状の枕カバーの端を入れ込んで使用するときは,布の折り込み側が上になるように置く。
4 掛け毛布はゆるみを作らずにシーツの足元に押し込む。
5 動かしたベッド上の利用者の物品は,使いやすいように位置を変えておく。

解答

2

解説

シーツの角を対角線に伸ばして整えることで、しわのないベッドメイキングをすることができます。選択肢2が最も適切です。

問題 57

夜勤のある施設職員が良質な睡眠をとるための生活習慣に関するつぎの記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 夜勤に入る前には仮眠はとらない。
2 寝る前にスマートフォンでメールをチェックする。
3 朝食と夕食の開始時間を日によって変える。
4 夜勤後の帰宅時にはサングラス(sunglasses)をかけるなど,日光を避けるようにする。
5 休日に寝だめをする。

解答

4

解説

日中の帰宅時に日光を浴びることで、身体が覚醒し、帰宅後の睡眠に支障が出るという理由で、選択肢4を正解としています。

問題 58

Bさん(102歳,女性)は,介護老人福祉施設に入所している。高齢による身体機能の衰えがあり,機能低下の状態が長く続いていた。1週間前から経口摂取が困難になった。1日の大半は目を閉じ,臥床がしょう状態じょうたいが続いている。医師から,「老衰により死期が近い」と診断され,家族は施設で看取りたいと希望している。
 死が極めて近い状態にあるBさんの看取りに必要な情報として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 体重の減少
2 夜間の睡眠時間
3 延命治療の意思
嚥下えんげ可能かのうな食形態
5 呼吸の状態

解答

5

解説

死が極めて近い状態にあるため、最も適切な情報として、選択肢5を正解としています。

(国家試験当日の解答速報では、延命の意思について、改めて情報を確認することは必要と考え、選択肢3を正解としましたが、精査をした結果、介護老人福祉施設での看取りという観点で、「延命治療」は選択肢から外れると考え、選択肢5に修正しました。)

問題 59

介護老人福祉施設における終末期の利用者の家族支援に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 緊急連絡先を1つにすることを提案する。
2 面会を控えるように伝える。
3 死に至る過程で生じる身体的変化を説明する。
4 死後の衣服は浴衣がよいと提案する。
5 亡くなる瞬間に立ち会うことが一番重要だと伝える。

解答

3

解説

家族の不安を軽減するため、死に至る過程で生じる身体の変化を説明する選択肢3は、最も適切です。

問題 60

死亡後の介護に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 死後硬直が見られてから実施する。
2 生前と同じように利用者に声をかけながら介護を行う。
3 義歯を外す。
髭剃りひげそり後はクリーム塗布を控える。
5 両手を組むために手首を包帯でしばる。

解答

2

解説

死亡後の介護(エンゼルケアとも呼ばれる)に関する設問です。生前と同じように声をかけながら介護を行うことは、最後まで利用者の尊厳を守るケアにつながります。選択肢2が最も適切です。

問題 61

介護福祉士が介護過程を展開する意義に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 チームアプローチ(team approach)による介護を提供することができる。
2 直感的な判断をもとに介護を考えることができる。
3 今までの生活から切り離した介護を提供する。
4 介護福祉職が生活を管理するための介護を考えることができる。
5 介護福祉職が実施したい介護を提供する。

解答

1

解説

介護過程を展開し、根拠に基づいた介護を組み立てることで、質の高いチームアプローチによる介護を提供します。選択肢1が最も適切です。

問題62

介護過程における情報収集に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者の日常生活の困難な部分を中心に収集する。
2 利用者との会話は解釈して記載する。
3 他の専門職が記載した記録は直接的な情報として扱う。
4 利用者の生活に対する思いを大切にしながら収集する。
5 情報収集はモニタリング(monitoring)を実施してから行う。

解答

4

解説

利用者の思いを大切にして情報収集をすることは、利用者主体の介護につながります。選択肢4が最も適切です。

問題 63

介護過程における生活課題に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 効率的な支援を提供するために解決するべきこと。
2 利用者が家族の望む生活を送るために解決するべきこと。
3 介護福祉職が実践困難な課題のこと。
4 利用者の生活を改善するために思いついたこと。
5 利用者が望む生活を実現するために解決するべきこと。

解答

5

解説

介護過程における生活課題とは、利用者が望む生活を実現するための課題を指します。選択肢5が最も適切です。

問題 64

介護過程における目標の設定に関する次の記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 長期目標の期間は,1か月程度に設定する。
2 長期目標は,短期目標ごとに設定する。
3 短期目標は,生活全般の課題は解決した状態を表現する。
4 短期目標は,抽象的な内容で表現する。
5 短期目標は,長期目標の達成につながるように設定する。

解答

5

解説

介護過程における目標は、短期目標を達成することが、長期目標の達成につながるように設定します。選択肢5が正解です。

問題 65

介護計画における介護内容に関する記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 利用者の能力よりも介護の効率を重視して決める。
2 業務の都合に応じて介護できるように,時間の設定は省略する。
3 介護するときの注意点についても記載する。
4 利用者の意思よりも介護福祉職の考えを優先して決める。
5 介護福祉職だけが理解できる表現にする。

解答

3

解説

介護計画では、どのような介護を提供するかを記載するため、具体的な注意点についても記載します。選択肢3が最も適切です。

問題 66

Cさん(84歳,女性,要介護3)は,2か月前に自宅で倒れた。脳出血(cerebral hemorrhage)と診断され,後遺症の左片ひだりかた麻痺まひになった。Cさんは自宅での生活を希望している。長男からは,「トイレが自宅でできるようになってから自宅に戻ってほしいとの要望があった。そのため,病院から,リハビリテーションを目的に介護老人保健施設に入所した。

 入所時,Cさんは,「孫と一緒に過ごしたいから,リハビリテーションを頑張りたい」と笑顔で話した。Cさんは,自力での歩行は困難だが,施設内では健側を使って車いすで移動することができる。また,手すりにつかまれば自分で立ち上がれるが,上半身が後ろに傾くため,移乗には介護が必要な状態である。
 入所時に介護福祉職が行うアセスメント(assessment)に関する次の記述のうち,最も優先すべきもの1つ選びなさい。

1 自力で歩行ができるのかを確認する。
排泄はいせつに関連した動作について確認する。
3 孫と面会する頻度について希望を聞く。
4 リクライニング車いすの活用について尋ねる。
5 住宅改修に必要な資金があるのかを確認する。

解答

2

解説

長男より「トイレが自宅でできるようになってから自宅に戻ってほしい」との要望があり、Cさんは「リハビリテーションを頑張りたい」と話しているため、選択肢2が最も適切です。

次の事例を読んで,問題67,問題68について答えなさい。

〔事 例〕

 Dさん(73歳,女性,要介護2)は,認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。

 入居後,本人の同意のもとに短期目標を,「食事の準備に参加する」と設定し,順調に経過していた。ある日,Dさんが夕食の準備に来なかった。翌日,担当する介護福祉職が居室を訪ねて理由を聞くと,「盛り付けの見た目が・・・」と小声で言った。

 当日のDさんの記録を見ると,「お茶を配ると席に座ったが,すぐに立ち上がり,料理を皿に盛りつけるEさんの手元を見ていた」「配膳された料理を見て,ため息をついた」とあった。その後.食事の準備には参加していないが,早く来て様子を見ている。また,食事中は談笑し,食事も完食している。

 以上のことから再アセスメントを行うことになった。

問題 67

Dさんの再アセスメントに関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 お茶を配る能力について分析する。
2 ため息の意味を料理の味が悪いと解釈する。
3 早く来て様子を見ている理由を分析する。
4 安心して食事ができているかを分析する。
5 Eさんに料理の盛り付けを学びたいと解釈する。

解答

3

解説

Dさんが「盛り付けの見た目が・・・」と小声で言っており、盛り付けについて気になっている可能性が考えられるため、選択肢3が最も適切です。

問題 68

カンファレンス(conference)が開かれ,Dさんの支援について検討することをになった。Dさんを担当する介護福祉職が提案する内容として最も優先すべきもの1つ選びなさい。

1 食器の満足度を調べること。
2 昼食時だけでも計画を継続すること。
3 居室での食事に変更すること。
4 食事の準備の役割を見直すこと。
5 食事以外の短期目標を設定すること。

解答

4

解説

他利用者のEさんの食事準備について、Dさんが気にしている様子がみられるため、選択肢4が最も適切です。

問題 69

愛着行動に関する次の記述のうち,ストレンジ・シチュエーション法における安定型の愛着行動として,適切なもの1つ選びなさい。

1 養育者がいないと不安な様子になり,再会すると安心して再び遊び始める。
2 養育者がいないと不安な様子になり,再会すると接近して怒りを示す。
3 養育者がいないと不安な様子になり,再会すると関心を示さずに遊んでいる。
4 養育者がいなくても不安な様子にならず,再会すると関心を示さずに遊んでいる。
5 養育者がいなくても不安な様子にならず,再会すると喜んで遊び続ける。

解答

1

解説

子どもの発達に関する問題です。安定型の愛着行動については、選択肢1が記述の通りとなり正解です。

問題 70

乳幼児期の言語発達に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 生後6か月ごろに初語を発するようになる。
2 1歳ごろに喃語なんごを発するようになる。
3 1歳半ごろに語彙爆発が起きる。
4 2歳半ごろに一語文を話すようになる。
5 3歳ごろに二語文を話すようになる。

解答

3

解説

初語とは、最初に発する言葉で、1歳前後にみられます。喃語とは、意味を伴わない声で、生後6ヵ月頃にみられます。一語文は1歳~1歳半ごろ、二語文は1歳半~2歳ごろにみられます。選択肢3が最も適切です。

問題 71

2019年(平成31年,令和元年)における,我が国の寿命と死因に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 健康寿命は,平均寿命よりも長い。
2 人口全体の死因順位では,老衰が悪性新生物より上位である。
3 人口全体の死因で最も多いのは,脳血管障害(cerebrovascular disorder)である。
4 平均寿命は,男女とも75歳未満である。
5. 90歳女性の平均余命は,5年以上である。

解答

5

解説

90歳女性の平均余命は5.92年のため、選択肢5が正解です。

問題 72

Aさん(87歳,女性,要介護3)は,2週間前に介護老人福祉施設に入所した。Aさんにはパーキンソン病(Parkinson disease)があり,入所後に転倒したことがあった。介護職員は頻繁に,「危ないから車いすに座っていてくださいね」と声をかけていた。Aさんは徐々に自分でできることも介護職員に依存し,着替えも手伝ってほしいと訴えるようになった。
 Aさんに生じている適応(防御)機制として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 投影
2 退行
3 攻撃
4 抑圧
5 昇華

解答

2

解説

自分でできることを介護職員に依存し、着替えを手伝ってほしいと訴えるようになったという記述から、選択肢2が最も適切です。

問題 73

記憶に関する次の記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 エピソード記憶は,短期記憶に分類される。
2 意味記憶は,言葉の意味などに関する記憶である。
3 手続き記憶は,過去の出来事に関する記憶である。
4 エピソード記憶は,老化に影響されにくい。
5 意味記憶は,老化に影響されやすい。

解答

2

解説

意味記憶とは、長期記憶の陳述記憶に分類され、言葉の意味などに関する記憶をいいます。選択肢2が正解です。

問題 74

老化に伴う感覚機能や認知機能の変化に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 大きな声で話しかけられても,かえって聞こえにくいことがある。
2 会話をしながら運転するほうが,安全に運転できるようになる。
3 白と黄色よりも,白と赤の区別がつきにくくなる。
4 低い声よりも,高い声の方が聞き取りやすくなる。
5 薄暗い部屋のほうが,細かい作業をしやすくなる。

解答

1

解説

老化に伴うからだの変化に関する問題です。選択肢1が記述の通りとなり、最も適切です。

問題 75

高齢者の睡眠に関する記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 午前中の遅い時間まで眠ることが多い。
2 刺激を与えても起きないような深い睡眠が多い。
3 睡眠障害を自覚することは少ない。
4 不眠の原因の1つはメラトニン(melatonin)の減少である。
5 高齢者の睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)の発生頻度は,若年者よりも低い。

解答

4

解説

睡眠に作用するホルモンであるメラトニンは、加齢とともに分泌量が減少します。選択肢4が正解です。

問題 76

高齢者の肺炎(pneumonia)に関する記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 意識障害になることはない。
2 体温が37.5℃未満であれば肺炎(pneumonia)ではない。
3 頻呼吸になることは,まれである。
4 誤嚥により肺炎(pneumonia)を起こしやすい。
せきたんなどを伴うことは,まれである。

解答

4

解説

高齢者は、誤嚥性肺炎を起こしやすいため、選択肢4が正解です。

問題 77

認知症ケアにおける「ひもときシート」に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 「ひもときシート」では,最初に分析的理解を行う。
2 認知症(dementia)の人の言動を介護者側の視点でとらえる。
3 言動の背景要因を分析して認知症(dementia)の人を理解するためのツールである。
4 評価的理解では,潜在的なニーズを重視する。
5 共感的理解では,8つの要因で言動を分析する。

解答

3

解説

「ひもときシート」は、本人を中心とした思考によって、課題解決に導こうとするツールです。選択肢3が最も適切です。

問題 78

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の幻想の特徴に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 幻想の内容はあいまいではっきりしない。
2 睡眠中でも幻視が生じる。
3 本人は説明されても幻視という認識ができない。
4 薄暗い部屋を明るくすると幻視が消えることがある。
5 抗精神病薬による治療が行われることが多い。

解答

4

解説

薄暗く、見えづらい環境では、不安やストレスを感じやすくなり、幻視が起こることが多いため、選択肢4が最も適切です。

問題 79

軽度認知障害(mild cognitive impairment)に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 本人や家族から記憶低下の訴えがあることが多い。
2 診断された人の約半数がその後1年の間に認知症(dementia)になる。
3 CDR(clinical Dementia Rating)のスコアが2である。
4 日常生活能力が低下している。
5 治療には, 主に抗認知症薬が用いられる。

解答

1

解説

軽度認知障害とは、主な症状に物忘れがあるが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態をいいます。選択肢1が最も適切です。

問題 80

若年性認知症(dementia with early onset)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 75歳未満に発症する認知症(dementia)である。
2 高齢者の認知症(dementia)よりも進行は緩やかである。
3 早期発見・早期対応しやすい。
4 原因で最も多いのはレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)である。
5 不安や抑うつを伴うことが多い。

解答

5

解説

65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といいます。年齢的に、学業や仕事、子育てなどにも大きく関わるため、不安や抑うつを伴うことが多いとされています。選択肢5が最も適切です。

問題 81

認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に対する抗精神病薬を用いた薬物療法でよくみられる副作用として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 歩幅が広くなる。
誤嚥ごえんのリスクが高くなる。
3 過剰に活動的になる。
4 筋肉の緊張が緩む。
5 怒りっぽくなる。

解答

2

解説

抗精神病薬の副作用として、眠気や口の渇きなどがあり、誤嚥のリスク高くなるといえます。選択肢2が最も適切です。

問題 82

軽度の認知症(dementia)の人に,日付,季節,天気,場所などの情報をふだんの会話の中で伝えて認識してもらう認知症ケアとして,正しいもの1つ選びなさい。

1 ライフレビュー(life review)
2 リアリティ・オリエンテーション(reality orientation)
3 バリデーション(validation)
4 アクティビティ・ケア(activity care)
5 タッチング(touching)

解答

2

解説

問題文の説明は、リアリティ・オリエンテーションの記述となり、選択肢2が正解です。

問題 83

Bさん(86歳,女性)は,中等度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。短期入所生活介護(ショートステイ)の利用を始めた日の翌朝,両手に便が付着した状態でベッドに座っていた。
 Bさんへの声かけとして,適切なもの1つ選びなさい。

1 「臭いからきれいにします」
2 「汚い便が手についています」
3 「ここはトイレではありません」
4 「手を洗いましょう」
5 「こんなに汚れて困ります」

解答

4

解説

安全面、清潔面を考慮しつつ、本人の尊厳を守る対応が求められます。選択肢4が正解です。

問題 84

Cさん(80歳,女性)は夫(85歳)と二人暮らしである。1年ほど前から記憶障害があり,最近,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。探し物が増え,財布や保険証を見つけられないと,「泥棒が入った,警察に連絡して」と訴えるようになった。「泥棒なんて入ってない」と警察を呼ばずにいると,Cさんがますます興奮するので,夫は対応に困っている。
 夫から相談を受けた介護福祉職の助言として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 「主治医に興奮を抑える薬の相談をしてみてはどうですか」
2 「施設入所を検討してはどうですか」
3 「Cさんと一緒に探してみてはどうですか?」
4 「Cさんの希望通り,警察に通報してはどうですか」
5 「Cさんに認知症(dementia)であることを説明してはどうですか」

解答

3

解説

本人の訴えを否定せず、本人の物語に参加する対応を家族に助言している選択肢3が最も適切です。

問題 85

認知症(dementia)の人に配慮した施設の生活環境として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 いつも安心感をもってもらえるように接する。
2 私物は本人の見えないところに片付ける。
3 毎日新しい生活体験をしてもらう。
4 壁の色と同系色の表示を使用する。
5 日中は1人で過ごしてもらう。

解答

1

解説

安心感をもって過ごしていただくことは大切です。選択肢1が最も適切です。

問題 86

認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 自宅ではない場所で家族から生活の様子を聞く。
2 チーム員には医師が含まれる。
3 初回の訪問時にアセスメント(assessment)は不要である。
4 介護福祉士は,認知症初期集中支援チーム員研修を受講しなくてもチームに参加できる。
5 認知症疾患医療センター受診後に,チームが対応方法を決定する。

解答

2

解説

認知症初期集中支援チームは、専門医、医療と介護の専門職で構成されるチームです。認知症初期の支援を、包括的、集中的に行い、自立生活のサポートを行います。選択肢2が最も適切です。

問題 87

障害者の法的定義に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 身体障害者福祉法における身体障害者は,身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上のものをいう。
2 知的障害者は,知的障害者福祉法に定義されている。
3 「精神保健福祉法」における精神障害者には,知的障害者が含まれていない。
4 障害者基本法において発達障害者は,精神障害者に含まれていない。
5 障害児は,障害者基本法に定義されている。

(注)「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

解答

1

解説

選択肢1が記述のとおり正解です。

問題 88

半側空間無視に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 食事のとき,認識できない片側に食べ残しがみられる。
2 半盲に対するものと介護方法は同じである。
3 失行の1つである。
4 本人は半側空間無視について気付いている。
5 認識できない片側へ向かってまっすぐに歩ける。

解答

1

解説

半側空間無視では、片側の認識力が低下することから、片側の食べ残しに気づかず食事を終えられることがあります。選択肢1が最も適切です。

問題 89

Dさん(35歳,男性)は重度の知的障害があり,地元の施設入所支援を利用している。Dさんの友人Eさんは,以前に同じ施設入所支援を利用していて,現在は共同生活援助(グループホーム)で暮らしている。Dさんは,共同生活援助(グループホーム)で生活するEさんの様子を見て,その生活に関心をもったようである。施設の職員は,Dさんの共同生活援助(グループホーム)での生活は,適切な援助を受ければ可能であると考えている。一方,Dさんの母親は,親亡き後の不安から施設入所支援を継続させたいと思っている。
 介護福祉職が現時点で行うDさんへの意思決定支援として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 母親の意思を,本人に伝える。
2 共同生活援助(グループホーム)の生活について話し合う。
3 介護福祉職の考えを本人に伝える。
4 具体的な選択肢を用意し,選んでもらう。
5 地域生活のリスクについて説明する。

解答

2

解説

共同生活援助(グループホーム)での生活に関心をもっている様子のDさんと話し合い、意思決定支援をする、選択肢2が最も適切です。

問題 90

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)では出現しにくい症状として,適切なもの1つ選びなさい。

1 四肢の運動障害
2 構音障害
嚥下えんげ障害しょうがい
4 感覚障害
5 呼吸障害

解答

4

解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉を動かし、運動をつかさどる神経が障害をうける難病です。体の感覚、視力や聴力、内臓機能などは保たれるため、選択肢4が適切です。

問題 91

Fさん(21歳,男性)は,交通事故によるけいずい損傷そんしょう(cervical cord injury)で重度の四肢しし麻痺まひになった。最近はリハビリテーションに取り組まず,周囲の人に感情をぶつけ強くあたるようになった。
 介護福祉職の対応に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 歩けるようになるために,あきらめずに機能訓練をするように支援する。
2 トラブルが起きないように,Fさんには近寄らないようにする。
3 生活態度を改めるように,Fさんに厳しく注意する。
4 自分でできることに目を向けられるように,Fさんを支援する。
5 障害が重いので,Fさんのできることも手伝うようにする。

解答

4

解説

Fさんの自立支援として、選択肢4が最も適切です。

問題 92

Gさんはパーキンソン病(Parkinson disease)と診断され,薬物療法が開始されている。立位で重心が傾き,歩行中に停止することや向きを変えることが困難である。
 Gさんのこの症状を表現するものとして,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 安静時振戦
2 筋固縮
3 無動
4 寡動
5 姿勢保持障害

解答

5

解説

姿勢保持障害とは、姿勢をまっすぐに保つことができない、歩行動作が止められずに突進歩行になるなどの障害をいいます。問題文の記述から、選択肢5が最も適切です。

問題 93

障害者への理解を深めるために有効なアセスメントツールの1つであるエコマップが表すものとして,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 家族との関係
2 社会との相関関係
3 認知機能
4 昨日の自立度
5 日常生活動作

解答

2

解説

選択肢1は、ジェノグラムについての記述です。問題文の記述は、選択肢2が最も適切です。

問題 94

「障害者総合支援法」で定める協議会に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 当事者・家族以外の専門家で構成する。
2 療育手帳を交付する。
3 相談支援専門員を配置しなければならない。
4 国が設置する。
5 地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行う。

(注)「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

解答

5

解説

選択肢5が、「障害者総合支援法」で定める協議会についての記述となり正解です。

問題 95

障害者が障害福祉サービスを利用するために相談支援専門員が作成する計画として,正しいもの1つ選びなさい。

1 地域福祉計画
2 個別支援計画
3 サービス等利用計画
4 障害福祉計画
5 介護サービス計画

解答

3

解説

サービス等利用計画は、介護保険サービスで介護支援専門員が作成するケアプランに近いものです。相談支援専門員が作成するものとしては、選択肢3が正解です。

問題 96

Hさん(45歳,男性)は,脳梗塞(cerebral infarction)を発症して半年間入院した。退院してからは,障害者支援施設に入所して自立訓練を受けている。2か月ほど過ぎたが,右片みぎかた麻痺まひと言語障害が残っている。妻のJさん(35歳)はパート勤務で,小学3年生の子どもがいて,将来が見えずに不安な気持ちである。
 家族に対する介護福祉職の支援として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 家族の不安な気持ちに寄り添い,今の課題を一緒に整理し考えていく。
2. Jさんの気持ちを最優先して方向性を決める。
3 訓練の様子を伝えるために,頻繁にJさんに施設に来てもらう。
4 家族が困っているので専門職主導で方向性を決める。
5 レスパイトケアを勧める。

解答

1

解説

家族の気持ちに寄り添い、一緒に考えていく姿勢は、介護福祉職として大切ですので、選択肢1が最も適切です。

問題 97

Kさん(83歳,女性,要介護1)は,3年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)と診断された。一人暮らしで訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。金銭管理は困難であり,長男が行っている。
 最近,認知症(dementia)の症状がさらに進み,訪問介護員(ホームヘルパー)がKさんの自宅を訪問すると,「通帳を長男の嫁が持って行ってしまった」と繰り返し訴えるようになった。
 考えられるKさんの症状として,適切なもの1つ選びなさい。

1 もの盗られ妄想
2 心気妄想
3 貧困妄想
4 罪業妄想
5 嫉妬妄想

解答

1

解説

「通帳を長男の嫁が持って行ってしまった」と繰り返し訴えているという記述から、選択肢1が適切です。

問題 98

Lさん(87歳,男性,要介護1)は,冷房が嫌いで,部屋にエアコンはない。ある夏の日の午後,訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると,厚手の布団を掛けて眠っていた。布団を取ると大量の発汗があり,体温を測定すると38.5℃であった。朝から水分しか摂取していないという。前から不眠があり,この5日間便秘が続いていたが,食欲はあったとのことである。
 次のうち,体温が上昇した原因として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 布団
2 発汗
3 空腹
4 不眠
5 便秘

解答

1

解説

夏の午後に冷房をつけていない部屋で、厚手の布団をかけていたという記述から、選択肢1が最も適切です。

問題 99

老化に伴う視覚機能の変化に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 水晶体が茶色になる。
2 遠くのものが見えやすくなる。
3 明暗に順応する時間が長くなる。
4 ピントの調節が速くなる。
5 涙の量が増える。

解答

3

解説

暗いところから明るいところに移った際に、目が慣れることを明順応、明るいところから暗いところに移った際に、目が慣れることを暗順応といいます。老化に伴い、見えるようになる時間が長くかかるため選択肢3が最も適切です。

問題 100

言葉の発音が不明瞭になる原因として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 唾液の分泌が増加すること
2 舌運動が活発化すること
3 口角が上がること
4 調整された義歯を使用すること
5 口唇が閉じにくくなること

解答

5

解説

口唇が閉じにくくなると、言葉をはっきり話すことが難しくなるため、選択肢5が最も適切です。

問題 101

骨に関する次の記述のうち,正しいもの1つ選びなさい。

1 骨にたんぱく質が含まれている。
2 骨のカルシウム(Ca)は老化に伴い増える。
3 骨は負荷がかかるほうが弱くなる。
4 骨は骨芽細胞によって壊される。
5 骨のカルシウム(Ca)はビタミンA(vitamin A)によって吸収が促進される。

解答

1

解説

骨の主成分は、カルシウムとたんぱく質です。選択肢1が正解です。

問題 102

介護者が効率的かつ安全に介護を行うためのボディメカニクスの原則に関する次の記述のうち,適切なもの1つ選びなさい。

1 支持基底面を広くする。
2 利用者の重心を遠ざける。
3 腰がねじれた姿勢をとる。
4 重心を高くする。
5 移動時の摩擦面を大きくする。

解答

1

解説

介護職が安全に介護を行うため、ボディメカニクスの活用は重要です。選択肢1が正解です。

問題 103

次のうち,三大栄養素に該当する成分として,正しいものを1つ選びなさい。

1 水分
2 炭水化物
3 ビタミン(vitamin)
4 ナトリウム(Na)
5 カルシウム(Ca)

解答

2

解説

三大栄養素とは、炭水化物、たんぱく質、脂質の3つをいいます。選択肢2が正解です。

問題 104

コントロール不良の糖尿病(diabetes mellitus)で高血糖時にみられる症状として,適切なもの1つ選びなさい。

1 振戦
2 発汗
3 口渇
4 乏尿
5 動悸

解答

3

解説

高血糖症状には、口渇、多飲、多尿、体重減少、疲労感などがあります。選択肢3が正解です。

問題 105

Mさん(85歳,男性)は,通所介護(デイサービス)での入浴を楽しみにしていて,いつも時間をかけて湯につかっている。ある時,介護福祉職が,「そろそろあがりましょうか」と声をかけると,浴槽から急に立ち上がりふらついてしまった。
 Mさんがふらついた原因として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 体温の上昇
2 呼吸数の増加
3 心拍数の増加
4 動脈血酸素飽和度の低下
5 血圧の低下

解答

解説

時間をかけて湯につかることで、副交感神経の働きで血圧が低下し、更に立ち上がった際に起立性低血圧によりふらついたと考えられます。選択肢5が最も適切です。

問題 106

次のうち,ブリストル便性状スケールの普通便に該当するものとして,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 水様便
2 硬い便
3 泥状便
4 コロコロ便
5 やや軟らかい便

解答

解説

選択肢5の記述の通りです。

問題 107

Aさん(65歳,女性)は,最近,熟睡できないと訴えている。Aさんの日常生活は,毎日6時に起床し,午前中は家事を行い,14時から20分の昼寝をし,16時から30分の散歩をしている。食事は朝食7時,昼食12時,夕食18時にとり,朝食のときはコーヒーを1杯飲む。21時に好きな音楽を聴きながら,夜食を満腹になる程度に食べ,21時30分に就寝している。
 Aさんの訴えに対して,日常生活で改善する必要があるものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 朝食のコーヒー
2 昼寝
3 散歩
4 音楽を聴くこと
5 就寝前の夜

解答

解説

眠る前に食事をすると、消化器官に負担がかかり、睡眠の質が低下します。夜食を満腹になる程度に食べるという記述から、選択肢5が最も適切です。

問題 108

Bさん(76歳,女性)は,病気はなく散歩が日課である。肺がん(lung cancer)の夫を長年介護し,数カ月前に自宅で看取った。その体験から,死期の迫った段階では延命を目的とした治療は受けずに,自然な最期を迎えたいと願っている。
 Bさんが希望する死の用語として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 脳死
2 突然死
3 尊厳死
4 積極的安楽死
5 心臓死

解答

解説

延命を目的とした治療は受けず、自然な最期を迎えることを尊厳死といいます。選択肢3が最も適切です。

問題 109

社会福祉士及び介護福祉士法で規定されている介護福祉士が実施できる経管栄養の行為として,正しいもの1つ選びなさい。

1 栄養剤の種類の変更
2 栄養剤の注入速度の決定
3 経鼻経管栄養チューブの胃内への留置
4 栄養剤の注入
5 胃ろうカテーテルの定期交換

解答

解説

選択肢4以外は、医療職が実施する行為です。

問題 110

気管カニューレ内部の喀痰かくたん吸引きゅういんで,指示された吸引時間よりも長くなった場合,吸引後に注意すべき項目として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 体温
2 血糖値
3 動脈血酸素飽和度
4 痰の色
5 唾液の量

解答

解説

動脈血酸素飽和度は、血液(動脈血)の中を流れている赤血球に含まれるヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかの値です。値が低い場合は、十分な酸素が足りていない可能性があるため、適切な対応が必要となります。選択肢3が最も適切です。

問題 111

呼吸器官の換気とガス交換に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 換気とは,体外から二酸化炭素を取り込み,体外に酸素を排出する働きをいう。
2 呼吸運動は,主として大胸筋によって行われる。
3 1回に吸い込める空気の量は,年齢とともに増加する。
4 ガス交換は,肺胞内の空気と血液の間で行われる。
5 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)では,主にガス交換の働きが低下する。

解答

4

解説

換気とは、空気を吸ったり吐いたりすることをいいます。ガス交換とは、肺胞と毛細血管で行われる外呼吸と、血液と組織細胞の間、あるいは細胞内での内呼吸のことをいいます。選択肢4が最も適切です。

問題 112

経管栄養で用いる半固形タイプの栄養剤の特徴に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 経鼻経管栄養法に適している。
2 液状タイプと同じ粘稠度ねんちゅうどである。
3 食道への逆流を改善することが期待できる。
仰臥ぎょうが背臥位はいがい)で注入する。
5 注入時間は,液状タイプより長い。

解答

3

解説

液状タイプの栄養剤と比べ、半固形タイプの栄養剤は粘性があるため、食道への逆流を改善することが期待できます。選択肢3が最も適切です。

問題 113

経管栄養で,栄養剤の注入後に白湯を経管栄養チューブに注入する理由として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 チューブ内を消毒する。
2 チューブ内の栄養剤を洗い流す。
3 水分を補給する。
4 胃内を温める。
5 栄養剤の濃度を調節する。

解答

2

解説

衛生面への留意点として、チューブ内に栄養剤が残らないよう、栄養剤の注入後に白湯を注入します。選択肢2が最も適切です。

総合問題

(総合問題1)

次の事例を読んで,問題114から問題116までについて答えなさい。

〔事 例〕

Cさん(83歳,女性)は,一人暮らしで,近所に買い物に行く以外はテレビを見て過ごしている。近県に息子がいるが,仕事が忙しく,会いにくることはあまりなかった。

 ある日,息子が久しぶりに訪問すると,部屋の中がごみや衣類などで散らかっていた。病院を受診するとCさんはアルツハイマー型認知症(dementia of Alzheimer’s type)と診断され,要介護1と認定された。

 Cさんは,時々,電気湯沸しポットの使い方が分からなくなって湯が出せなかったり,お茶を入れる順番が分からずに混乱する様子が見られた。

 心配した息子は,介護保険サービスを利用することにした。後日,介護支援専門員(ケアマネジャー)が訪問し,介護保険サービスの利用についてCさんや息子と話し合った。週2回,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになり,介護支援専門員(ケアマネジャー)は,「自宅で,衛生的な生活ができる」をケアプランの長期目標とした。

問題 114

Cさんを担当する訪問介護員(ホームヘルパー)は,サービス提供責任者とともに訪問介護計画書を作成することになった。

 次の記述の中で,短期目標として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 掃除機を利用して,1人で掃除をすることができるようになる。
2 電気湯沸しポットを使い,1人でお茶を入れることができるようになる。
3 Cさんの残存機能に着目して支援する。
4 週2回,息子にCさんの自宅を訪問してもらう。
5 訪問介護員(ホームヘルパー)と一緒に掃除をすることができるようになる。

解答

5

解説

「自宅で、衛生的な生活ができる」というケアプランの長期目標と、Cさんの状態をアセスメントすると、選択肢5が最も適切です。

問題 115

Cさんは,たびたび息子に電気湯沸しポットが壊れていると訴えるようになった。

 Cさんのこのような状態に該当する者として,適切なもの1つ選びなさい。

1 空間認知障害
2 視覚認知障害
3 遂行機能障害
4 失認
5 観念運動失行

解答

3

解説

Cさんの、電気湯沸かしポットが壊れているという訴えから、電気湯沸かしポット自体は認識できていると考えられる。順序立てて物事を進められない障害である、選択肢3が適切です。

問題 116

Cさんの家に訪問介護員(ホームヘルパー)が通い始めて数か月が経過した頃,Cさんの息子から訪問介護員(ホームヘルパー)に以下の希望が挙げられた。

 介護保険で対応可能な支援として,適切なものを1つ選びなさい。

1 Cさんと息子が出かけている間に洗濯物を取り込む。
2 Cさんの処方薬を薬局で受け取る。
3 地域のお祭りにCさんと行く。
4 Cさんの部屋の壁紙を張り替える。
5 訪ねて来た親戚にお茶を入れる。

解答

2

解説

訪問介護の生活援助で受けられるサポートに、薬の受け取りがあります。選択肢2が適切です。

(総合問題2)

次の事例を読んで,問題117から問題119までについえ答えなさい。

〔事 例〕

Dさん(70歳,男性)は,19歳のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し,入退院を繰り返しながら両親と一緒に生活してきた。両親が亡くなったことをきっかけとして不安に襲われ,妄想や幻聴の症状が強く現れるようになった。そのため,兄に付き添われて精神科病院を受診し,医療保護入院となった。

現在は,入院から3年が経過し,陽性症状はほとんどなく病棟で日中はレクリエーションに参加するなど落ち着いて生活している。

問題 117

Dさんが3年前に入院した医療保護入院の制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 Dさんの同意による入院
2 精神保健指定医2名以上の診察の結果が,入院させなければ自傷他害の恐れがあると一致した場合の入院
3 精神保健指定医1名が診察し,入院させなければ自傷他害の恐れがあると判断した場合,72時間以内に制限した入院
4 精神保健指定医1名が診察し,Dさんの同意が得られず,さらに家族等1名の同意がある入院
5 精神保健指定医1名が診察し,Dさんの同意が得られず,さらに家族等の同意が得られないため72時間以内に制限した入院

解答

4

解説

医療保護入院とは、自傷他害の恐れがないが、入院を必要とする精神障害者で、本院の同意が得られない場合の制度です。選択肢4の記述が正解です。

問題 118

1年前からDさんの退院について検討が行われてきた。Dさんは退院後の生活に対する不安があり,「帰る家がない」,「顔見知りの患者や職員がいるのでここを離れたくない」と退院には消極的であった。しかし,Dさんと仲のよい患者が,退院し施設入所したことをきっかけに退院を考えるようになった。

 Dさんは,整容,入浴,排泄はいせつ,食事,移動は見守りがあればできる。また,介護福祉職の助言を受ければ,日用品などを買うことはできる。経済状況は,障害基礎年金2級と生活保護を受給している。要介護認定を受けたところ,要介護1と認定された。

 Dさんの退院先の候補になる施設として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 養護老人ホーム
2 老人福祉センター
3 更生施設
4 地域生活定着支援センター
5 介護老人福祉施設

解答

1

解説

整容、入浴、排泄、食事、移動は見守りがあればできるという記述、生活保護を受給しているという記述から、選択肢1が最も適切です。養護老人ホームは要介護度が高いと入所ができませんが、要介護1で常に介護の必要がないため、候補として適切です。

問題 119

Dさんは施設への入所が決まり,うれしそうに退院の準備をするようになった。ある夜,1人で荷物の整理をしていたときに転んでしまい,顔を強打して大きなあざができた。後遺症はないことがわかったが,Dさんは自信をなくし,介護福祉職に「これでは施設も自分を受け入れてくれないだろう」と言い,「施設入所がうれしくて早く準備がしたかった」と話した。

 そばに寄り添い,Dさんの話を聴き終えた介護福祉職が,「施設入所がうれしくて、早く準備をしたかったのですね」というと,Dさんは「退院を諦めていたけど,自分にも暮らせる場所があると思った」とやりたいことや夢を語り出した。

 介護福祉職が行ったコミュニケーション技術として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 あいづち
2 言い換え
3 要約
4 繰り返し
5 閉じられた質問

解答

4

解説

Dさんの話をしっかりと聴いて理解したことを感じてもらうため、繰り返しのコミュニケーション技術を用いています。選択肢4が最も適切です。

(総合問題3)

次の事例を読んで,問題120から問題122までについて答えなさい。

〔事 例〕

 Eさん(35歳,男性)は,1年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis : ALS)と診断された。当初の症状としては,ろれつが回らず,食べ物の飲み込みが悪くなり,体重の減少がみられた。

 その後,Eさんの症状は進行し,同居している両親から介護を受けて生活をしていたが,両親の介護負担が大きくなったため,障害福祉サービスを利用することになった。障害支援区分の認定をうけたところ,障害支援区分3になった。Eさんは訪問介護員(ホームヘルパー)から食事や入浴の介護を受けて自宅で生活をしている。

問題 120

Eさんが病院を受診するきっかけになった症状に該当するものとして,最も適切なもの1つ選びなさい。

対麻痺ついまひ
たん麻痺まひ
きゅう麻痺まひ
4 安静時振戦
間欠性かんけつせい跛行はこう

解答

3

解説

球麻痺とは、口、舌、喉の運動障害によって起こる症状です。ろれつが回らず、食べ物の飲み込みが悪くなったという記述から、選択肢3が最も適切です

問題 121

ある日,Eさんの自宅を訪問した訪問介護員(ホームヘルパー)は,Eさんの両親から,「これまでEは話をするのが難しく,筆談で意思を聞いてきたが,ペンを持つのが難しくなってきた」と聞いた。確かにEさんは,発話や字を書くことは困難な様子だが,目はよく動いている。

 次のうち,今後,Eさんが家族とコミュニケーションをとるときに使うことのできる道具として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 ホワイトボード
2 絵や写真
3 透明文字盤
4 拡声器
5 補聴器

解答

3

解説

発話や字を書くことは困難な様子だが、目はよく動いているという記述から、文字を見つめてもらうことでコミュニケーションを図る、選択肢3が最も適切です

問題 122

3年後,Eさんの症状はさらに進行し,障害支援区分6になった。Eさんはこれまで通り,自宅での生活を希望し,Eさんの両親は障害福祉サービスを利用しながら最期まで自宅でEさんの介護を行うことを希望している。
 Eさんと両親の希望の実現に向けて,現在の状態からEさんが利用するサービスとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 育成医療
2 就労定着支援
3 共同生活援助
4 行動援護
5 重度訪問介護

解答

5

解説

最期まで自宅でEさんの介護を行うことを希望しているという記述から、選択肢5が最も適切です。

(総合問題4)

次の事例を読んで,問題123から問題125までについて答えなさい。

〔事 例〕

 Fさん(50歳,女性,障害支援区分5)は,アテトーゼ型(athetosis)の脳性のうせい麻痺まひ(cerebral palsy)による四肢・体幹機能障害がある。居宅介護を利用し,入浴の支援を受けながら母親(79歳)と暮らしていた。Fさんは障害基礎年金1級を受給していて,Fさん名義の貯蓄がある。金銭管理は母親が行っていた。

 Fさんは,3年前に誤嚥ごえんせい肺炎はいえん(aspiration pneumonia)で入院したことがある。言語障害があり,慣れた人でないと言葉が聞き取りにくい。自宅では車いすに乗り,足で床を蹴って移動し,屋外は母親が車いすを押していた。Fさんは自宅内の移動以外の日常生活については,母親から全面的に介護を受けて生活していた。

 最近,日中活動の場と短期入所(ショートステイ)の利用について,市の障がい福祉課に相談するようになった。

 ところが,母親が持病の心疾患(heart disease)で亡くなり,市の障害福祉課がFさんと当面の生活について検討することになった。

 Fさんは1人で生活することは難しいと思い施設入所を希望している。

問題 123

Fさんの脳性のうせい麻痺まひ(cerebral palsy)の特徴に関する次の記述のうち,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 強い筋緊張から,四肢の突っ張りが強い。
2 不随意運動が生じて,運動コントロールが困難になる。
3 文字の読みの不正確さがあり,読んだ内容を理解しにくい。
4 動作は緩慢で,表情が乏しくなる。
5 着衣失行が生じる。

解答

2

解説

アテトーゼ型の脳性麻痺の特徴として、不随意運動があります。選択肢2が最も適切です。

問題 124

Fさんは,障害者支援施設に入所できることになり,アセスメント(assessment)が行われた。

 相談支援専門員は,Fさんの希望をもとに,これまでの生活状況と身体の様子等から,もう少し本人にできることがあるのではないかと考え,「障害者支援施設で施設入所支援と生活介護を利用しながら,将来の生活を考える」という方針を立てた。また,長期目標を,「自分に適した介護を受けながら,様々な生活経験を積む」とした。

 Fさんの短期目標として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 入浴時に自分でからだを洗えるようになる。
2 毎日字を書く練習を行い,筆談で会話ができるようになる。
3 施設内は,車いす介助を受けながら安全に移動する。
4 経管栄養で食事がとれるようになる。
5 日中活動として外出や興味のあるグループ活動に参加する。

解答

5

解説

Fさんの希望をもとに立てた方針と、「自分に適した介護を受けながら、様々な生活経験を積む」という長期目標に沿う、選択肢5が最も適切です。

問題 125

入所してから3か月が経ち,支援の見直しが行われた。

 Fさんは施設生活にも慣れ,相談できる人も増えている。また,「自分でお小遣いを使えるようになりたい」と言い,外出時に必要なお金を介護福祉職と一緒に考えるようになった。将来の地域生活を考えて,社会福祉協議会の金銭管理に切り替えることが検討された。

 Fさんが活用できる社会福祉協議会が行う金銭管理として,最も適切なもの1つ選びなさい。

1 日常生活自立支援事業
2 生活福祉資金
3 自立訓練
4 生活困窮者家計改善支援事業
5 自発的活動支援事業

解答

1

解説

社会福祉協議会が行う金銭管理という記述、「自分でお小遣いを使えるようになりたい」という希望から、選択肢1が最も適切です。

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ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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