介護職員初任者研修は介護職員がはじめに目指すことの多い資格です。取得するには定められたカリキュラムを受講し、修了試験に合格する必要があります。
試験は基礎的な内容なので合格しやすく、介護職員初任者研修の上位に位置付けられている資格である実務者研修の科目が一部免除になるなどのメリットがあります。
介護職員初任者研修の資格を取得したいと考えていても「どうやって資格をとるの?」と疑問を抱きますよね。
そこで今回は、介護職員初任者研修の取得方法、試験は難しいのか、他の資格との違いも紹介します。
介護職員初任者研修とは?
介護職員初任者研修とは、介護の基本的な知識・技術があることを証明する資格です。介護職員初任者研修は「初任者研修」と略称で呼ばれることもあります。
介護職員の主な業務内容は以下の3つです。
- 生活援助
- 身体介護
- 通院等乗降介助
「生活援助」とは食事の準備や洗濯、買い物など利用者さんの身体に触れずに生活をサポートをする業務のことを指します。
一方で「身体介護」とは食事や排せつ、入浴など利用者さんの身体に直接触れる業務のことです。
「通院等乗降介助」は利用者さんが通院する際に、自動車を運転したり乗降の介助を行い送迎することです。また、受付手続きや乗車以外にも屋内外の移動をサポートします。
無資格者はこのうちの「身体介護」・「通院等乗降介助」を行うには有資格者の監督下である必要があります。
訪問介護をするには、初任者研修以上の資格が必要です。初任者研修を修了することにより、訪問介護をはじめあらゆる職場に勤務できるようになります。
初任者研修を取得するメリット
初任者研修を取得すると給料アップや就職・転職に有利になるなどのメリットがあります。
また、自治体によっては助成金制度があり、受講料を大幅にカバーできるところもあるので、自分の自治体や勤務先にお問合せをしてみてください。初任者研修を取得するメリットを5つご紹介します。
給料がアップする
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考にすると、介護職員の令和3年9月平均給与額は以下の通りでした。
- 無資格 約271,260円
- 初任者研修 約300,510円
- 実務者研修 約307,330円
- 介護福祉士 約328,720円
無資格の職員に比べて初任者研修資格を保有している職員は、約3万円給与が高いという結果になりました。
無資格の介護職員に比べて介護の知識や技術に優れており、担う業務の幅が広いためだと考えられます。
取得しやすい
受講ペースにもよりますが、初任者研修の修了までの期間は1~4ヶ月程度です。
最短で取得したい場合は、通学・通信を併用するコースを選びましょう。通信学習では教材をもとに自分のペースに合わせて学習に取り組むことができます。
また、初任者研修の試験は難易度が高くありません。しっかり受講し復習すれば合格できるので、取得しやすい資格だといえるでしょう。
助成金制度がある自治体もある
自治体によっては助成金により受講料を補助してくれるところもあります。
受講料を全額負担してくれる自治体もあります。助成金制度には対象者や申請期限があるため、申請の際には注意が必要です。
実務研修の科目が免除になる
初任者研修は実務者研修などの上位資格を取得する際にもメリットがあります。
例えば初任者研修に合格すると、実務者研修のうち9科目・130時間分のカリキュラムが免除されます。
そのため、初任者研修修了者の中にはさらなるキャリアアップを目指して実務者研修を取得する人も多いです。
就職・転職に有利になる
初任者研修を取得すれば、基礎的な介護技術や知識が備わっている人材だと証明されます。
初任者研修修了者は訪問介護をはじめ多くの現場で活躍する機会が得られます。
初任者研修の内容
初任者研修は受講後、試験に合格することにより取得できます。
講義は130時間で「通信」「通学」の2種類の受講方法があります。次の項目では受講内容や気になる試験の難易度を紹介します。
初任者研修の受験資格
初任者研修に受験資格はなく、誰でも受験できます。
特にスキルアップ、キャリアアップをしたいと考えている介護職員が初任者研修を受けることが多いです。
また、訪問介護に従事するには必須の資格になので、訪問介護をはじめたい介護職員も受験しています。
初任者研修の受講内容
初任者研修は大きく分けて「介護」「人間と社会」「こころとからだのしくみ」の3つの領域で構成されています。
受講方法は「通信」「通学」の2種類です。ただし、通信での学習時間は40.5時間までと定められています。
通信を上限時間まで利用すると、残りの89.5時間は通学が必要です。受講内容は以下の通りです。
全10科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障害の理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
初任者研修の試験内容・合格率
カリキュラム受講後は1時間程度の筆記試験を受けます。筆記試験は100点満点中70点以上で合格です。
初任者研修の試験は講義をしっかり理解しているかを確認するために行われます。試験内容は基礎的な内容であり、講義をしっかり受けて復習した人ならわかる内容です。
合格率は非公開となっていますが、非常に高いとされています。万が一不合格になっても、再試験を受けられるので安心してください。
初任者研修と他の資格との違いは?
初任者研修と混同されやすい他の介護資格との違いを確認していきましょう。
業務内容の違いや初任者研修を受けることによって得られる、上位資格受験時のメリットも合わせて解説します。
初任者研修と「(ホーム)ヘルパー2級」の違いは?
初任者研修と混同されやすい「(ホーム)ヘルパー2級」は2013年の法改正により廃止されました。その後継としてできた資格が初任者研修です。
ヘルパー2級は廃止されたものの、現在も有効な資格です。廃止前に合格した資格保有者は初任者研修と同等の資格をもっていることとなり、訪問介護など多くの現場で活躍できます。
初任者研修と「資格なしの介護職員」の違いは?
資格なしの介護職員ができる仕事は、施設内での生活援助、身体介護、通院などの乗降介助です。業務内容は同じであっても、訪問介護士が訪問介護を行うことはできません。
また訪問介護以外の施設でも、資格なしの介護職員と初任者研修修了者の業務を分けている施設もあります。
初任者研修と「実務者研修」の違いは?
初任者研修の上位資格には「(介護福祉士)実務者研修」があります。
実務者研修ではより高度な介護技術のみでなく、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアについても学ぶことができます。
実務者研修修了者は、より高度な介護技術・知識をもった介護職員として、初任者研修修了者よりも資格手当がアップする施設も多いです。
実務者研修は20科目・450時間の受講を経て取得可能です。受講資格は初任者研修と同様、実務者研修にもありません。
初任者研修修了者は、実務者研修のうち10科目・130時間分のカリキュラムが免除されます。そのため、初任者研修修了者の中にはさらなるキャリアアップを目指して実務者研修を取得する人も多いです。
初任者研修と「介護福祉士」の違いは?
介護福祉士は国家資格です。介護職の中で上位の資格であり、リーダー職につく機会を得られます。キャリアアップを考えている介護職員に必要な資格です。
取得方法は養成施設を経る方法の他に、働きながら受験資格を得る「実務経験ルート」もあります。実務者研修修了、かつ規定の実務経験を満たすことにより国家資格を受験することができます。
初任者研修を取得してスキルや給料アップを狙おう!
初任者研修は介護資格の中でも基礎的なことを学べる資格です。短期間で取得でき、試験の難易度も高くないため取りやすい資格だといえるでしょう。
初任者研修を取得すると介護の基礎知識を学ぶことができ、給料アップも狙えます。今回紹介した内容を参考に、ぜひ初任者研修の取得を検討してみてくださいね。