介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格であり、介護の仕事をするなら取得しておきたい資格です。
介護福祉士は、働きながら勉強して合格をめざす方が多いため、仕事やプライベートと勉強を両立するのは大変です。
そのため効率よく勉強したい、できれば独学で合格したいと考える方が多いものの、どのように勉強したら独学でも合格できるのかわからないと悩む方が多いでしょう。
そこで介護福祉士の勉強方法について、独学やほかの勉強方法のメリット・デメリット、独学でも合格できる勉強方法を解説します。
独学で合格をめざしたい方、また自分に合う勉強方法を探している方はぜひ参考にしてください。
介護福祉士は独学でも無理ではない!
介護福祉士の国家試験は、結論からいえば独学でも無理ではありません。
だからといって、簡単な試験なのか、対策をしなくても合格できるのかといえば、そうではありません。
介護福祉士は出題範囲が広いため、広範囲にわたって勉強する必要がありますし、試験問題が多く一問にかけられる時間も限られているため、しっかり対策をする必要があります。
まずは、介護福祉士の国家試験の概要を確認しておきましょう。
介護福祉士の国家試験の概要
介護福祉士の国家試験は年に1回、毎年1月に筆記試験、3月に実技試験が行われます。
令和5年度は以下の日程です。
[試験日]筆記:令和6年1月28日(日) 実技:令和6年3月3日(日)
[合格発表]令和6年3月25日(日)
試験科目、問題数
試験科目は以下の13科目(11科目群)から125問出題、マークシート方式、1問1点で125点満点です。
- 人間の尊厳と自立
- 人間関係とコミュニケーション
- 社会の理解
- 介護の基本
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 介護過程
- こころとからだのしくみ
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- 医療的ケア
- 総合問題
合格基準
合格基準は、60%程度を基準として問題の難易度に応じて補正されます。
また、11科目群すべてにおいて得点していることが必須で、1科目でも0点だと合格点に達していても不合格になります。
受験資格
国家試験受験のためには以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 養成施設ルート:大学や専門学校などの介護福祉士養成施設で必要なカリキュラムを修了
- 福祉系高校ルート:福祉系高校で必要なカリキュラムを修了
- 実務経験ルート:3年以上介護業務に従事し、実務者研修を修了
- EPAルート:経済連携協定で3年以上介護業務に従事
合格率
過去5年の合格率は以下の通りです。
受験者数 | 合格人数 | 合格率 | |
令和4年度(第35回) | 79,151人 | 66,711人 | 84.3% |
令和3年度(第34回) | 83,082人 | 60,099人 | 72.3% |
令和2年度(第33回) | 84,483人 | 59,975人 | 71.0% |
令和1年度(第32回) | 84,032人 | 58,745人 | 69.9% |
平成30年度(第31回) | 94,610人 | 69,736人 | 73.7% |
試験対策
介護福祉士の勉強方法には以下のようなものがあります。
- 独学
- 通信講座
- 通学講座、オンライン講座
それぞれのメリットとデメリットをみていきましょう。
メリット | デメリット | |
独学 | ・コツコツと自分のペースで取り組める・費用を安くおさえられる | ・勉強計画を立てること、計画通り勉強することが難しい・勉強時間を確保することが難しい |
通信講座 | ・重要ポイントや過去の出題傾向を効率よく学べる・自分のペースで取り組める・通学よりは費用がおさえられる | ・独学よりは費用がかかる・独学と同様に勉強時間の確保が難しい |
通学、オンライン講座 | ・学べる環境に身を置けて、疑問をその場で解消できる・同じ目標に向かう仲間ができる | ・費用がかかる・講座参加のためのスケジュール管理、仕事との両立が難しい |
独学で合格する方法
独学で合格をめざす場合は、以下の流れで勉強をするのがおすすめです。
- まずは過去問を解いて得意・不得意を把握する
- 参考書などで不得意分野を集中的に学習する
- 不得意分野の過去問や問題集を集中的に解いて、習得度を確認する
- 過去問や予想問題集を試験時間内で解く、過去問は過去3年分を最低3回は繰り返す
- 必要に応じて2~4を繰り返す
- スキマ時間の活用
1.まずは過去問を解いて得意・不得意を把握する
まずは過去問を用意して、過去1~2年分を解いてみましょう。
いきなり過去問に取り組んでもまったく解けないのではないかと思われがちですが、日々の業務で得た知識や経験で解ける問題も数多くあります。
過去問はどこの出版社のものでもよいですが、できれば書店で手に取って、解説がわかりやすいなど自分の好みのものを選ぶとよいです。
過去問は「社会福祉振興・試験センター」のサイトでも手に入るので、お金をかけたくない方にはおすすめです。
しかし、正答のみで解説はないため、解説が詳しい過去問を一冊購入することをおすすめします。
2.参考書などで不得意分野を集中的に学習する
参考書は、独学で勉強する場合には一冊は購入することをおすすめします。
詳しい解説があるもの、ポイントを絞って簡潔に説明してあるもの、図が多いものなどさまざまあります。
過去問に取り組んで、間違った問題が多かった科目、苦手だと感じた科目に重点を置いて、理解できるまで読み込んだり、メモを取ったりして知識を習得しましょう。
ただ、このときにおすすめしないのは、不得意分野の要点をノートにきれいにまとめることです。
覚えられない用語や重要ポイントをノートにメモするのは有効ですが、きれいに要点をまとめようとすると、まとめることが目的になってしまい、時間がかかった割には頭に残っていない場合が多いです。
繰り返し読む、声に出して言うなど、自分が理解しやすく覚えやすい方法を模索して、最短の時間で要点が頭に入るように工夫しましょう。
3.不得意分野の過去問や問題集を集中的に解いて、習得度を確認する
不得意分野を参考書などで集中的に学んだら、その不得意分野の過去問や予想問題を解いて、習得度を確認しましょう。
それでも間違える、理解できない問題に必ず当たります。
そのときは、上記の2に戻って理解できるまで繰り返し確認します。
4.過去問や予想問題集を試験時間内で解く、過去問は過去3年分を最低3回は繰り返す
2~3をある程度繰り返し、正答率が上がってきたら、過去問や予想問題集を試験時間内で解いて、問題や時間配分に慣れていきましょう。
介護福祉士の国家試験は220分で125問解きます。
単純に計算すると1問あたり1分40秒ほどの時間を使える計算になりますが、見直しの時間も確保しなければなりません。
また、総合問題など問題文が長い上にじっくり読んで内容を理解しなければ解けない問題もあり、そのような問題に時間を多く配分する必要があります。
したがって、過去問で試験問題に慣れて、問題を解くスピードを上げなければなりません。
過去問や予想問題を制限時間内で解く練習を繰り返せば、時間配分が掴めるようになり、試験本番も落ち着いて取り組めるでしょう。
5.必要に応じて2~4を繰り返す
自分の苦手な科目を集中的に解いたり、参考書で知識を確認したり、試験本番を想定して問題を解くスピードアップをめざすなど、自分に必要な勉強を見極めて取り組みます。
試験当日の休みの申請はもちろんのこと、可能であれば夜勤は減らしてもらう、有給を取って試験勉強にあてたり体調を整えるために休息したりするなど、試験当日を万全な体調で迎えられるようにしましょう。
6.スキマ時間の活用
介護福祉士の国家試験を受験する人の多くは、介護現場で働いています。
業種にもよりますが、不規則な勤務だったり夜勤があったりして「毎日○時から○時間勉強」というわけにはいかないでしょう。
そのため、介護福祉士の勉強を進める上で、スキマ時間の活用は必須です。
重い参考書や問題集を持ち歩かなくても、ポケットサイズの一問一答もありますし、スマホのアプリでも一問一答や過去問、解説などが勉強できます。
介護福祉士は独学でも合格できる!自分に合った勉強方法で合格をめざそう
本記事では、独学で合格をめざしたい方、自分に合う勉強方法を探している方に向けて、介護福祉士の勉強方法について、独学やほかの勉強方法のメリット・デメリット、独学でも合格できる勉強方法について解説しました。
介護福祉士は取得するべき資格といえますが、ひとつの通過点です。
介護福祉士を取得して管理職として活躍したいのか、さらに上の資格の認定介護福祉士やケアマネジャーをめざしたいのかなどの先の目標があると、忙しくても勉強するモチベーションが維持できます。
ぜひ介護福祉士の資格を取得して、人材不足の介護業界を支えていきましょう。