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認知症の方に言ってはいけない言葉を紹介!スピーチロックについても解説!

認知症の症状には幻覚が見える、怒りっぽくなる、不穏になるなどがあります。

利用者さんが急に大声をあげたり、帰りたいなどと言われたときに、どのような対応すればいいのかわからないと悩んでいる介護士は多いでしょう。

利用者さんが不穏になってしまったときは「これ」という正解の対応は存在しません。

利用者さんの性格やそのときの状況に併せて、臨機応変の対応をする必要があります。

今回は認知症ケアの基本でもある「認知症の方に言ってはいけない言葉」や、認知症ケアのコツを紹介します。

また、介護現場でよく使われる「スピーチロック」も併せて解説していくので、施設の介護士の方ももちろん、認知症の家族を介護をしている方も、ぜひ参考にしてください。

目次

認知症に言ってはいけない言葉

認知症 言ってはいけない言葉

認知症の方への対応方法に正解は存在しませんが、言ってはいけないことはいくつかあります。

認知症の方に言ってはいけないこと
  • 物忘れに関する指摘
  • 否定的な言葉
  • 恥をかかせる言葉
  • 責める言葉
  • 不安を煽る言葉

それぞれ順に説明します。

物忘れに関する指摘

認知症の方は、自分が忘れっぽくなってきていることを自覚しています。
自分が忘れっぽくなってきていることを気にして、落ち込んでしまう方もいます。

認知症の方によくある物忘れは「ご飯を食べたか覚えていない」というケースです。

認知症の方がご飯を食べたのに「ご飯をまだ食べていない!」と言うときは「さっき食べたでしょ!」と指摘するのではなく「お腹が空いているのですか?」と聞いてみると良いでしょう。

しっかりご飯を食べたのであれば「空いてないよ」言うでしょう。
「さっき食べたから、まだお腹いっぱいなんですね。お腹すいたら何か美味しいものを作るので声をかけてください」などと声かけをすると、認知症の方も安心するはずです。

否定的な言葉

認知症には幻覚、幻聴などの症状があります。

何もないのに「子供がいる」「虫がたくさんいる」などと言うときがあります。
周囲から見ると「おかしいことを言っている」と感じる方もいるかもしれませんが、本人にはしっかり見えているため、おかしいことを言っているわけではありません。

真剣に伝えているのに、「何もないよ」と周りの人から否定されると気分が悪くなってしまい、二時的な症状として「不穏」「徘徊」「暴言・暴力」などの周辺症状が悪化してしまう場合があります。

実際にないものを「そこにある」と言う利用者さんへの対応は難しいかもしれませんが、「子供が遊びに来たんですね。夕方になると帰ると思います。」などと利用者さんが見えている幻覚に併せて、安心する声かけを行いましょう。

私は以前、認知症を患っている利用者さんに「虫がたくさんいて寝れない」と言われたことがありました。
数分経っても症状が治らないため、利用者さんと一緒に虫退治をするフリをして、消臭スプレーを殺虫剤代わりに部屋にかけたり、床を箒で掃いたりしました。
すると利用者さんも安心して寝ることができました。

恥をかかせる言葉

他の利用者さんや介護職員が周りにいるのに「排便終わった?」「失禁してるじゃん!」など、センシティブな内容を言わないようにしましょう。

認知症だから理解していないと思っている方もいるかもしれませんが、とても失礼な行為にあたります。
口にしていないだけで「恥ずかしい」「そんなみんなの前で言わないで」と思っている利用者さんもいます。

センシティブな話をする場合は、必ず利用者さんの耳元で本人だけが聞こえる程度の声量で話しましょう。

本人の耳が遠くて聞こえにくい場合は、個室などに移動してから伝えるのが良いでしょう。

責める言葉

「なんでそんなこともできないの」「何してるんですか!」と相手を責めるような発言はしてはいけません。

失禁してしまった便を触ってしまったり、小物を口に入れてしまったりした際に驚いて思わず「やめて!」「汚い!」などと言ってしまう介護士は少なくありません。

強く責められたり、否定されたりすると利用者さんは驚いてしまいます。

利用者さんが予想外の行動をすると、介護士自信も驚いてしまいますが、冷静に「これ使ってください」と清潔なティッシュを渡したり「一緒にお手洗いに行きましょう」とトイレ誘導をしたりと適切な対応をしましょう。

不安を煽る言葉

「あーあ、またお茶をこぼした」「いつもこうなんだから」「言ってもわからないでしょ!」など不安を煽る言葉も言ってはいけません。

認知症の方は、病気のせいで物の位置を性格に判断できずに、食べ物をこぼしてしまったり、性格な判断ができなくなったりしています。

認知症の方が何か失敗をしてしまっても「次は一緒にやりましょう」「助けが必要なときは呼んでください!」などと優しい声かけをするように心がけましょう。

スピーチロックとは

スピーチロックとは

上記で紹介した言葉は「言葉の虐待」に当たります。

きつい言葉であることは、本人や周りの人もすぐに気づきますが、中には発言している介護士自身や周りの人も気づきにくい「言葉の虐待」に当たる言葉があります。

無意識に介護士達が使ってしまう言葉の虐待は「スピーチロック」です。

スピーチロックとは言葉によって身体的、または精神的に行動に制限をかけることをいいます。

利用者さんに対して、毎日何気なく発している言葉が、実は本人の行動や精神面に制限をかけてしまっている状態です。

上記で紹介した言葉とは違い、スピーチロックには明確な線引きがされていないため、一般的な声かけと区別が困難であり、発言している介護士や周りの人も気づかないことがほとんどです。

スピーチロックのほとんどは命令口調!

スピーチロック 命令口調

スピーチロックに当たるほとんどの言葉は命令口調であることがわかっています。

スピーチロックに当たる言葉の例は以下の通りです。

スピーチロックに当たる言葉の例
  • ちょっと待ってて!
  • そこから動かないで!
  • 1人でそんなことしないで!
  • ご飯食べて!
  • それ、食べちゃダメ!
  • 早く寝て!
  • 危ないから座ってて!

忙しい時やスタッフが不足しているときに思わず言ってしまう方も多いのではないでしょうか。

優しい口調に言い換えてみよう!

優しい口調 言い換える

何気なく言ってしまう「座ってて」「待ってて」でも、疑問系に言い換えるだけでも、印象が変わります。

例えば「座って待ってていただけますか?」「あと5分だけお待ちいただけますか?」などに言い換えてみましょう。

また「床にお茶が溢れてしまって滑りやすく、危険です。今から拭きますので、少し座ってお待ちいただけますか?」「今は料理をしているので、あと5分だけお待ちいただけますか?」などなぜそうして欲しいのかの理由まで伝えるとより良いでしょう。

認知症に言ってはいけない言葉を理解して適切な対応をしよう!

認知症 言ってはいけない言葉を理解 適切な対応

本記事で紹介した言葉を忙しい時や、驚いたときに思わず言ってしまう方も多いのではないでしょうか。

命令口調は避け、疑問系に変えるだけでも印象は大きく変わります。

「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」などのクッション言葉を意識的に使用するのも良いでしょう。

認知症の方に限らず、高齢者の方への声かけにおいて「これが正解」という声かけは存在しません。

しかし、言ってはいけない言葉は存在するため、しっかり理解することで利用者さんと上手にコミュニケーションが取れるようになり、信頼関係を築くことができるはずです。

この記事を書いた人

ふくしこみゅ編集部
今後ますます需要が高まる「介護職」。すでに介護職の方にも、これから介護職になりたい方にも役立つ情報をたくさん発信しています。
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この記事を監修した人

医療と経済の架け橋である「医療経済学」を研究。テクノロジーとアイデアでヘルスケア関連の問題を解決すべく情報発信を行う。医療・介護サービスのDX化推進に向けたコンサルテーション事業に従事。

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