「介護士とヘルパーの違いは?仕事内容も違うの?」
「介護士とヘルパーで給料や必要な資格が違うの?」
このような疑問はありませんか?
介護士やヘルパー、介護福祉士など呼び方が様々あるため、違いについて疑問に思うことは不思議なことではありません。
結論からお伝えすると、使い分けされることはたしかにあるのですが、明確な違いはないのです。
以降で詳しく解説するとともに、未経験から手っ取り早く介護士やヘルパーとして働ける資格を紹介します。
介護士とヘルパーの違いはどこにある?
明確な違いはないが、使い分けされることがあります。
ただし、国家資格である介護福祉士は区別され別物扱いです。
とはいえ、介護福祉士とも大きく仕事の内容が変わるわけではありませんが、給料の差が生じます。
介護業界での呼び方の使い分け
介護士とヘルパーに明確な違いはないものの、介護業界では呼び方によって使い分けがされています。
介護士や介護職員といった呼び方は、介護施設で働く方や医療機関で介護の仕事をしている方の総称として使われる傾向です。
ヘルパーやホームヘルパーは、訪問介護事業所で働く方の呼称として使われます。
介護士・ヘルパーとは区別される「介護福祉士」
介護福祉士とはどのような資格であり、どのような職種であるのかを解説します。
介護福祉士とは?
介護福祉士とは、専門的な知識や技術を身につけ、身体もしくは精神障害をもった方の介護を行ったり、指導したりする職種です。
介護福祉士になるためには、国家試験に合格する必要があります。
国家試験は誰でも受けられるわけではありません。
条件として、実務者研修を修了し、なおかつ一定の実務経験を積んだ人のみが受験可能です。
仕事内容について
介護福祉士としてのメインの仕事内容は介護業務です。
主に、訪問介護事業所のホームヘルパーや、特養と呼ばれる特別養護老人ホーム、社会福祉施設で働きます。
身体介助はもちろんのこと、生活援助や通院時等乗降介助も行います。
未経験・無資格でもすぐに介護士・ヘルパーとして働ける資格・研修受講
一昔前までは、業務内容の制限はあったものの、無資格でも介護士やヘルパーとして働けました。
しかし、現在は何かしらの資格や研修を受けなければ介護士やヘルパーとして働けません。
以降では、現在介護士やヘルパーとして働くために必要な資格や研修の受講について紹介します。
認知症介護基礎研修
「認知症介護基礎研修」は、今後の認知症患者の増加が懸念されていることから、適切にケアするための対策として義務化された研修です。
ただし、受講対象者は無資格で介護職に就いた方のみです。
医療・福祉系の国家資格をはじめとする一定の資格保有者は対象外となります。
もし対象となる場合は、入職後1年以内に研修を修了しなくてはなりません。
以降では、カリキュラムや試験、取得メリットに分けてそれぞれ詳しく解説します。
カリキュラム
「認知症介護基礎研修」は、半日もしくは1日で修了できます。
カリキュラムは以下のとおりです。
章 | 項目・内容 |
---|---|
序章認知症を取り巻く現状 | わが国の認知症施策の動向(認知症施策推進大綱の概要) |
第1章認知症ケアにおいて基礎となる理念や考え方 | はじめにパーソン・センタード・ケア認知症の人への偏見・誤解とその解消介護者の視点認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援とは |
第2章認知症の定義と原因疾患 | 認知症とはなにか①・②認知症の原因疾患:アルツハイマー型認知症の原因と主要な症状血管性認知症の原因と主要な症状レビー小体型認知症の原因と主要な症状前頭側頭型認知症の原因と主要な症状 |
第3章認知症の中核症状と行動・心理症状の理解 | 認知症の中核症状と行動・心理症状の理解①・②中核症状の生活への影響中核症状が心理面に与える影響行動・心理症状のとらえ方と出現原因認知症の人にとっての環境①・②健康管理①・② |
第4章認知症ケアの基礎技術 | 認知症の治療①・②認知症の人の適切な関わり方(事例演習)認知症の人の適切な関わり方②認知症の症状への対応(事例演習)認知症の症状への対応②意思を尊重する支援方法とは①意思を尊重する支援方法とは②チームケアの基本家族介護者の理解と支援方法①家族介護者の理解と支援方法② |
試験について
「認知症介護基礎研修」は、各章を修了するごとに確認テストが行われます。
確認テストは何度でも受けることができ、合格するまでは次の章には進めません。
なお、難易度はそれほど高くありません。
取得するメリット
認知症介護基礎研修修了者の資格を取得するメリットは、認知症ケアの基礎が身につくことです。
認知症は介護のなかでも難易度が高いため、基礎知識を身につけることは非常に大切といえます。
毎日同じ症状ではないうえに、認知症のタイプによっては暴言や暴力などもあり大変だからです。
また、認知症ケアのスペシャリストとしての道を作られることもメリットです。
基礎研修を修了すると、以下のスキルアップの道が開きます。
- 実務者研修
- 実践リーダー研修
- 指導者研修
認知症ケアのスペシャリストは今後も需要が拡大されると予測されます。
これらの研修を受けてキャリアアップすれば、様々な施設や医療機関で活躍できる介護士になるでしょう。
介護職員初任者研修について
「介護職員初任者研修」は、介護士として働くために身につけるべき基礎知識やスキルを受講する研修です。
介護職員初任者研修修了者の資格を取得することで、認知症ケアはもちろん様々な利用者に対応できる介護スキルが身につけられます。
身体介護もできるようになり、ますます活躍の場が増えるでしょう。
カリキュラム
「介護職員初任者研修」は130時間の研修時間があります。
カリキュラムの数はそれほどではありませんが「こころとからだのしくみと生活支援」のみ75時間と時間数が多めです。
時間数 | 項目 |
---|---|
6h | 職務の理解 |
9h | 介護における尊厳の保持・自立支援 |
6h | 介護の基本 |
9h | 介護・福祉サービスの理解と医療の連携 |
6h | 介護におけるコミュニケーション技術 |
6h | 老化の理解 |
6h | 認知症の理解 |
3h | 障害の理解 |
75h | こころとからだのしくみと生活支援 |
4h | 講義の振り返り |
上記の内容は、座学だけでなく実技も含まれます。
試験について
「介護職員初任者研修」で実施される確認テストは、すべてのカリキュラムが修了したあとに行われます。
100点満点中70点以上を取れば合格です。
不合格となった場合、研修を受けるところによっては再試験を受けられます。
取得するメリット
取得するメリットは以下があります。
- 活躍の場が増える
- 転職に有利になる
- 就職に有利になる
- 給料がアップする
上記のように、魅力的なメリットがたくさんあるため、受けて損はありません。
むしろ、長く介護士として働きたいのであれば「介護職員初任者研修修了者」を取得するべきでしょう。
介護福祉士実務者研修について
「介護福祉士実務者研修」は、初任者研修をさらに深掘りした知識やスキルを身につけられる研修です。
加えて、医療行為である「喀痰吸引」「経管栄養」の管理・実施もできるようになります。
「介護福祉士実務者研修修了者」を取得することで、新たなキャリアパスを作れます。
カリキュラム
「介護福祉士実務者研修」は、430時間の研修時間があります。
ただし、初任者研修を修了している方は130時間免除され、270時間で修了できます。
以下は、430時間分のカリキュラムです。
時間数 | 項目・内容 |
---|---|
5h | 人間の尊厳と自立 |
5h | 社会の理解Ⅰ |
30h | 社会の理解Ⅱ |
10h | 介護の基本Ⅰ |
20h | 介護の基本Ⅱ |
20h | コミュニケーション技術 |
20h | 生活支援技術Ⅰ |
30h | 生活支援技術Ⅱ |
20h | 介護過程Ⅰ |
25h | 介護過程Ⅱ |
45h | 介護過程Ⅲ |
10h | 発達と老化の理解Ⅰ |
20h | 発達と老化の理解Ⅱ |
10h | 認知症の理解Ⅰ |
20h | 認知症の理解Ⅱ |
10h | 障害の理解Ⅰ |
20h | 障害の理解Ⅱ |
20h | こころとからだのしくみⅠ |
60h | こころとからだのしくみⅡ |
50h | 医療的ケア |
試験について
介護福祉士実務者研修には確認テストはありません。
座学とスケーリングを含む演習のみで修了できます。
取得するメリット
介護福祉士実務者研修修了者を取得するメリットは以下のとおりです。
- 介護福祉士の受験資格を得られる
- 一部の医療行為ができるため活躍の場が広がる
- サービス提供責任者を目指せる
- 給料がアップする
「認知症介護基礎研修」や「介護職員初任者研修」のように、キャリアアップや活躍の場の拡大、給料アップができます。
まとめ|介護士とヘルパーに違いはないが介護現場では使い分けされる
介護士とヘルパーは仕事内容や必要とする資格は変わりませんが、介護業界では使い分けされています。
介護士は施設や医療機関で働く介護士、ヘルパーは訪問タイプの介護職で働く呼び名として使われています。
介護士・ヘルパーとして必要な資格は初任者研修以上と共通しているため、特別異なる資格を取得する必要はありません。
無資格・未経験で介護職に就いた場合は認知症基礎研修を1年以内に修了しなければならないため注意してください。