身内に外国人がいる、勤務先に外国人の利用者さんが入居しているという方も少なからずいるのではないでしょうか。
身内や施設内に外国人がいる場合、英語で認知症のお話をする機会があるかもしれません。
認知症とは脳の異常・障害などにより、脳の認知機能が低下してしまい、日常生活に支障が出てしまう病気です。
今回は「認知症」は英語でなんというのか、認知症の種類とそれぞれの英語などを紹介します。
認知症を英語で訳すと?
認知症は英語でDementiaといいます。
Dementiaは、日常会話でもよく使われている単語です。
また、医療英語では認知症を重度と軽度の2段階にわけており、それぞれの医療用語が存在しています。
医療用語では、それぞれMajor Neurocognitive Disorder(重度・認知症)とMild Neurocognitive Disorder (軽度認知障害)といいます。
医療用語は日常会話で使うことはあまりないため、医療従事者ではない方との会話で使っても伝わらないことがほとんどです。
しかし医療論文などを書くときは、Dementiaより医療用語を使用します。
認知症の種類とそれぞれの英訳
認知症は、一般的には4種類に分けられています。
- アルツハイマー病
- 血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
次の項目では、それぞれの症状と英語でなんというのか紹介します。
アルツハイマー病
かつてはアルツハイマー型認知症と呼ばれていた病気ですが、現在は「アルツハイマー病」で統一しています。
アルツハイマー病(旧:アルツハイマー型認知症)は認知症の一種ではなく、認知症の原因疾患の一つです。
アルツハイマー病の主な症状は、以下の通りです。
- 新しいことが覚えられない
- 幻覚や妄想
- 記憶障害
- 症状的行動
- 家族や友達を認識できない など
アルツハイマー型認知症は、英語でもAlzheimer dementiaと呼ばれていました。
しかし、アルツハイマー病に統一されてからはAlzheimer’s disease (略:AD)と呼ばれるようになりました。
血管性認知症
血管性認知症は脳梗塞や脳出血などの脳血管の病気が原因で、認知症になった状態をいいます。
血管性認知症の主な症状は、以下の通りです。
- 歩行障害
- 嚥下障害
- 言語障害
- 感情失禁 など
英語では、血管という意味を持つVascularと認知症という意味を持つ
dementiaを組み合わせ、Vascular dementiaと呼ばれています。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体という異常なタンパク質が脳神経細胞に溜まることが原因による認知症をいいます。
レビー小体型認知症の主な症状は、以下の通りです。
- 手足の震え
- 動きが遅くなる
- 独語
- 歩きづらくなる
- 筋肉や関節が固くなる
- 表情が険しくなる
- 姿勢が悪くなる など
英語では、Lewy Body Dimentia(略:LBD)と呼ばれています。
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症は、脳の前方にある前頭葉や側頭葉が萎縮することが原因です。
前頭葉や側頭葉が萎縮する原因は、はっきりと明かされていません。
しかし、脳の神経細胞の中にある「タウ蛋白質」や「TDP-43」という病的タンパク質が関係していることが、最近の研究で明らかになりました。
前頭側頭型認知症の主な症状は以下の通りです。
- 万引きなど反社会的な行動を取る
- 同じ行動を繰り返す
- 同じことを何度も言う
- 無関心、自発性の低下
- 言葉が出にくくなる など
前頭側頭型認知症は英語でFrontotemporal dementia(略:FTD)といいます。
「認知症」を使った英文の例
次に「認知症」を使った英文の例をいくつか紹介します。
英語 | 日本語 |
---|---|
Within the umbrella term “dementia” there are many different kinds of disease. | 「認知症」といっても、さまざまな種類があります。 |
My grandfather was diagnosed with dementia. He will be moving into a nursing home soon. | うちのおじいさんが認知症と診断されました。近いうちに介護施設に入居します。 |
Dementia prevalence is higher among those who are physically disabled. | 認知症の有病率は、身体障害者の方が高い。 |
The most common form of dementia is Alzheimer’s disease. | 認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症です。 |
Alzheimer’s Disease was now widely known and recognized as an incurable disease | アルツハイマー病は、不治の病であることが広く知られるようになりました。 |
However, this relationship is confounded by the effect of age; disability increases with age, as does dementia. | しかし、この関係には年齢の影響があり、障害は年齢とともに増加し、認知症も同様に増加します。 |
認知症に関する英語
次に認知症の特徴や症状などの英語を、対訳表にして紹介します。
認知症の話題になった際や、認知症の症状などを伝える際に参考にしてください。
日本語 | 英語 |
---|---|
物忘れ | Memory Loss |
集中力の低下 | Loss of concentration |
気分の浮き沈み | Mood swings |
介護士 | Caregiver |
介護施設 | Care facility, Care home |
症状 | Symptoms |
せん妄 | Delirium |
幻覚 | Hallucination |
幻聴 | Auditory hallucination |
日常会話で認知症の話をする際は気をつけよう
今回は「認知症」を英語でなんというのか紹介しました。
認知症は英語で「Dementia」といい、医療用語は「Major Neurocognitive Disorder」や「Mild Neurocognitive Disorder」といいます。
なお、認知症は非常にデリケートな話題でもあるため、日常会話で認知症の話をする際は言葉遣いに気をつけましょう。
たとえば、医療用語のMajor Neurocognitive Disorderなどは、日常会話で使っても相手に伝わらないことがほとんどです。
他にも「Dementia」によく似た言葉として「Senile(痴呆症)」がありますが、Senileはマイナスなイメージを持っている方がいるため、使うのは控えましょう。
英語で認知症の話をする際は、今回紹介した注意点もしっかりと踏まえてコミュニケーションを取りましょう!