若年性認知症とは、65歳未満で認知症を発症することを指します。
全国的に若年性認知症と診断を受けた方は約4万人と推定されていて、年々人数は増えているのが現状です。
老化による認知症とは異なり、原因や進行の速度などは様々ですが、若年性認知症は仕事や家庭を持つ人が多く日常生活にも多く影響します。
「高齢者の認知症とは違う、若年性認知症でも介護施設に入れる?」と気になる家族様は多いです。
しかし、本人は自分とは歳が離れている人たちがいる介護施設へ入所することに不安を抱えます。若年性認知症の方に合った施設は少なく、探すことも困難です。なお、若年性認知症の介護サービスは、介護施設の入所だけでなく、日中滞在できるデイサービスもあります。
この記事では、若年性認知症の方に向けた施設の探し方や入所するメリット、デイサービスについても詳しく解説をしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。
若年性認知症は介護施設に入れる?
若年性認知症の方も介護施設に入れます。
40歳以上であれば、介護保険の制度を利用すると費用を抑えて入所が可能です。
特に認知症ケアに特化したグループホーム(認知症対応型共同生活介護)では、必要な介護を受けながら機能訓練も行えます。
もちろん、デイサービスやショートステイなどの施設も利用できます。
どの施設に入るかは、本人の生活スタイルに合った場所を選ぶことが大切です。
老化の認知症と若年性認知症の違い
高齢者の老化による認知症と若年性認知症は、症状や進行速度や原因など様々な違いがあります。
若年性認知症は、若年性アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などが原因です。
若年性認知症はかかる病気によって初期症状に違いがありますが、進行後は気分が不安定になったり、日常生活のミスが増えたりします。
本人や家族様、職場の人からも異変に気づくようになりますが、疲れのせいや老化のせいだと思い込み、診断が遅れることは珍しくありません。
若年性認知症は老化による認知症とは違い、進行のスピードも違うので、異変を感じたらすぐに病院に受診することをオススメします。
若年性認知症の方が介護施設に入るメリット
若年性認知症の方が介護施設に入ることは、不安で躊躇してしまうことがあります。
また、「興味はあるけど一度入所すると出られない」と思い、踏み出せない方も多いことも事実です。
下記では、介護施設に通うことでのメリットについて紹介していきます。
生活介助をしてもらえる
介護施設での1番のメリットは、資格を持った介護士に介助してもらい安心して生活ができることです。
若年性認知症は症状が進行していくと、今までできていたことができなくなります。
日常の生活動作も手伝いが必要になった時に、介護士がそばにいると安心して生活を送ることができます。
加えて転倒による怪我のリスクを減らし、精神的にも安定して過ごせます。介護士の役割は、利用者さんが自分らしく生活を送ってもらうことです。
日常生活でのリスクが減る
介護施設に入所することで、自宅でのケガや急病でのトラブルリスクを減らすことが可能です。
若年性認知症の方は注意力も低下しているので、階段の踏み外しや転倒、一人歩きなどでのトラブルが絶えません。
トラブルが起きた時に近くに人がいないと、自分一人では対応できないときもあります。
バリアフリー設計の施設で快適に過ごせる
近年の介護施設は、バリアフリーの設計が進んでいて快適に日常を過ごすことができます。
古い住居に住まれている方は段差も多く、つまづいて転倒する方も多いです。
設備面や環境面でも一般の住居と比べると、安心して生活を送れる施設が増えました。
介護施設は閉鎖的なイメージを持たれている方が多いですが、住居をリフォームした施設、オシャレな場所も増え、開放的な施設も多くなりました。
高齢者の多いデイサービスに通うことに抵抗がある人もいる
若年性認知症の方も介護施設に入ることは可能です。
しかし、自分より一回りも二回りも年齢が違う方と同じ場所にいることは、精神的に大変で辞める方もいます。
通い続けることが困難な理由は様々ですが、具体的に辞める理由などを紹介していきます。
ギャップの差を埋めることができない
高齢者の方とは世代間のギャップもありコミュニケーションを取るのが難しいことも理由の一つです。
自分の好きなスポーツやテレビなど、趣味の話に没頭したいが自分の趣味と合う人に出会うことは難しいです。
すでに自分が入るグループの輪に入ることができなかったら、友達や仲間がいない疎外感を感じることになります。
逆に大きく歳が離れていると自分の子供のように接してもらえることもあり、穏やかに過ごせる方もいます。
自分にあった活動がやりにくい
若年性認知症の方は仕事を途中で諦めた方が多く、悔やんでいる方が多くいます。
そして、自分で使命感のある仕事を求められている方も少なくはありません。
高齢者向けのデイサービスでは、仕事のような活動ではなく遊びのようなレクレーションが多くなります。
デイサービスでは認知症の症状の進行を防ぐための訓練は少なく、高齢者向けの施設だと行われないこともあります。
そのため、機能維持の訓練を目的に入所された利用者さんは想像と異なる活動のため、通所する意欲が低下しがちです。
プライドの低下
若年性認知症になる人は、40代から50代の社会的地位が高い人も含まれます。
会社を経営されている人や役職に就いている人など、自信に満ち溢れている人もいます。
しかし、若年性認知症になり社会的にも家庭的にもできなくなることが増えて、自己肯定感が低くなる方も多いです。
若年性認知症になり、自分が何のために生きているのかわからなくなり、悩みながら通所をしていると不甲斐なく思う方もいます。
若年性認知症になったときの施設の選び方
若年性認知症になった時は、介護施設の選び方について悩む方も多くいます。
施設に通うことで自己肯定感が下がることもあるので、選び方には注意が必要です。
地域のケアマネージャーに相談することも大切ですが、自分で調べることも同じように大切です。
下記では、若年性認知症になった時の介護施設の選び方の順序について紹介します。
- インターネットで検索する
- 介護施設に連絡を入れる
- 介護施設に見学に行く
介護施設を選ぶ際には、必ず検索ワードに「若年性認知症」を入れて検索をかけて調べます。
そして、介護施設に見学に行き介護施設での取り組み、職員さんの雰囲気まで見ておくことも大事です。
若年性認知症の方も介護施設に入ると安心して日常を送ることができる
若年性認知症だから介護施設に入れないということはありません。
しかし、どんな介護施設でも良いから入る、という考え方は危険です。
若年性認知症の方は高齢者の方と比べて、自己肯定感が低下している方も多いです。
家庭的にも社会的にも必要とされていないと感じ、居場所がないと感じている方もいます。
機能訓練やリハビリをしたい方、のんびりと人と関わりをもち生活をしたい方、みんな違う考え方を持たれている方がほとんどです。
適切な支援を提供できる施設に入ると、生活の質や精神の安定にも繋がります。
利用者さんが日常の生活に不安なく過ごすことや、自分らしく生きるための環境は大切なことで、やりがいや生きがいを持つことで明日を生きる活力に繋がります。
若年性認知症向けの介護施設を選ぶときは、雰囲気や働いている介護職員、通われている利用者さん、自分や家族に合った施設かどうかを判断することも大切です。