介護施設や訪問介護で働いている介護職員の中には「ケアマネの資格を取りたい」と考えている人もいるでしょう。
しかし周囲から「ケアマネは毎年増えているから、取っても意味ないよ」と言われ、躊躇った経験がある人もいるかと思われます。
この記事では、ケアマネは今後どうなるのかをお伝えします。
また将来のために、介護職として働いている人は「今」何をすべきかを、紹介していきます。
ケアマネは今後どうなる?ケアマネの将来性と現状
まずはケアマネの将来性と現状について、3つのポイントに分けて解説します。
- ケアマネの仕事が無くなるということはない
- 介護職からケアマネに転職するのは難しい
- ケアマネは合格者が増えても需要がある
1.ケアマネの仕事が無くなるということはない
結論からいうと「ケアマネの仕事が無くなる」ことはないです。
理由として、今後も高齢者は増え、介護が必要になる人も増え続けるからです。
ですので、ケアマネの仕事がなくなるということはないです。
2.介護職からケアマネに転職するのは難しい
とはいえ、介護職からケアマネに転職するのは、難しいことが多いです。理由は2つあります。
- 求人数が少ない
- 辞める人が少ない
転職が難しい理由①求人数が少ない
介護職からケアマネに転職するのが難しい理由の1つは「介護職に比べて求人数が少ない」ことです。
特養では介護職は数十人必要ですが、ケアマネは事業所につき1人配置すれば良いとされています。
ですので、介護職に比べて、求人数自体は少ないのです。
転職が難しい理由②辞める人が少ない
ケアマネへの転職が難しいといわれるもう1つは「介護職に比べて、辞める人が少ない」ことです。
事業所によりますが、ケアマネは土日休みの日勤が多いです。
月末月初は各事業所へ翌月分のサービス利用票(提供票)を送ったり、請求業務があり忙しいですが、それ以外は比較的自分のペースで仕事を進められることが多いです。
子育てをしながら仕事を続けやすい環境なので辞める人が少なく、ケアマネの求人が中々出てこない、ということもあります。
3.ケアマネは合格者が増えても需要がある!
「ケアマネは長く続ける人が多いし、毎年合格者がいるから、ケアマネの供給は増えるのではないか?」と思う人もいるでしょう。
結論から言うと「供給が極端に増える」可能性は低いです。
理由は2つあります。
- ケアマネの受験資格が厳しくなった
- ケアマネの試験の合格者が必ずしもケアマネになるとは限らない
理由①ケアマネの受験資格が厳しくなった
ケアマネの合格者が増えても需要がある理由の1つとして「ケアマネの受験資格が変わった」ことが挙げられます。
2017年までは、介護職員初任者研修や無資格者でも、5年以上(無資格者は10年以上)実務経験があれば、ケアマネの試験を受験することができました。
そのため第20回(2017年)までは、受験者数はほぼ毎年10万人以上でした。
しかし2018年度から、受験資格が改正され、国家資格である介護福祉士の資格を取得し、かつ5年以上の実務経験がないと受験できなくなりました。
そのため、第21回(2018年度)からは約4万人と大幅に減少しています。
つまり、昔に比べてケアマネを受験する人が少ないので、供給が極端に増える可能性は低いです。
理由②ケアマネの試験の合格者が必ずしもケアマネになるとは限らない
もう1つの理由として「ケアマネの試験に合格したとしても、ケアマネになるとは限らない」からです。
これは施設で勤務する介護職に多いです。
ケアマネを受験する人の中には「会社からケアマネを受験してと言われたから、受験した」という人もいます。
しかし、夜勤手当や処遇改善手当が出る介護職に比べて、ケアマネになると給料が下がります。
一方で他事業所との連携や緊急時の対応等、業務の責任は重くなります。
加えてケアマネになると、5年毎に更新研修を受講しなければなりません。
「ケアマネに合格したけれど、更新研修はお金と時間がかかる」ということで、ケアマネにならずに介護の仕事を続けるという人もいます。
そのためケアマネの試験に合格しても、全員がケアマネになるとは限らないのです。
今後のために、今どうすれば良いか?
ここまで、ケアマネは今後どうなるかについてお伝えしてきました。
では「今後ケアマネを取るべきかどうか迷っている」人は、どうしたら良いでしょう。
結論からいうと「今後のためにどうしたら良いか?」という問いに対する答えは、一人一人の目指すキャリアパス、現状の仕事に対する不満・不安の内容などによって異なります。
ケアマネの資格取得に悩んでいる理由を明確にしよう!
一番大切なポイントは「どうしてケアマネを取るべきか悩んでいるのか」ケアマネを取得する目的を明確にすることです。
「介護職のキャリアアップとしてなんとなく取得したい」「周りがケアマネ試験の勉強をしているから自分も取らなきゃと思っている」などの曖昧な理由では、たとえ受験勉強を始めたとしてもモチベーションが続かず、合格することは難しくなるでしょう。
自分の気持ちを整理することで、今後やるべきことが見えてくるでしょう。
内観後に見えてくるであろうやるべきことの例として、ここでは2つの例をご紹介します。
- 訪問介護から施設介護まで、幅広くできるようにする
- 保険として、ケアマネの資格を取得する
詳しく説明していきます。
例①訪問介護から施設介護まで、幅広くできるようにする
1つ目の例は「訪問介護から施設介護まで、幅広くできるようにする」ことです。
「現状介護の仕事に不満がない」「家族を養わなければいけないので、給料を下げたくない」という人であれば、ケアマネになる必要性は低いと考えられます。
前述したように、介護職は夜勤手当や処遇改善手当があるので、ケアマネより給料が高いです。
現状の生活を維持したいのであれば、介護の仕事を継続する方が良いです。
訪問介護はオムツ交換や入浴介助といった身体介護だけでなく、調理や掃除、買い物代行など日常生活に関連した支援を行います。
施設介護とは違った経験を培うことができるだけでなく、ケアマネや他事業所とも関わる機会があるので、他職種の仕事を知ることができます。
例②「保険」としてケアマネの資格を取得する
「今は介護の仕事を続けたいけれど、ずっと続けられるか不安。」「家庭のこともあるから、日勤中心で身体に負担のかからない仕事がしたい。」という人は、将来の「保険」としてケアマネの資格を取得するという方法があります。
心身共に余裕があるときにケアマネの資格を取得することで、「介護の仕事を継続する」か「ケアマネに転職する」かを選ぶことができます。
またケアマネと介護福祉士のダブルライセンスを持っていることで「現場とケアマネ、どっちもできる人」ということで、転職に有利になります。
ただしケアマネの資格を取得したいのであれば「一発で合格する」という覚悟で臨むことをおすすめします。
理由として「制度は変わるから」です。
介護保険制度の場合、3年ごとに変わります。
前年不合格で翌年再度受験する場合、年度によっては制度を覚え直す必要があります。
また受験料もかかるので、何回も受験することになると、経済的負担がかかります。
保険として取得することを考えている人でも、1回で受かる気持ちで勉強に取り組みましょう。
介護職がケアマネの資格勉強をするメリット
介護職がケアマネの資格勉強をするメリットとして「根拠を持ってサービスを行うことができる」ということです。
介護サービスは、ケアマネが作成するケアプランに基づいて提供しています。
介護保険制度やケアプランに対する知識が乏しいと「なぜこの介護サービスを提供しなければいけないのか」を理解することが少なく、我流のケアになりがちです。
また訪問介護でヘルパーとして働いている人の中には、サービス提供責任者(以下サ責)から利用者さんのモニタリング作成や、照会票作成の為情報提供を依頼されることがあります。
このときモニタリングや照会票の意味を理解しておくことで「ケアマネやサ責は何を求めているか」が分かり、モニタリング作成や情報提供をスムーズに行うことができるのです。
ケアマネは、保険として取得するのも1つの方法。自分のキャリアパスを見据えて資格取得を考えよう!
今後高齢者の増加に伴い、介護が必要になる人も増えることが予想されます。
ですのでケアマネの仕事がなくなるということはありません。
ですが介護職に比べて比較的続けやすい環境なので、求人は介護職に比べて少ないです。
施設介護に勤務している場合、ケアマネになると給料が下がることがあります。
ケアマネになるかどうか迷っているという人は、将来の「保険」として資格取得の勉強をしましょう。
介護保険制度に関する知識を得るだけでも、ケアマネやサ責と円滑に情報共有できるというメリットがあります。
またケアマネの試験に合格することで「介護の仕事を続ける」か「ケアマネに転職する」か、自分のやりたいことを選ぶことができます。
是非参考にしてください。