介護業界に興味がある方は多いと思いますが、どのような資格があるのか、どの資格を取るべきなのか、迷っている方もいらっしゃるでしょう。介護資格は、国家資格・公的資格・民間資格の3つに分けられます。
本記事では介護資格の種類とメリット、未経験から取るべき資格も紹介します。それぞれの特徴やメリットを知っておくと自分に合った資格を選ぶことができますので、ぜひ参考にしてください。
国家資格とは?メリットや取得方法
国家資格とは、国が定めた基準に合格した者に与えられる資格のことです。国家資格を持つと就職や転職、キャリアアップなど様々なメリットがあります。
しかし、国家資格を取得するには、受験資格を取得した上で試験を受けなければなりません。試験の内容や受験資格は各資格によって異なりますので、ここでは介護職に関係する国家資格にピックアップしてメリットや取得方法を紹介します。
国家資格を持つメリット
国家資格を持つメリットは大きく分けて3つあります。
就職や転職に有利になる
国家資格は業界内で高い信頼性と専門性を示すものなので、雇用者からの評価も高くなります。また、一定の給与水準や待遇も保証される場合が多いです。
キャリアアップに役立つ
国家資格はスキルや知識を証明するものなので、自分自身の成長にも繋がります。また、管理職や指導者などのポジションに就くチャンスも増えます。
法的な権限や責任を持てる
国家資格は法律で定められた業務範囲や義務を持ちます。例えば、介護福祉士は介護計画作成責任者として介護サービスの提供方針を決めたり、社会福祉士は生活保護申請者への相談援助や支援計画作成などを行ったりします。
国家資格を取得する方法
国家資格を取得する方法は基本的には試験に合格する必要がありますが、試験内容や受験条件はそれぞれ異なります。
下記で紹介している以外にも細かい規定がありますので、各種公式サイト等で確認しましょう。
介護福祉士
- 実務経験2年以上(特別措置期間中)または専門学校卒業後1年以上(特別措置期間後)の場合、筆記試験のみ受験可能
- 実務経験がない場合、専門学校卒業後に筆記試験と実技試験を受ける必要がある
社会福祉士
- 大学や短大などの社会福祉系の課程を修了した場合、筆記試験のみ受験可能
- それ以外の場合、実務経験3年以上かつ社会福祉士補講習修了者であれば筆記試験と口述試験を受ける必要がある
精神保健福祉士
- 大学や短大などの精神保健福祉系の課程を修了した場合、筆記試験のみ受験可能
- それ以外の場合、実務経験3年以上かつ精神保健福祉士補講習修了者であれば筆記試験と口述試験を受ける必要がある
公的資格とは?メリットや取得方法
介護業界において、国家資格と並んで重要なのが公的資格です。公的資格とは、国や地方自治体が認定する資格のことで、社会福祉士などが該当します。
公的資格はどのようなメリットがあり、どのようにして取得するのか、詳しく解説していきます。
公的資格を持つメリット
公的資格を持つことで得られるメリットは、大きく分けて以下の3つがあります。
信頼性が高まる
公的資格は、国や地方自治体が認定するものであり、一定の知識や技能を持っていることが証明できる資格です。そのため、利用者や関係者からの信頼を得やすくなり、専門性も高まります。また、法律や制度に関する知識も必要になるため、より高度なスキルを身につけることができるでしょう。
就職・転職に有利になる
公的資格は、介護業界や社会福祉業界などで求められることが多く、施設などで必須とされる場合があります。そのため、公的資格を持つことで就職先や転職先の選択肢が広がり、職場での地位や待遇の向上につながることがあります。
職務内容や報酬が向上する
公的資格を持つことで、より専門的かつ責任ある仕事を任されることがあります。例えば、「ケアプラン作成」や「相談支援」、「チームリーダー」などの役割を担うことも可能です。その結果、報酬も高くなる場合があります。
公的資格を取得する方法
公的資格を取得する方法は、大きく分けて2つあります。
学校卒業後の試験受験
学校卒業後に試験を受ける方法は、社会福祉士などの資格を目指す場合に適しています。専門学校や大学などの認定校を卒業すると、試験の受験資格を得ることができ、試験に合格できればそのまま資格を取得できます。
メリットは、学校で基礎的な知識や技能をしっかりと身につけられることです。また、学生時代に実習やインターンシップなどの経験を積めることもメリットといえます。
経験者枠の試験受験
経験者枠で試験を受ける方法は、精神保健福祉士や介護支援専門員などの資格を目指す場合に適しています。一定期間の実務経験を積んだ後、国家試験や公益法人試験に合格することで資格を取得できます。
メリットは、現場での経験やスキルが活かせることです。また、働きながら資格取得が可能なため、収入面でも安心できるといったメリットもあります。
民間資格とは?メリットや取得方法
民間資格は、介護業界において国家資格や公的資格と同じく重要な資格です。民間団体が認定する資格であり、サービス介助士や認定介護福祉士などが該当します。
民間資格を持つことのメリット
民間資格を持つことで、以下の3つのメリットがあります。
専門性が高まる
特定の分野や業務に関する知識や技能を証明する民間資格は、自分の得意分野を深めることができます。また、最新の情報やトレンドに敏感になり、時代に合わせたサービス提供が可能になるでしょう。
キャリアアップに役立つ
特にケアマネジャーは「介護保険法」や「社会保障制度」などの知識が必要になるため、自分の目標や方向性を明確にし、より高度な仕事を目指すことができます。
就職・転職に強みになる
民間資格は、介護業界だけでなく医療業界や福祉業界でも需要が高いです。特に介護事務は「医療事務」や「福祉事務」としても活躍できるスキルを持っています。
民間資格の取得方法
民間資格の取得方法は大きく分けて2つあります。
自分に合った方法で民間資格を取得することで、より専門性を高め、キャリアアップや就職・転職に強みを持つことができます。介護業界や医療業界、福祉業界などで活躍するために、民間資格取得に取り組んでみてはいかがでしょうか。
通信教育コースで学ぶ
介護事務やケアマネジャーなどの資格を目指す場合には、通信教育コースが適しています。時間や場所にとらわれずに学習でき、費用も比較的安く抑えられます。
通学コースで学ぶ
精神保健福祉士や生活相談員などの資格を目指す場合には、通学コースが適しています。専門的な知識や技能を直接教えてもらえ、また同じ目標を持つ仲間と交流できるため有利です。
未経験から取るべき資格とそのメリット
介護業界に未経験から入る場合、どのような資格が必要でしょうか?また、資格を取得することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
介護業界には様々な資格がありますが、未経験から取るべき資格は介護職員初任者研修です。この資格は、国家資格でも公的資格でもありませんが、介護業界で働くための基礎的な知識や技術を身につけることができます。また、この資格を持っていれば、介護保険サービスの提供者として認められます。
これから介護職員初任者研修の内容や取得方法、そしてそのメリットについて詳しく解説します。もし、あなたが介護業界に興味があるならぜひ参考にしてください。
介護職員初任者研修とは?
介護職員初任者研修とは、平成29年4月1日から実施されている新しい制度です。これまでのホームヘルパー2級や介護福祉士実務者研修を一本化したもので、全国共通のカリキュラムに基づいて行われます。 介護職員初任者研修では、以下のような内容を学びます。
- 人間尊重の理念や倫理
- 高齢者や障害者の生活支援
- 健康管理や医療的ケア
- コミュニケーションやチームワーク
- 安全管理や事故防止
以上の内容を通じて、高齢者や障害者に対する尊重や理解を深めたり、適切な支援方法を身につけたりすることができます。
介護職員初任者研修を持つメリット
介護職員初任者研修を持つことで得られるメリットは以下の通りです。
介護保険サービスの提供者になれる
介護職員初任者研修を取得することで、高齢者や障害者に対して自宅訪問や施設入所などの様々な形で介護サービスを提供できるようになります。自分の適性や希望に応じて幅広い仕事内容から選択できます。
他の資格へのステップアップになる
介護職員初任者研修を取得することで、国家資格である介護福祉士や公的資格であるヘルパー1級(訪問介護員)・ケアマネジャー・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・臨床心理士等へ進む際に優遇されます。
就職や転職に有利になる
介護職員初任者研修を取得することで、介護業界で人手不足が深刻化している現在、より多くの求人に応募できるようになります。また、経験者と比べても優先的に採用される可能性が高まります。
給与や待遇が向上する可能性がある
介護職員初任者研修を取得することは、一定の知識や技能を身につけていることの証明です。そのため、資格手当や昇給などの評価に反映される場合があります。また、働く施設や企業によっては、資格取得支援制度や教育研修制度などを用意している場合もあります。
スキルアップやキャリアアップにつながる
介護職員初任者研修では、基本的な介護知識や技術だけでなく、コミュニケーション能力やチームワーク能力なども学びます。これらのスキルは、介護現場だけでなく他の分野でも役立ちます。また、自分の専門性や強みを発揮できるようになります。
介護職員初任者研修を取得する方法
介護職員初任者研修の取得方法は、通学型と就業型の2種類があります。
通学型の方法
通学型は、専門学校や社会福祉法人が主催する講座に参加する方法です。座学90時間と実技40時間を含む130時間程度の講座を受講する必要があります。
受講料は主催機関によって異なり、平均して10万円程度です。受講料全額または半額相当額(上限5万円)を助成してもらえる制度もあるため、利用すると良いでしょう。
就業型の方法
就業型は、現場で働きながら指定された時間数分だけ講座を受ける方法です。座学150時間と実技300時間を含む450時間程度の講座を受講する必要があります。
受講料は無料ですが、自己負担額(上限1万円)が発生する場合があります。
試験免除の条件
どちらの方法でも、一定の条件を満たせば試験免除になります。試験免除にならない場合は、筆記試験(60分)と実技試験(30分)を受けて合格する必要があります。
介護職員初任者研修は、未経験から介護業界に入るための有効な資格ですが、資格取得後も実際の現場で学ぶことが多くあります。また、常に新しい知識や技術を身につけていく必要があるため、資格取得後も自己研鑽や継続教育に取り組みましょう。
まずは介護職員初任者研修の取得がおすすめ
本記事では介護資格の種類とメリットについて徹底解説しました。
介護業界に興味があるなら、まずは基礎的な介護スキルを学ぶための入門資格である介護職員初任者研修を取得することをおすすめします。
その後、自分の目指す方向に合わせて国家資格や公的資格を取得することで、より高いスキルや収入を得ることができます。
国家資格は最も権威があり、全国で通用する資格です。公的資格は地域や施設によって必要とされる資格で、専門性が高くなります。民間資格は自己啓発やスキルアップのために取得する資格で、多様な分野に対応できます。
介護業界は人手不足が深刻な問題です。しかし、それだけ需要が高く将来性のある業界でもあります。自分に合った資格を取得して、介護の仕事に挑戦してみませんか?あなたのスキルや経験が必要とされています。